ちょっと古いデータで恐縮ですが、高級腕時計販売で知られるRASINさんの特集を参考にこんなグラフを作ってみました。腕時計のメゾンといえる企業のグループ別の売上高を米ドルで表したもの。LVMHやリシュモンは腕時計以外の宝飾や高級衣類などでもトップのグループですから、腕時計の売上だけを計上したものではありませんが…LVMHの実力が傑出していることが解ります。リシュモンですらまるで及んでいない状況です。
その最強軍団「LVMH」で腕時計のブランドと呼べるのは以下のメゾンでしょうか。
- タグ・ホイヤー
- ディオール・ウォッチ
- ショーメ
- ウブロ
- ゼニス
- ブルガリ
なるほど、そりゃあ強いわ( ー`дー´)
私にとってはあまり縁のないグループと言えるかもしれません。若い頃に大ブームがあったタグ・ホイヤーは持っていましたが、現在所持しているのはブルガリだけ。ゼニスはまだしもウブロなんかとてもとても…という感じです(クラシック・フュージョンでも高いもんなぁ…)
BVLGARIは時計のメゾンとしても躍進が目覚ましいブランドです
LVMHの場合、腕時計メゾンを戦略的に統括するWatch and Jewelry部門が、腕時計の全てを販売しているというわけでもないらしく全容の把握が難しいのですが、とにかく全部をまるっと引っくるめると「最強の座」は間違いなさそうです。
では、2位に君臨する「リシュモン」はといいますと…
- ボーム&メルシエ
- カルティエ
- IWC
- ジャガー・ルクルト
- A.ランゲ&ゾーネ
- オフィチーネ・パネライ
- ピアジェ
- ロジェ・デュブイ
- ヴァシュロン・コンスタンタン
- ヴァンクリーフ&アーペル
- ラルフ・ローレン
- モンブラン
などです。腕時計に関して言えば、錚々たる顔ぶれです。
独立企業の印象が強いパネライですが、リシュモンなんですね
私としては所有するIWCとパネライがある分、割りと身近に感じられますが、リシュモンにもルクルトやランゲ、ヴァシュロンといった超一流のメゾンが参加しています。どれも日本人にもよく知られたハイブランドで高嶺の花ばかりですね。
3位は「ケリング」です。
- ベダ&カンパニー
- ブシュロン
- ジラール・ペルゴ
- ジャンリシャール
- ユリスナルダン
などです。こりゃシブい!ちなみに私はなにも持っていません。
フランスの典型的なハイジュエラー、ブシュロンが入っていますが、実はなかなか良い時計を作ることでも知られています。ジャン・リシャールってのも通好み。こうしてリスト化すると「ケリング、イケてるやん!」と思えてきました。
4位は「スウォッチ・グループ」です。
- ブレゲ
- ハリー・ウィンストン
- ブランパン
- グラスヒュッテ・オリジナル
- ジャケ・ドロー
- オメガ
- ロンジン
- ラドー
- ティソ
- カルバン・クライン ウォッチ
- ミドー
- ハミルトン
- スウォッチ
などなどです。バラエティーに富んだ、手広いクラス展開ですね。
スウォッチGの中だとハミルトンの立ち位置が微妙…
私としてはオメガをどんどん高級路線化してくれた「スウォッチG=悪の枢軸」みたいな印象なんですが、こうしてみると、ブレゲやブランパンといったところでの集客が難しいのだろうなぁ~と想像します。その分、知名度抜群のオメガにその後詰めを任せたかったんじゃないでしょうか?ティソとハミルトンなんかはターゲットレンジが近すぎて差別化が難しそうですね。なるほど~、案外苦労してるグループかもしれません。
5位は「ROLEX」です。
ROLEXには是が非でも欲しいと思わせる時計が多いのは確かです
ロレックスの場合、独立ブランドとして単独で名だたるコングロマリットに対抗しています。さすがというかなんというか。この売上高がチューダーとの合算かはわかりませんが、だとしても凄いことだと思います。
ロレックスの武器は何といっても「最強の知名度」。しかしそれも、高名に負けない高品質な商品が作れればこそです。顧客の絶対的な支持とメゾンの戦略が、現在のロレックスのマーケットを築き上げたわけですが、それこそが目に見えない「ロレックス・グループ」だと言っても良いかもしれません。
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6位は「シチズン」です。
機械式を極端に減らしつつあるシチズンです。勝機を見たのでしょうか?
まさかのロレックスに次ぐ順位。いやぁお見事です。
近年はラインアップをクオーツ(エコ・ドライブなど)に絞りつつあり、普及価格帯で存在感を増してきています。ブローバやフレデリック・コンスタントを傘下におさめて脇を固めるなど、したたかな企業に成長中の印象がある近年です。
日本ではセイコーより格下のような見られ方もありますが、世界企業としてはシチズンの方が先んじているかもしれません。どちらにしても、日本人として誇らしい限りですね。
7位は「セイコー」です。
「最高の普通」こそがセイコーの真骨頂でしょう
世界が認める日本のマニファクチュール。高度な技術力と安定した製造部門の持続力が合わさって、腕時計の歴史の針を大きく進める役割を担ってきました。世界中のメゾンに畏怖される存在といえるでしょう。
ロレックス、シチズンと同様に、独立したメゾンとして群雄割拠の腕時計業界で足場を築いています。手頃な価格の高性能腕時計ならセイコー、という確固たるイメージがありますが、グランドセイコーのブランドバリューが上がってきてますので、高級路線でも次第に存在感を示しつつあります。
間違いない時計を次々と生み出す底力は、日本のモノ造りの魂がまだまだ枯れていない証左かもしれません。
8位は「パテック・フィリップ」です。
「ノーチラス」腕時計好きなら、ため息が出るはずです
雲上ブランドの中でも最高峰「パテック・フィリップ」です。全てが高級外車並みのお値段(上位はマンションが買えます)なので絶対的な販売本数は少ないはずなのですが、それでも8位に着けました。以前はロレックスが「成功者が身につける時計」の代表格でしたが、現代ならこのパテックかもしれません。
あらゆるパーツを自社開発製造できる完全なマニファクチュールであり、1839年の創業以来、販売した全ての時計の修理を受け付けているそうです。ユーザーが自分の子孫にパテックを継承しても、その後も完璧なサービスが提供される。例えば「親子三代で使う」と考えれば、高級外車並のお値段でも決して高価すぎることはないはずです。
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さてさて、グラフに記した「1位から8位」を見てきました。
印象的なのは独立企業の頑張りです。ロレックスはまぁ予想通りの結果として、シチズンとセイコーの手堅さを嬉しく思った次第です。まぁ、シチズンもセイコーも単価が知れていますから、かなりの本数を売り上げたところで、売上高の数字を大きく伸ばすことは難しいと思います。
その点でいうと、100万円超えの時計をバカスカ売っちゃうロレックスの現在が、いかに盤石なのかが解ろうというものです。
しかし、腕時計が純粋な宝飾と異なるのは「実用性が存在する」というその一点だと思います。実用性の価値がデザインや貴金属としての価値、ブランドイメージなどを覆すレベルに達したとき、現在の勢力図が激変する予感がします。日本のブランド、セイコー、シチズン、カシオ…には業界を揺らすような力を持った「新しい何か」を期待したいですね!
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