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「腕時計振り返り」クロノスイス「Tora Time Zone」CH1323

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 なけなしのお財布で苦労して腕時計を購入しても、記事として取り上げて皆さまに読んでいただける機会は「購入直後だけ」だったりするんですよねぇ。う~ん… それって「腕時計ブロガー」としては、相当にコスパ(?)が良くありません (;´∀`)
 
 そんな反省もありまして、たまにはこれまで購入してきた腕時計たちにもスポットライトを当てていこうと考えました。その名も「腕時計振り返り」。半年に一回職場で書かされる反省文みたいで恐縮ですが、現在手元にある全ての時計で「振り返り」を行なうなら、単純計算でざっと100本以上の記事が生まれることになります。それってネタの宝庫じゃないですか?? まあねぇ… この遅筆で一体何年かかるんだ?? って話ですが(笑)

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クロノスイスの「TORA(トラ)CH1323」を振り返る

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Tora Time Zone CH1323

 そんなわけで今回は、クロノスイスさんの「TORA(トラ)CH1323」を思う存分「振り返りたい」と思います。クロノスイスさんと言えば「レギュレーター推しのメゾン」みたいな印象をお持ちの方が多いでしょう。実際、クロノスイスさんの働きがなければ「レギュレーター」という機構自体、完全に歴史に埋もれ廃れていた可能性もあったのです。今現在もルイエラールさん辺りと並んで「レギュレーターを残すべく頑張っている」ブランドです (*´ω`*)

 ちなみに時計で言うところの「レギュレーター」とは、文字盤上の「時」「分」「秒」が、それぞれ独立した針で表示されている時計のことを指します。ややこしげに見えて、慣れれば意外と見やすいというのが私の感想です。

 そもそもは時計師の作業ミスを無くすために考案されたスタイルだそうですが、時刻の「見間違え」を防ぐためにも有効であるとされています。

 思いますに、時刻を針の配置という「画像」で瞬間的に記憶して「現在○○時」と認識するまでのプロセスなら、中央3針は最強です。比べて「レギュレーター」のそれは、別々の意味合いを持つ「独立した針」を丁寧に順を追って読むことで、中央3針より余計な時間は掛かるものの、正確で「深く刻まれる記憶」になるのではないかと考えています。

 そんな「レギュレーター」に関して言えば、中央3針に比べてどうしても「まどろっこしい」時刻認識のプロセスが「最大の弱点」であることは確かです。しかしながら、そこに腕時計との「スキンシップ」を感じることのできる「変態腕時計紳士」の皆さんにとっては、それこそがむしろ「大いなる魅力」なのではないでしょうか??

TORA?? トラ?? 虎??

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Tora Time Zone CH1323

 さて「トラ CH1323」の話に戻りますが…まず日本人として気になるのは「TORA」という愛称そのものでした。まさか「虎」ではないよなぁ~と思いつつ、何となく気になるこの「愛称」があったればこそ、結果として入手に至ったのは間違いないところです。やっぱり何かの略称でしょうかねぇ??

 この疑問に関してはホントに最近ですが「宝石広場」さんのWEBページが答えを下さいました。どうやらギリシャ語で「今」を意味する言葉が「TORA」なんだそうです。要するに2つの国の「今」を知るための時計として「TORA」と言うネームが与えられていたのです。

 とは言え私は大好きな漫画「うしおととら」に倣い、今後も親愛の情を込めて「とらちゃん」と呼ばせてもらうことにします。あと関西人としては勝手に「猛虎魂」を感じておきます(笑)
 
 それにしても…現行のクロノスイスさんが作る時計は、どれも随分と高価になりましたよねぇ。見るからに「ラグジュアリー」に寄せた作りにシフトチェンジしたことで、私のように「昔のシックなクロノスイスが好きだった」人間にしてみれば、それなりに思うところがあるのです。企業の利益追求で仕方がないこととはいえ、どうしても一抹の淋しさは拭えません。誰ぞに「懐古厨」と揶揄されようとも。

 「レギュレーター」の括りでリードしておきながら何ですが…厳密に言うと「トラ CH1323」は完全な「レギュレーター」ではありません。「分」「秒」がセンターの同軸にあるため、便宜上「セミ(準)レギュレーター」と呼ばせていただきます。

 「トラ CH1323」の場合、3時の位置に「時針」がありますので、まずはこの小さなサブダイヤルに注目することになります。そしてセンターの「分針」、ついでに「秒針」を確認します。

 ちなみにこの「セミ・レギュレーター」スタイルのダイヤルに関しては、私の中で「良い点」「悪い点」がハッキリしています。まずは「悪い点」から (;´Д`)

「Tora Time Zone」CH1323 の悪い点

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Tora Time Zone CH1323

 「レギュレーター」に慣れていない方なら、時刻を確認する際に「思考のずれ」みたいなものを感じるはずです。最初のうちは慣れない配置の針に翻弄され、視線は彷徨い、意識がようやく「これはレギュレーターだ!!」と納得するまでの数秒にストレスを感じる人も少なくないでしょう。
 
 要するに「レギュレーターという時計が存在するのだ」と解っていれば良いのです。腕時計を覗き込む前にレギュレーターを読む覚悟が決まっていれば、自然な視線移動で「時」「分」「秒」を視界に捉えることができるようになるでしょう。そもそも「レギュレーター」の有用性の最たる物は、意識的に「何時か」「何分か」だけを見ることができる点にあります。慣れれば慣れるほど、必要な情報にフォーカスした高度な使い方が可能になるのです。

 では「セミ・レギュレーター」である「トラ CH1323」の場合はどうなのか??明らかに異形を伴う「レギュレーター」に比べて「トラ CH1323」「普通の時計に近い見た目」をしています。クラシカルなバイコンパックスのモノプッシュクロノグラフに見えないこともない「トラ CH1323」の場合は尚更で、異形時計を使う「覚悟」がイマイチ決めきれないのです。
 
 私にしても使う度に「ああ!!そうだった!!」と脳内を交通整理するはめになるので、何とも言えず「頭が疲れる」時計ではあります (;´∀`)

「Tora Time Zone」CH1323 の良い点

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Tora Time Zone CH1323

 トラちゃんの「良い点」は、言ってみれば「悪い点をマルッと飲み込んだ先」にあるのです。使う人が「こう言うものだから!!」と納得さえしてしまえば、この「トラ CH1323」と言う時計には、他では中々味わえない面白さがあります。

 「セミ・レギュレーター」の中途半端なややこしさは、振り切れていない分だけ慣れるのに時間が掛かると思います。しかし、だからこそ「攻略までが楽しい時計」でもあるのです。世の中にはクセの強い使い勝手の時計なんて幾らでもありますし、それらには使いこなすための努力が必要です。その分、十分な「使い手」になれたときの「達成感」も大きいのです。

 私にしても未だに「あ、そうだった」なんて困惑することもあるトラちゃんですが、それもまたオツなもの。攻略できたと思っても完全には攻略しきれない「プチ難攻不落」みたいな「トラ CH1323」の最大の魅力は、使う人を「いつまでも飽きさせない」奥深さに尽きると思います (*´∀`)

「Tora Time Zone」CH1323 の美麗

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Tora Time Zone CH1323

 まずは「ケース」から参りましょう。コインエッジ ベゼルに寸胴のケース。猫足のようにクラシカルなラグも雰囲気満点です。このモデルを見るだけで、この頃のクロノスイスが何を目指して物作りをしていたかがよく解ると思います。個人的に大好きなデザインです。

 そして「ダイヤル」。素晴らしいの一言です。パールのように極々仄かに輝く白いダイヤル。アワーマーカーの類いも、厚みと丸さを感じさせる丁寧な印刷。遠目にはシンプルなダイヤルですが、完全にクラスを逸脱した仕事だと思います (*´∀`)

 そこに「青針」ですよ。解ったからもう堪忍してくれ!!(笑) 何度でも言わせてもらいますが、装飾類いも最低限のめちゃくちゃシンプルな時計なんですよ。ところが細部に目を凝らすと印象はガラリと一変。腕時計好きの生気を全部吸い取っちゃうんじゃないかってくらい、怪しくも見目麗しいのです。ご覧になったことの無い方は本当に可哀想です。

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Tora Time Zone CH1323 精緻で上品な横顔

 オニオンリューズもこれまた可愛らしくてねぇ~ しかも操作性も抜群なんですよ。指先が痛くない!!(笑)

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Tora Time Zone CH1323 片開きのフォールディング バックル

「Tora Time Zone」CH1323 のムーブメント

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Tora Time Zone CH1323 Cal.C123

 針のレギュレーター配置にダブルタイムゾーンの追加。正直、かなり変態的なムーブメント「C123」搭載です。

 「C123」はどうやら、クラシックキャリバー「ENICAR 165」をベースにしたもののようでして、となると元々はカレンダーディスクもあったはずなんですが… この辺りの構造は何処行っちゃったんだろう??(笑)

 12時間計と24時間計がバイコンパックスで配置されていることから、一見すると「レギュレーターには見えない」トラちゃんですが、レギュレーターでありながらシンメトリーな美しさも併せ持つという、一種独特な魅力がたまりません。そう!! 何だか得した気がするのですよ(笑)

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Tora Time Zone CH1323 Cal.C123

 21600振動でパワーリザーブ45時間と、今現在使うにしても全く以て問題のないスペックだったりしますし、ホントもう十分、良いキャリバーだと思いますね (*´ω`*)

クロノスイスは箱も最高!!

 ベッドの下から掘り出すのが大変なので写真はご勘弁を(笑)

 他のモデルがどんな箱かは知りませんが… めちゃくちゃ格好良い箱なのですよ。 十数年前のクロノスイスがどれだけ気合いの入ったメゾンだったか、箱を見れば伺い知れると思います。外箱も内箱もめっちゃ好き。最近の時計の箱と比べたら、かなりコンパクトな部類ですしね (*´ω`*)

最後に… ちょっとだけ古い『クロノスイス』は良いぞ~!!

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Tora Time Zone CH1323

 収集家としても知られた時計師のゲルト・R・ラングさんが1981年、ドイツのミュンヘンで設立したクロノグラフ専門の工房を礎に、83年「クロノスイス社」が誕生しました。ドイツ発祥なのに「スイス」ってどないやねん?? って話ですが、スイス製のムーブメントだけを使っていたことが主な理由だそうです。それだけで大事な社名を決めたりするものかは解りませんが、ラングさんご自身の「スイス時計への憧憬」も多分にあったのではないかと思います。

 私が「クロノスイス」に惹かれた最初の理由は、まさにこの「ドイツなのにスイス」という不可思議な響きにありました。どちらも機械式時計大国なのに、ラングさんは敢えてスイスを名乗った。そこに何とも言えない「奇妙な綾」のようなものを感じて、それこそが腕時計文化の奥深さに繋がるのではないかと、必要以上に深読みをしたのが私という男でした。答えを出すには「自分で買ってみる」しかなかったのです。

 そんな私ですが、残念ながら現行のクロノスイスの良さがイマイチ解りません。確かにコインエッジに寸胴ケースなど、特有のデザインのコードらしきものは継承されています。ただ、ラングさんにとって… いや!! クロノスイスと言うブランドにとって、それは特段重要なファクターではなかったはずなのです。

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Tora Time Zone CH1323

 ラングさんが名付けた「クロノスイス」というブランド名から、スイス時計への憧憬と同時に「打倒スイス時計!!」の思いを汲み取った愛好家は私だけではないはずです。恐らくラングさんは、唯々敬愛するが故に、スイスの時計を超えたかったのではないかと思います。

 今後、現行の「クロノスイス」に私が望むものは、23年3月に80歳でお亡くなりになった創業者ラングさんの想いに立ち返り、スイス時計よりもスイス時計らしいと言われた嘗ての「クロノスイス復活」です。それが正しく実現されたなら… 多分また買います (*´ω`*)

クロノスイス「Tora Time Zone」CH1323
型番CH1323
ムーブメントエニカ165ベース C123(自動巻)
材質ステンレス スチール
ケースサイズ38ミリ
機能24時間表示

今回の投稿で『500本』達成しちゃってました!!(汗)

 え~、今気が付きました。公開中の記事と未公開にした記事を合算したら、丁度「500本」でした。予想よりずっと早く金字塔に辿り着いてしまいました。

 ってなわけで「WP引っ越し記念フォトコンテスト」が未だ最中ではありますが、間髪を入れずに記事投稿『500本記念イベント』も考えさせていただきます。プレゼントかぁ… 今度は何が良いですかねぇ~(笑)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (4件)

  • 砂布巾さん
    こんばんわ、黒海月です。
    クロノスイスは着目したことがないブランドですが、面白い時計を作りますね。
    写真を眺めていると、雰囲気がA.ランゲ&ゾーネとブレゲを足して2で割ったように見えて来ます。
    なんだか不思議なオーラを持つメゾン・時計ですね〜〜〜(^^)

    • 黒海月さま。コメントありがとうございます♪
      ランゲとブレゲ!! でも、そうかもしれないですね。
      ラングさんが聞いたら「でしょでしょ!!」って喜んだかもしれません。
      だからこそなんですよねぇ… 昔のクロノスイスに戻って欲しい (;´∀`)
      ちなみに「隠れファン」の多いメゾンですよ~

  • 腕時計は買って終わりではないので、半年後、1年後、3年後等印象がどう変わっていくか?がこれから買おうと思った時にとても気になるところです。
    買った時が頂点でそれから半年くらいすると自然と付けなくなる時計って少なからずあります。
    逆もあってドンドン好きになっていく時計もあり、そのあたりを聞いてみたいです。
    私の場合だとサブマリーナがドンドン好きになりましたが、スピマスプロはすぐに飽きて封印されています(笑)

    • ののさま。コメントありがとうございます♪
      腕時計は「手に入れてからが本番」ですよね。
      そこから「自分色に染める」過程次第で、長く飽きることなく使える一本に育つのだと思っています。

      ドンドン好きになる… 良いですね!! それこそ醍醐味ですよ。
      私にも「自分が成長したことで見方が変化した」時計が沢山ありますから。

      でもでも、スピマスプロにも振り向いてあげて下さいね~
      淋しがってますよ~(笑)

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