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今さら「LONGINES」でもあるまいに…と思っていた愚かな自分


 もう随分と昔の話ですが、八重山諸島のあちこちで素潜りを楽しんだことがあります。真水のように透明な遠浅の海に透けて見える「サンゴ礁」は、まるで浦島太郎の絵本の見開きのように美しくて「生きててよかった!」と心底感動しました。

 ちなみに「サンゴ礁」「サンゴ」の集まったものです。サンゴはクラゲやイソギンチャクに近種の「刺胞動物」ですが、その「ポリプ」と呼ばれる小さな個体が集まって群体をなし、長い時間をかけて環境に応じた「テーブル」「枝」などの形態になります。その「奇跡」を水深数メートルの間近で拝める海が日本にはあるのです。

  サンゴは海底の岩にへばりつき、時間をかけて美しいサンゴ礁を形成します。サンゴの個体自体は小さなイソギンチャクみたいなものですが、それが集まることで、ダイバーたちの心を掴んで離さない、神秘的な美を創造しているのです。

 唐突ですが、皆さまは「LONGINES(ロンジン)」というブランドについてどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 現在のロンジンは、恐らくそれ自体を能動的に探さない限り、一般の目にあるいは意識に触れる機会が多いブランドとは言えません。もの凄く乱暴に言ってしまうなら、残念ながら現在のロンジンというブランドは、腕時計愛好家の好事を満たす存在ではなくなっています。

ロンジン アンティーク クオーツ

手元にある唯一のロンジン(親父の形見の一本)です。 

 僅かでもその歴史をご存じの方なら、かつてロンジンが腕時計のトップブランドとして輝いていた事実についてもご承知でしょう。大西洋無着陸横断飛行を成し遂げたリンドバーグの構想によって生まれた「アワーアングルウォッチ」に代表されるように、国際航空連盟公式時計の座にあったロンジンの時計は「空の冒険者たち」に愛され、ブランド自体のイメージも革新的な機構を次々に搭載する「開拓者」としてのものでした。

 クオーツショックの時代が到来しても、ロンジンの姿勢はまさに「開拓者」の名に相応しいものだったと思います。高性能のクオーツを次々に開発しては「外敵」に正面から対抗し、尚且、機械式の火を絶やさぬ努力の現れとして、36000振動の「Cal.430」を誕生させたりしています。そう!めっちゃアグレッシブなメゾンだったんです。薄型ドレスウォッチの分野でも、厚さが2ミリもないという「エコ・ドライブ ワン」もビックリな時計を発表しています。

 いわば、「技術のロンジン」(どっかで聞いたフレーズだなぁ…)

 そんな「尖った」ロンジンも近年はすっかり丸くなってしまったのか、私が最近良い噂を聞いたのは「中国人がロンジン大好きらしい」という話くらいでした。まぁそのことが、私の中でロンジンをさらに遠ざける一因になってしまったのですが(;´∀`)

 1800年代初頭からの歴史を誇るロンジンですから、単純なブランドバリューはそうそう衰えるものではないでしょう。しかし肝心の発売される腕時計に、近年は「これは!!」と膝を打つような出来の時計が見当たらなかったのは、事実だと思います。

 そんなロンジンですが、たまには「良いんじゃないか!」と思える時計も出現します。例えば…

ロンジン レジェンドダイバー

レジェンドダイバー デイト

(L3.774.4.50.6) 

 雰囲気はさすがの歴史を感じさせるレトロダイバールックな一本。ロンジンの時計で久しぶりに目が止まりました。発売されて随分経過してはいますが、未だに欲しくて悩んでいるところです。

 昨今は自社のアーカイブ掘り起こしが一つの流行ですが、この流れは「過去に魅力のある時計が山盛りに存在した」ロンジンのようなブランドにとって、絶好の巻き返しの機会だと言えます。素人の私でも思うくらいですから、当のロンジンの中の人も手をこまねいているわけではありませんでした。

ロンジン ヘリテージ ミリタリー

ヘリテージ ミリタリー

(L2.819.4.93.2) 

 狙っている一本です。こういう古臭いのを作らせるとロンジンの「歴史の重み」が存分に活かせます。ハンド(針)の形やアワーマーカーの書体に至るまで、こういうブランドが作ると「リアリティー」が違いますね(*´∀`*)

 このような「アーカイブ物」に活路を求める一方、今風の…若者向けの時計ではどうかというと、私の主観ですが、ロンジンはダイバーズのなどのスポーツウォッチがイマイチ…弾けきれていない部分があると思います。

 う~ん、表現が見当たりませんが…ワクワクしないのです。現行の「ハイドロコンクエスト」はどれも「合体ロボット」のようにカクカクしていますし、お洒落が足りない。そこそこお高いシリーズですから、洒落で買うような時計では無いと思いますので、もう少し洒脱な「それでも欲しい!」と思えるデザインにならんかなぁ~と思います。

 他ブランドとの差別化はしっかりできてるんですけどね。格好良くなけりゃ意味がないわけです( ・`д・´)

 ロンジンのラインアップの中でフラッグシップと言えば「マスターコレクション」でしょうか。この中にもいかにも「ロンジンらしい」ちょい古臭いけど手元に置いておきたくなる時計があります。

ロンジン マスターコレクション

マスターコレクション ムーンフェイズ

(L2.673.4.92.6)

[新品] LONGINES ロンジン L2.673.4.92.6 マスターコレクション クロノムーンフェイズ 自動巻き メンズ腕時計 ブルー文字盤 ステンレススティール

 ハンドの形状の選択やインダイアルの配置加減にロンジン特有のバランスが見て取れます。ロゴが無くても間違いなくロンジンの時計に見えるデザインです。可愛いですねぇ~。スーツのときにでも使いたい時計です(めったに着ませんけど…)

 ロンジンのオフィシャルページでコレクションを眺めていて、一つの結論に至ったことがあります。

 ロンジンの時計は、やっぱり一本一本の印象は他ブランドに比べてかなり「弱い」と言わざるを得ないと思います。それがブランド全体にとって、文字通り「ウィークポイント」になってしまっているのは間違いないでしょう。

 しかし時間をかけてコレクションを俯瞰して見てみると、ちょっと他のブランドでは見られないような、全体的なバランスの良さを感じました。突出した一本が見当たらない分、全体のコレクションが美しいユニバースを形成して、なんとも言えない良い雰囲気なのです。そこでは私が貶してしまった「ハイドロコンクエスト」だって、とても重要な役割を品よく担っている印象です。

 つまり、現行のロンジンのコレクションは「群体としての美しさ」を評価すべきものなのかもしれません。サンゴ礁だって近くで見れば良くわからない…「ゾワッ」とさせられる代物です。しかしその全体を広角に引いてみた時に、この世のものとは思えない美しい光景を私たちに見せてくれるのです。

 ロンジンの時計とは、その一本で評価するものではなく、手元にない他のラインアップも合わせて、自分がそのユニバースの一部であると意識しながら楽しむものなのかもしれません。

 これまで興味のなかった方も、ぜひ一度、ロンジンのオフィシャルを御覧ください。それは、絶景のサンゴ礁にも劣らない桃源郷に見えるかもしれませんよ(*´∀`*)

Longines®公式ウェブサイト:1832年創業スイスの時計メーカー

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