「Watches and Wonders」の話題で盛り上がる巷。魅力的な新作の数々に翻弄され、骨抜きにされている界隈を見るにつけ思うのです。そんな風に思える状況が、めっちゃ羨ましいと。私なんかどれだけ心をときめかしたところで、手に入れられる気がしませんもん。機会的にも金銭的にも。
未だ我が愛しのミルガウス「ディスコン」の衝撃からも立ち直れていませんし、むしろお祭りから目を背けている状態と言うか…(;´Д`)
まぁ、そんな私の心情は置いておくとして…状況的に「イケる!!」方なら、現実的な手段を講じて「入手に至る道」を探すことでしょう。手が届く目標というものは、人間を一番強く突き動かしますからねぇ。
思えば数年前のバーゼルまでなら、庶民の私にだって「ロックオン可能なターゲット」がありました。しかし、昨年辺りから私の知っている「高級時計のお値段」ではなくなってしまった。本年の「Watches and Wonders – Geneva 2023」で、その傾向はさらに極まったのです。
これはもう白旗…観念するしかありません。何をどう足掻いても、とても我が事として頑張れる範疇ではありませんからねっ(´;ω;`)
数年前の私がこんな現実に打ちのめされたなら「いっそ腕時計趣味…止めるか??」と考えたかもしれません。いや、きっと余りの悲観に、手持ちの時計を全て処分して「アップル・ウォッチ」を購入していたと思います。要するに「腕時計との決別」です。
ですが、私は変わることができました。
お目にかかった沢山の腕時計愛好家の皆さんから、大小様々な刺激をもらって「高級一辺倒」の考え方から脱却することができたのです。只々純粋に腕時計という文化を愛し、その末端にまでもアンテナを張って、独自の解釈でそれらを楽しむ「腕時計上級者」の面々。
「引きこもり型」の愛好家だった私が変われたのは、彼らが腕時計に注ぐ「自由な愛の形」に感化されたからだと思います。端的に表すなら「そっちの方が断然格好良い!!」と思っちゃったのです。
そりゃあ未だに、高級ブランドのアレとかコレとかに憧れはあります。だけど…もう無理。
ちょっと前まで「100万円」くらいまでなら…息も絶え絶えにですが、何とかついて行けました。しかし昨今のお値段を見ちゃうと、ぶっちゃけその数倍の値付けじゃないですか?? あれは「貧乏人はローンを組め!!」ってことでしょうか!? 嫌ですよそんなの…いい歳のオッサンが腕時計購入にローンとか(;´Д`)
先の人生が長い、お若い方ならローンを組んで「一発ドカンと!!」でも良いでしょう。だけど私みたいな歳になると「返し終わる頃には、ワシ何歳になってんねん??」とか思っちゃうのですよ…(´;ω;`)
そもそも、そうまでして高級腕時計でドヤって意味のある歳ではないですからね(汗)
私自身は今後も「腕時計趣味で無理はしない」つもりです。喉から手が出そうな「お目当て」があったとしても、手元にあるお金で購えるものだけを購います。恐らくはそれが一番長く、且つ健やかに「腕時計を楽しむ」ための「正解」だと思っているからです。
実物見たら欲しくなる「Marchand Watches(マーチャンド ウォッチ)
とは言え、未だ「腕時計界隈」の方々のコレクションに触発されて、物欲をかき乱されることの多い私。しかしながら極稀に「ワシにも買えるでぇ!!」と盛り上がってしまう時計に出くわすこともあります。その名も「Marchand Watches(マーチャンド ウォッチ)」。実物を見せてもらったら、これが何とも刺さる刺さる(笑)
お写真のモデルはドライバークロノグラフ「MKII」というモデルです。どうです??タグ・ホイヤーさんの「モンツァ」な感じがしませんか??「ツーカウンター」のモンツァは私のどストライクで好きなデザインでしたし、本気で手に入れたかったのですけど…イマイチ踏み切れず見送っちゃったんですよねぇ。モナコなんて、バカみたいに何度も買い直したのに!!(笑)
ついでに、何となく「パネライ感」も感じませんか??…って言っても「フェラーリ・ウォッチ」の方ですけどね。いやこれ!!かなり意識してると思うなぁ(*´∀`*)
こうやって見ると、パネライさんのフェラーリウォッチ…良いっすねぇ。今更ですが欲しくなってしまいます。幾らかなぁ…うわっ!! 高いじゃん!!(;´Д`)
それは英国からやってきた!!
で、思い切って買うことにしたマーチャンド ウォッチさんの「MKII」。購入はブランドの公式ページからでしたので、発送は所在地の「イギリス」からと言うことになります。そう言えば以前、イギリスのラグジュアリー系ECサイトで腕時計を買って、はるばる送ってもらったことがありました。あの時は何日くらい掛かったっけ??
今回はポチってから約10日で到着。状態には何の問題もありませんでした。税関も早かったみたいです。
小さい箱は大歓迎!!
良いですなぁ~。シンセティックレザーで覆われた雰囲気のある化粧箱です。何といっても小さいのが良い。無駄に大きな箱は邪魔なだけですからね(;´∀`)
うん!!公式の写真と寸分たがわぬ現物が届きました(笑)当たり前っちゃ当たり前ですが、事前に現物を確認できなかった場合は、それなりにドキドキさせられたと思います。初物あるあるですけどね(;´∀`)
この日は部屋に籠もって書類仕事を片付ける予定になってまして、遊んでる場合ではないのですが…こんな風に「新しい時計」が手に入ると、何でも良いから着けて出掛けたくなるのが人情というもの。というわけで、一番近所のカフェまで昼メシがてら「初着用」と洒落込むことにしました(*´∀`*)
陽光差し込むカフェで「MKII」をじっくり観察する
近所で一番「腕時計撮影に向いている某カフェ」に到着。コーヒーとボロネーゼをかきこみつつ、平行しての腕時計「プチ撮影会」と相成りました。他のお客さんに見られると「やだ!!あの人時計の写真撮ってニヤニヤしてる!!」なんてことにもなりかねませんから、できるだけ奥まった席に陣取った私(;´Д`)
ジャケットのポケットに忍ばせてきた「ストラップ2本」は、時計本体とセット割引で購入したもの。それらをカウンターにキレイに並べてみると…
良いじゃん!!めっちゃ良いじゃん!!(*´∀`*)
最初からストラップに3つの選択肢があるなんて、すごい贅沢な感じがします。しかも、クイックリリースタイプのバネ棒装備ですから、忙しい朝に余裕を持って「ストラップで悩む」ことも容易。
こんなに楽しいなら、公式ショップにあるだけの種類、買っちゃえば良かったかも(*´∀`*)
この瞬間、モンツァを買えなかった後悔の念が成仏しました(笑)「バイコンパックス(ツーカウンター)」と言えば、一番整っているのは「パンダ」ですから(異論は認める)数あるバリエーションからこれを選んだ自分は間違っていなかったと思いました(*´∀`*)
サブダイヤルの距離感が、ケースのサイズに対して丁度いいバランスに収まっているのが解ります。ちなみにムーブメントはセイコーインスツルメント製の「Cal.VK64」。コーニッシュさんの「ヘリテージ クロノグラフ」やウニマティックさんの「モデル トレ」に搭載されているアレです。
センタークロノグラフ針のスイープ運針、機械式同様に瞬時に帰零するなど、クオーツのくせに時計好きをくすぐる仕様がタマラン「VK64」ですが、最近のマイクロブランドがこぞって採用する最大の理由は「ツーカウンター」が作れるからでしょう。3つ目に比べて落ち着きを感じる「クラシカルなダイヤルデザイン」が魅力的な「ツーカウンター」。その魅力を「VK64」なら手頃なお値段で味わうことができるのです。今後もアチコチから「VK64」を利用した面白いクロノグラフが出てくると思います(*´∀`*)
ケース幅は「43ミリ」。しかし…
「316Lステンレス」のケースには、最高とは言えないまでも十分な仕上げが成されていました。そして多くの方が気にする「サイズ」ですが…ケース幅は「43ミリ」でございます。「デカいわ!!」って思いましたか??チッチッチッ…早まるなよ、セニョール!!
これは私の主観でしかありませんが…腕に巻いた感じですと、とても「43ミリ」には思えませんでした。むしろ「そんなにデカいかなぁ??」みたいな感じで、公式のスペックシートを読み直したくらいです。
視覚的にあまり大きさを感じない理由ですが、恐らくはデザイン的に「43ミリが必然」だからではないかと思います。例えば同じ「VK64」を搭載したコーニッシュさんの「ヘリテージ クロノグラフ」はケース幅39.5ミリです。小さく作ろうと思えば小さくできたでしょう。
要するに「マーチャンド ウォッチ」さんには「MKII」を「43ミリ」で作る、コンセプト上の必然性があったということです。やたらデカいだけで余白だらけの時計なんて幾らでも存在しますが、この「MKII」に関して言えばそんなことはありません。私自身、この容貌にはこれくらいの大きさが必要だったと思います。
「MKII」の細部を見ていこう!!
んじゃまぁ~細かい部分をオッサンらしく「ねちっこい視線」で見ていこうと思います。むむ!!何だか後ろの席から視線を感じる…(み…みないで!!)
潔さすら漂う白ダイヤル
まずは「ダメな点」から(笑)
価格は最後に書かせてもらうつもりなので、ここでは伏せますが…「時針」と「分針」は安っぽいです。しょうがないかぁ…そもそも、しょうがないと納得するしかないお値段なのですよ(;´∀`)
比べてサブダイヤルのレコードパターンやアワーマーカーのプリントは丁寧でキレイでした。ここまで拡大してこれなら及第点でしょう。
インデックス自体は悪くない
インデックス自体はしっかりした造形で十分満足できるものでした。もう少し夜光の塗り(貼り?)に繊細さがあればと思いますが…うん!!遠目には格好良いから問題なしです!!(*´∀`*)
めちゃくちゃ解りづらいんですけど…「DRIVER CHRONOGRAPH」の下段には「ENGLAND」の表記もあります。ここはもっと目立っても良かったんじゃないかなぁ~?? 「イギリスから来ました!!」って大事なところだし(;´∀`)
押しもの、回しものは中々良いぞ!!
ブランドロゴがエングレービングされた「リューズ」クラシカルな「プッシャー」に関しては作りも操作感も良好でした。針はイマイチなのにここは何故か凄く良い(笑)コストのバランスって何なんでしょうねぇ(笑)
バネ棒の位置はもう少し上でも良かったかも??
短いけれど厚みのある「ラグ」。迫力があって良いのですが、ケース側面が見えすぎかもしれません。あと1ミリでもバネ棒を差し込む位置が高ければ、もっと格好良くなったかもしれないと思ったり。惜しいなぁ~(;´∀`)
確かに厚みはあるが…
ベゼルから裏蓋までの厚みは「12ミリ」。「VK64」の厚みが5.1ミリですから、まあこれくらいの厚みなら普通でしょうか。ただ、この「MKII」のデザインにはこれくらいの奥行きが似合っていると個人的には思います。良い横顔です。ハンサム!!
裏蓋にはフルフェイスのエングレービング
大きめサイズの時計にとって「裏蓋のエングレービング」って大切なんですよ??程よい摩擦抵抗が手首の上での落ち着きを生み出しますからね!!
そういう意味でもこの裏蓋は良い感じ。見栄えだけじゃありません(*´∀`*)
ストラップ関係はどうだ??
ストラップ関係を見ていきましょう。まずは共通の「尾錠」です。うん、めっちゃ普通(笑)特筆する部分は見当たりませんが、だからこそ普通に使えそうです。ストラップを通した際に変な引っ掛かりを感じることもありませんでした。
3本のストラップで異なる装い
今回、ドライビンググローブ風のデザインばかりを購入してみたわけですが、さすがにどれも「MKII」によく似合います。
まずはオーソドックスなブラックレザーの「パンチング」。まぁ間違いのないやつですね!!決して最高級というわけではありませんが、革表面の質感もしっとりと柔らかく、十分に見栄えのするストラップだと思います。ゴールド(黄色)のステッチも男らしくて良い感じです(*´∀`*)
間違いなく使いやすいであろう「蛇腹」。バイク乗りだった頃、手の甲の部分がこんな感じのライディンググローブ持ってました。これも合わせる服装を選ばないと思いますねぇ(*´∀`*)
オレンジ系の「パンチング」です。ブラックよりは使い所が限定されそうですが、靴やベルトがこれ系の色味のときに「バチッと」合わせたいと思います。
「Genuine leather」…つまり「本革」です。高価なものではありませんから、高級品と比べるのは酷というものです。ただ、お値段がお値段ですからね!!それで言えば、ホント十分に及第点だと思いますよ(*´∀`*)
ある意味「驚異の価格」で買えます!!
はい!!如何でしたでしょうか??
サクッと「マーチャンド ウォッチ」さんの「MKII」について、見ていただきました。それにしても…誠に世の中は広い。近年イギリスでは、国内腕時計産業の復興に向けて、活発な取り組みが行われていると聞いたことがありますが、こうやって実際に購入して初めて、その息吹といいますか、意気込みみたいなものを感じることができました。この先もスイスや日本とは異なる方向性で、英国人らしい「ちょっと斜に構えた」感じの腕時計作りに期待したいところです(*´∀`*)
さて、いよいよ「MKII」のお値段でございます。驚くなかれ!!なんとなんと!!「129 スターリング・ポンド」です。日本円で「2万1140円」。偶然お目にかかった方の私物として初めて「MKII」の現物を拝見した際に「安いんですよ~」と聞いてはいましたが、後々じっくり調べてみて「マジで!!安っ!!」と唸りました。予想価格をはるかに下回っていましたので。
比較すれば安さが際立つ「マーチャンド ウォッチ」
例えば、同じ「VK64」を搭載した時計としては、2023年にバリエーションの拡充があったイエマさんの「ラリーグラフ」。そしてファーラン・マリさんの「Ref. 1009-A」などがあります。それらは私が個人的に「近々行ったろかい!!」と目論んでいるモデルです。
ちなみに「ラリーグラフ」のお値段は「5万3400円」、少し高めの「Ref. 1009-A」は「8万円ちょい」。どうです?? 「MKII」の「破格」が一層心に染みませんか??(*´∀`*)
イエマさんは1948年の創業で、言わずとしれた歴史あるブランドですし、新興のファーラン・マリさんは2021年のGPHGで「リベレイション賞」を受賞するなど勢いのあるブランドです。ですから当然、ブランドの「格」が値付けに反映され、それなりの差が生まれるのは当然として…
だとしても!! それらの「半額以下」で展開してくれる「マーチャンド ウォッチ」さんの「心意気」を私は買いたいと思います。無名?? それがどうした!! マイクロブランドなんて、どこも最初は無名なのですから。とにかく「2万円の時計」だと考えたら、恐ろしく満足できるプロダクトだと思いますよ(*´∀`*)
最後に
モータースポーツ黎明期の風を感じさせてくれる「マーチャンド ウォッチ」。ベンラスの時計職人だった曽祖父を持つオーナーは、大好きなモータスポーツと腕時計の世界観を融合させるべくこのブランドを立ち上げたそうです。
腕時計ブランドの新規立ち上げなんて、何をどう考えてもリスクしかありません。それでも前進するためには、やはり何かしら「熱い想い」が必要なのでしょう。今は手頃で面白い腕時計を楽しませてくれる「マーチャンド ウォッチ」の存在に感謝をしつつ、この先の「胸熱展開」に期待したいと思います。
現状、日本から購入するのは、それなりにリスキーかもしれません。ですが「敢えて冒険してみたい人」「これからのブランドに投資してみたい人」「メカクオーツに興味がある人」なら、満足できる一本になるかもしれませんよ(*´∀`*)
ってなわけで皆さんもご一緒に、安くてカッチョいい「マーちゃん」を楽しみましょう!!(笑)
※最後に、安くて面白い時計の存在を教えて下さった「腕時計の賢人」たちに、心より感謝申し上げます。サンキューやでぇ!!(*´∀`*)
ご意見・ご感想
コメント一覧 (2件)
Y太さま。
コメントありがとうございます。
とりあえずミルガウスだけはそういう喧騒とは無縁の存在と言いますか(笑)
マーチャンは良いですよ~♫
私は二輪派でしたが、これつけて乗ったら上がるなーって思いますもん(*´ω`*)
ミルガウスの廃盤はオーナーの方からしたら
希少価値が上がるからプラスな感じがしましたが…
そうでもないものなんですね。笑
Marchand Watches重厚感あっていいですね!
装着して車運転したら気分が上がりそうなルックです!