そう、買っちゃってたんです。少し前に「ジャックロードさん(中野ブロードウェイ・東京都中野区)」に伺った際に…「Longines(ロンジン)」を一本。
魅惑のラドーと奥深いロンジンのお話も書かせてもらいましたが、多くの人に魅力を発信しようと書いているうちに、書いた自分自身が真っ先に触発されてしまうという…あるあるです(笑)
上の記事でも書かせていただいた通りですが、 最近のロンジンさんからは昨今の「復刻ブーム」を追い風にした勢いを感じていました。しかしながら、そもそも何でもかんでも復刻すれば喜ばれるかといえば、それこそ大きな間違い。
復刻するネタを持たない新興ブランドにはどうしようもないのは当然として、復刻する価値のある「充実した時代」を経験しているかも大切です。輝いていた過去がなければ、振り返ったとしても、そこに大した意味はないのです。
そう考えると、ロンジンのように分厚い遺産を持つブランドの「復刻」には、懐かしさを超えた価値…例えるなら「二日目のカレー」の如き、熟成の味わいがあるような気がします。美味いですよねぇ二日目。下手すると作り立てより美味しいくらい。三日目はちょっと酸っぱいですけど(笑)
現在、私の手元にあるロンジンはオヤジが使っていたゴールドのドレスウォッチが一本。私にはまだ使いこなせそうもない難しい時計なので、長い間コレクションケースで塩漬け状態なのですが、数年前からラインアップを充実させてきたヘリテージコレクションを拝見しては「一本くらいは持っていてもいいのでは…」と狙っていました。そして今回、満を持しての購入。
お手頃価格と言われることの多いロンジンの時計ですが、フツーの会社員である私にとっては「清水ダイブ」が3回くらいは必要な金額です。決して安くはないのだ!(;´∀`)
モデルの選定では案の定悩みまくりましたが、数あるヘリテージコレクションを嘗めるように俯瞰しながら「折角なので、これまで味わったことのないタイプの時計にしよう」と考えました。見た目なのか機構なのか…何であれ私にとって「初めて」の要素…それもできるだけ「有り難みを感じられる何か」を重視すべしと。
そして見つけちゃいました。ヘリテージなので大概古臭い見た目なのですが、儚げに美しく、ドレスウォッチのような気品もある。そして何より、私にとっては未体験の時計…そんな一本です。
ショップサイトで在庫を確認した上で赴いたのは、中野ブロードウェイの「ジャックロードさん」。逸る気持ちを抑え込むかのように、他の時計のショーケースを経由してからお目当てを出していただきました。実物はシルバーとホワイトのツートーンダイアルがキラッキラしてまして「この質感でこのお値段なら確かにお買い得!」と思わずにはいられませんでした。
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本格的な商談は併設された商談室で行うようになっているようです。私の場合、今回もこの先も大した買い物はできませんが「商談はこちらで」なんて誘導されると、スゴいお客さんになったみたいで気分が上がりますよね(*´∀`*)
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カジュアルですが落ち着いた商談スペースでした。ここで購入する商品に関する操作手順などをサクッとレクチャーしてもらいます。「そんなことは知っているから結構!」とか言って説明を受けない人もいるみたいですが、それは「野暮」ってものです。話が膨らまなくなっちゃいますし、今後の腕時計生活のためにもこういう一期一会は大切にすべきなのです。近所のスーパーでコロッケを買うのとはワケが違いますからね。
さて、私が買いましたヘリテージなロンジンですが…コイツです。
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「ヘリテージ コレクション コラムホイール クロノグラフ」でございます。まぁそれなりにリリースからは年数が経っているでしょうが、そもそも「老け顔の時計」なのでその辺りはどうでもよかったり。一応新品です。
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ご覧の通りのツーカウンタークロノグラフですが、リューズの上下にプッシャーが配置されたノーマルなタイプではなく、リューズと同軸にあるプッシャーを押し込んで操作する「モノプッシャー仕様」の時計です。私にとって初めてのモノプッシャー。20世紀初頭のクロノに見られたクラシカルな仕様です。何だかそれだけで有り難い感じがしますね。
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機会があれば一度触って頂ければと思いますがこのキャリバー、同軸プッシャーを「押す感触」がかなり独特です。よくある「カチン!」でも「バチン!」でも「キン!」でもなく、表現が難しいのですが…「ムニュ~」な感触。こんなのは私も初めてでして、面白いので不必要に何度も「ムニュ~」を繰り返してしまいました(笑)
ケースのやや内側からくさび形のラグが伸びる「インナーウェッジ型」のケースが、古く見えたりあたらしく見えたり…過去を否定するのではなく、新しいディフェクトスタンダードを生み出そうともがいていた時代の流れを感じます。全体的に流行り廃り関係なしの不変的なデザインだと思いますねぇ(ΦωΦ)
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ストラップとバックルはまぁお値段なり…と思いきや、柔らかさといい肌への当たり具合といい、それは中々のものでした。地味に価格帯によって差が出る部分ですが、頑張っていると言ってよい上々の出来だと思います。
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早速、散歩に連れ出してみました(*´∇`*)
快晴の日差しの下だとダイアルの微妙なバイカラーや青針のエッジの立ったブルーがよく映えます。全ポリッシュのピカピカしたケースも余りうるさい感じはしません。ダイアルのラッカー仕上げの白い部分が深雪のように美しい。冬だな…冬景色がよく似合う時計だ!
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都庁をバックに。中々どうして画になるではないですか?(笑)
思うに、数年前なら恐らく私の「腕時計レーダー」の索敵に引っかかる時計ではなかったと思うのです。小さめのインダイアルで余白多めっていうデザイン的なバランスも何だか妙に野暮ったくて…間違いなくこれまでなら避けて通ってきた種類の時計です。
果たしてこの所有欲求の変化は進化なのか老化なのか…(笑)どちらにせよ、趣味趣向の変わりっぷりに自分自身が驚いています。
例えば…10年も遡れば、その頃の私には「ロンジン」をどうこうしよう…なんて考えはこれっぽっちもありませんでした。完全に埒外。琴線にかすりもしない…そんな時計しか見当たらないブランドだと感じていたワケです。とにかく、手元に置いておきたいと、そんな風に感じる対象ではありませんでした。
ところが…洋服を格好良さではなく「楽さ加減」で選ぶようになり、味噌煮よりも塩の方が「サバは美味い」と言い切れるようになり、あれだけ嫌いだった銀杏を今や探してまで買うようになって、ようやくロンジンの良さ…その真価が解るようになったのです。いよいよ「おじいちゃん趣味の入り口に立った」そんな感じでしょうか?
昔から私の中のロンジンのイメージは、終始一貫「年配の方のためのブランド」といった感じでした。それは決して「じじむさい時計」という意味ではありません。おじいちゃんが着けてたらいい感じだなぁ~って、そんな風に思うという話です。若い頃は身を粉にしてバリバリ働いた男性のリタイア後の姿。静かで少し刺激の足りない日常…そんな風景にロンジンがしっくりとハマるような気がするのです。全くもって、私の勝手なイメージですが(笑)
ちなみに今回入手した「ヘリテージ コレクション コラムホイール クロノグラフ」ですが、ケース幅は「41ミリ」と結構デカい。狭いベゼル、真っ白に近いダイアルということもあってか、視覚的な印象もかなり大ぶり。ぱっと見はクラシカルなのに異様に存在感があるのです。
つまり、乱暴に「おじいちゃんの時計」と決めつけるには少々オーバーサイズなのです。なのでコレに関しては「洗練される前の時代の古臭いクロノグラフを、現代風にリプロダクトした時計」として自分の中で解釈しすることにしました。古臭いのに、所々で「イマ感」を感じると言いますか…
ロンジンが展開するヘリテージコレクションシリーズからは、単なる懐古趣味としてのセルフカバーとも違う「21世紀のニュークラシックを作ってやるぞ!」…そんな気概すら感じるのです。
かつてはロレックスと比肩するポジションで称されたロンジンですが、脈々と継承されてきた歴史を武器に、ファン待望の復権を果たしつつあると感じます。掘り起こし甲斐のある「金脈」を持つブランド「ロンジン」の今後に期待しつつ、私も新参のロンジンを使っていきたいと思います。願わくば「ヘリテージ コレクション コラムホイール クロノグラフ」が「名作復刻」として語られる日が訪れますように(*´∇`*)
ブランド | LONGINES |
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モデル | ヘリテージ コレクション コラムホイール クロノグラフ |
型番 | L2.800.4.26.2 |
ケース径 | 41ミリ |
ケース素材 | ステンレススチール |
ベルト素材 | 皮革 |
文字盤カラー | ホワイト・シルバー |
キャリバー | cal.L788(パワーリザーブ54時間) |
防水性能 | 30m防水 |
風防 | サファイアクリスタル |
仕様 | コラムホイール式クロノグラフ |
重量 | 85.3g |
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