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腕時計の「フェアプライス」を考える

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今回は腕時計の「フェアプライス(適正価格)」…つまり、ある腕時計の購入価格に関して、一体幾らまでなら受容できるか…というお話です。

それこそ「人それぞれ」でしょうし「それがどうした?」なのですが、ちょいと気になる体験談を腕時計販売関係者から聞きましたので、私なりに分析してみたくなりました。暇つぶしにでも御覧ください(;´∀`)

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 それはとある休日。新型コロナの新規感染者数「二桁」が続き人通りが目に見えて増えた新宿のデパートをハシゴした際のことでした。

物好きにも歩いて12~3分で新宿という立地に住む私ですが、どのエリアにどういったお店があって…みたいなことは未だ解らずじまいです(遭難しそうな地下街は恐くて行けません)ただ一つ、新宿のどこに「腕時計のお店」が存在するかだけは、この一年余りでほぼ把握できました。グーグルマップで見つけては「とりあえずお店に行ってみる!」を繰り返しましたから。「好きの一念」ってヤツですかね?

その日も腕時計を見る以外にこれといった目的もなく、脚力増進、ウォーキング気分であちこちのお店に入りました。もちろん、ロレックスのブティックがあれば「チェック」は基本。結果はカスリもせず惨敗でしたが(´;ω;`)

十分な乳酸が脚に溜まってきたころに訪れた某デパート。そもそも私は「デパートの腕時計売り場」ってヤツが大好きでして。この何とも落ち着かない目移り上等で戦場の如き空間が、私を前向きな精神状態にモード移行してくれるからです。何かと落ち込むことの多い転勤生活、私にとってそこは気分を上げるのに最適の場所だったりします(も、もちろん、買えそうなら買うのが大前提です…)

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 棒になった脚を休めるべく、視線を落とした某有名ブランド(今回は実名を避けます)のショーケース。そこにはずっと気になっている自動巻きの3針がキラリと輝いていました。隙きのない完成度が大人の色気を漂わせています。「やっぱエエわぁ~これ」なんてブツブツ言っていると、ブース担当の「イケメンスタッフ」さんが登場(イケメンじゃないと接客させないとかあるの?)

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あれやこれや見せてもらいつつ、腕時計絡みの話がバンバンはずみました。デパートには時々自分の担当商品の知識を十分に持ち合わせていない困った担当者さんもいますが、その方からは溢れる「腕時計愛」を感じました。やはり私はこういう人から時計を買いたいかな(*´∀`*)

都合20分は話をしたでしょうか。その中には以前から私が聞いてみたかったお話も含まれていました。例えば…「担当ブランド以外の腕時計を着けて接客」はアリなのか…答えは予想通り「アウト」でした。まぁ、そうでしょうね(;´∀`)

さらに、同じブランドでも担当するシリーズ以外のモノは「避けるべし」とのこと。自らが広告塔になって客前でプレゼンするという意識の高さはさすがでした。

他にも参考になるお話を沢山聞かせてもらいましたが、同じブランドの「某ビジネスウォッチ」の話で意気投合。それは今年、私も入手したばかりの時計についてでした。

「一本はお持ちだと便利ですよね!」うん。まさにその通り。軽いしメンテフリーだしデザインも格好いいし。んでもって「安かったし!」

その時計はシリーズの中では最安クラスに属し、だからこそ私も一本!となったモノですが、そのイケメンスタッフさんは苦笑い混じりにおっしゃいました。

 「それを安いと思ってくれないお客さまが多いのです…」

この一言に私はハッとしました。何というか…私の中の腕時計に関するステレオタイプに楔を打ち込まれた気がしたからです。漫画風に表現すれば「ぐぐぬ…」でしょうか。それでも私なりに言い訳を展開。材質、加工精度、機能…その他諸々を挙げ連ね、私が「この価格なら安い」と評価した根拠を並べました。そしてそれは間違いなく「適正な価値を示すもの」だったと思います。

 「腕時計にお詳しい方ならそう思っていただけるのですが…」

ここまでくると、何だか可哀想になってきました。

例えば極めて適正な「10万円」というお値段の腕時計があったとします。でもこの「適正」が誰にとってのものかが問題です。

例えば私は「Tシャツ」が4000円を越えると「高い!」と感じます。若い頃には数万円のTシャツでも欲しいと思えば頑張って買っていましたが、今の感覚ではとても無理です。「Tシャツの値段じゃない!」と拒絶反応が出ちゃうのです。つまりそのTシャツの値段は今の私の感覚では「適正ではない」ということになります。

腕時計に関しても同様に「適正だと思える」価格が人それぞれに存在するのでしょう。「これは良い仕事だ!」と目利きができれば、例え高価でも「さもあらん」なのですが、それにしたって評価は個人個人で異なります。

と同時に、スタッフさんのつぶやきを聞いて少なからず違和感を覚えました。だってここは「腕時計売り場」なのです。しかも頭に「高級」が付くブランドが中心です。そんな場所にわざわざ赴いて「買う気満々」のお客さんが、値段を云々するでしょうか?

 「1万円くらいで売ってないの?って聞かれるんですよ」

あらら…それはヒドイ(;´Д`)

そもそも高級腕時計を買いに来るなら、幾らくらい財布に忍ばせるか考えますよね?(カードなら考えないかな?)にしても1万円って…アンタ一体なにしに来はったん?って感じです。

恐らくその紳士(人物像は想像ですが)にとって、1万円を遥かに上回る腕時計は、私にとっての「数万円のTシャツ」と同じなのでしょう。腕時計に出せる金額じゃないという判断なのかもしれません。

ちなみに私自身は、対象の腕時計に価格に見合った「適正な価値」があるならば、それは素直に「出すべきお金」だと考えています。最近ですと「ミルガウス」が最高額ですから、その辺が自分の財布の現実的な限界だとは思いますが(;´∀`)

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 自分の情けないお財布の話は置いておいても、私は腕時計の「価格設定自体」に少なからず意味があると考えている人間です(中古価格のお話でも書かせていただきましたよね)

例えば「宝飾と腕時計」は出自も近い親戚筋のような関係です。しかし、モノの「価値の算出」というロジックでいえば、そのあり方は大きく異なります。宝飾ならば貴石や貴金属の使用度合いがそのまま価格に反映されるため、素人目にも「高価であること」が簡単に伝わるでしょう。「メッチャ大きいダイヤ付いてるやん!」みたいな感じに。そのための指標として宝石の重さを現す「カラット」もあります。

しかし、腕時計の価値のあり方はもっと複雑です。見た目にゴールドやダイヤが目立つ作りなら高価には見えるでしょうが、例えば世の中には表面上は平凡でも、中身に豪奢な素材が使われているような腕時計もあります。裏蓋からも中の様子が見えない場合、素人目には「フツーの腕時計」にしか見えないでしょう。

また、職人の超絶技巧という、何ともお金に換算しづらい価値も腕時計には存在します。そういう「作品」は素材が平凡なステンレスであっても、腕時計の業界的には価値があるものとされるのです。

これらはどれも素人からは見えづらい価値であり、購入する側に事前の勉強を要求する部分です。高級腕時計を買おうなんて奇特な人のほとんどは、前もってキッチリお勉強を済ませお店に顔を出すでしょう。しかし、何となくノリで「腕時計下さい!」なんて来てしまった人からすれば、どれもこれも同じ様に針がクルクル回っているだけなのに、この価格の違いは一体なんだ!?となります。

そこで重要なのが「価格」だと考えます。高い腕時計には例え目に見えなくとも高いなりの立派な理由がある…というのがメーカーの主張でしょうし、実際に高価であること自体が「ステータス」だと言えないこともありません。

つまり、解りづらい価値を誰の目にも明らかにするために、際立つような数字を値札に並べる必要があるということです。高価な商品に対しては自然と畏敬の念が生まれ、その集合としてブランド全体への見る目も変化します。要は「このブランドの腕時計なら仕方がない」或いは「むしろお買い得」と消費者を納得させることができるかが重要です。

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 それには先に述べました通り、腕時計のモノとしての価値が価格に対して適性でなければなりません。でなければ、消費者とメーカーとの信頼関係は瓦解して、ブランドの価値を高めるなんてことは夢のまた夢になってしまうでしょう。

と考えると、前述の「1万円の紳士」は、当該のブランドが作る腕時計に対して「1万円の価値しかない」と考えた可能性もありますね。

う~ん…確かに1万円台の枠でも優れた腕時計を作れちゃうブランドなんです。私も以前から危惧していた部分ではあるんですが…このブランド(メーカー)のように、あらゆる価格帯で消費者を満足させちゃうと「次のステップ」に移行させるきっかけ作りが課題として残ってしまうんですよね(;´Д`)

果たしてこのブランドはこの先、本来の溢れる商品の魅力で「1万円の紳士」「10万円の」さらには「100万円の紳士」に変節させることができるでしょうか?

コンビニのお菓子が値上げしたくらいで話題になる昨今ですから、実際難しいとは思いますが、お菓子なら「美味しければ」、腕時計なら「美しく正確で魅力的ならば」必ず活路はあると思います。実際、腕時計作りに関しては世界屈指のブランドですからね(*´∀`*)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • 高級腕時計は宝飾品であるというブログ主様の意見に同意します。
    本日、グランドセイコーの白樺モデルを購入しましたが、「腕時計」としてよりも、「工芸品」に投資した感覚です。

  • 隊長さま。
    賛同いただき勇気が出ました。
    腕時計はある価格帯から「高価である必然性」を目に見える形で表現すべく「工芸」としての価値を高める傾向が強くなります。
    最高の実用性を達成した上に、最高の宝飾としての美しさも獲得した「白樺」はそのバランスが素晴らしく、日本の現代工芸の極致としても素晴らしい時計です。
    良い時計をお持ちで羨ましいです(*´∀`)

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