腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

「1本だけ選べ」と言われたら?【SEIKO MECHANICAL SARB035】

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例えば、抵抗し難い絶対的な存在から「好きな腕時計を1本だけ選べ!」と命令されたとします。他は全て知らない場所で廃棄されてしまうため、選ばなかった時計とは二度と再会できない「ルール」です。あなたなら自分の手持ちの時計からどれを選んで残しますか?

※その際、ありとあらゆる社会的なシガラミ、経済的な事情やステータス的な問題は存在しないものと仮定します。

 

( ゚д゚)はい。唐突な質問スタイルで始まりましたが、私の場合このくらいの危機的状況に自分を追い込まないと、膨れ上がったコレクション整理なんてできないんじゃないかと、最近ふと思ったりしまして。

 

これまでに散々頭の中でシミュレートしてきた「コレクション整理」ですが、最初の山である「50本まで減らす」ですらその麓すら見えてきません。考えれば考えるほど、全部の時計が好きなんです(;´Д`)好きで買ったわけで当たり前ちゃ当たり前なんですが。

 

「50本」の次の段階、「32本」を実現した時用に買った大型のウォッチケースは、今の所よく使う時計たちの保管場所としてフツーに利用される始末で、当初の目的を全く果たせていない状況です。一念発起して買ったケースなんですけどね。何やってんだ!?

 

 

しかし、最初は「点」に過ぎなかった私の時計趣味も、知識と情報の増加とともに、放射状の広がりを見せるに至りました。一見、自由気ままに好きなモノを入手しているように見えて、その実、自分なりのルールを決めて候補を選んでいたりします。

ただし放射状ですから、中心の点(起点となった時計)から近い時点では個々の相違点も明確に掴めていたのが、物理的な本数が増加して膨張していくにつれ、初期に決めた「掟」すら怪しくなってしまったのです。同時に平行する他の時計たちとの連携も薄れてしまって…結果としてコレクションを線で繋いだときの関連性が見えづらくなってしまったというか…アチャー(;´Д`)

ビッグバンが発生して以降膨張する宇宙空間をイメージしていただければ、わかりやすいと思います。って、そんな壮大な話ではないのですが。

 

コレクションである以上、何らかの「一貫性」は維持すべきだと思います。しかし私の場合、以上にあげた理由で次第にその辺りが曖昧になりつつあると感じます。所有本数が60本を越えたあたりから、新しい時計を買う際に現在所有している時計たちを明確に思い出せなくなってきているのです。これは老化現象なのか、はたまたキャパシティーの限界なのか…

 

願わくば20年くらい若返って、最初の1本から腕時計蒐集をやりなおしてみたいものです。集めるカテゴリーも最初から絞って、3針かあるいはクロノグラフかもどちらかに決めておく。ノンデイトの3針しか集めないと決めれば、多様なブランドに触れたい派の私でも、現実的な(可愛げのある)本数で満足できたはずなのです。まぁ、メッチャ今更なのですが(;´Д`)

 

この1本しか持てない場合の「1本」と、コレクションの起点というか基礎としての「1本」では本質的な意味合いが異なりますが、どちらのケースにおいてもその「1本」にしたい時計があります。

それが「SEIKO MECHANICAL SARB035」です。

 

 

セイコー機械式腕時計における「正解」の一つである「SARB035」。鉄板の安定感は機能とデザインのどちらからも感じられて、現行の製品ではセイコーのというよりも日本の機械式腕時計の象徴的なモデルと言えるかと思います。

[セイコー]SEIKO 腕時計 MECHANICAL メカニカル SARB035 メンズ

[セイコー]SEIKO 腕時計 MECHANICAL メカニカル SARB035 メンズ

 

 

もしも生涯、この「SARB035」を使い続けなければならないとします。以前、同じ時計の使用感を紹介した回でも述べました通り、私の場合はなんの不満もなく愛着を持って使い続けられると断言できます。例えば機械式の定番の一つであるROLEXのデイトジャストを白か黒のダイアルカラーで持っていたとしましょう。それでも私は「唯一の1本」ということなら「SARB035」を選びたい。何故かと具体的な理由を問われれば答えに窮するところですが、それは繊細に皮膚感覚的な部分でして…強引に例えるなら毎日の朝ごはんに置き換えると解りやすいかもしれません。

ソーセージとスクランブルエッグにクロワッサンの朝食を死ぬまで毎朝はキツイですが、塩サバと味噌汁と白ごはんなら(たぶん)いける。「SARB035」は私にとってそういう「和食」イメージの時計なのです。毎日身に着けても恐らく飽きることがない。「SARB035」の最大の特徴は、性能やデザインを個別に見た評価ではなく、トータルな存在としての「普遍性」にあると思います。毎日食える塩サバな時計、それが「SARB035」なのです。

 

コレクションの起点という役割も「SARB035」なら十二分にこなせるような気がします。「SARB035」イデアセイコーの原型を担っていると私なんかは考えていて、その小揺るぎもしない「ここから始まる感」が多くのファンに支持される要因だと思います。ムーブメントのグレードでいうと「中の上」くらいの6R15を使用しているのに安価ですとか、そういう経済的な価値基準とは次元の違うセイコーの代表選手」を身に着けるような感覚、つまり、セイコーの看板を背負う喜びが価格を遥かに越える充足感に結びついていると思います。

ですから、人によっては「最初にして最後の時計」になりうる可能性もありますし、起点としてますます腕時計が好きなる人もいるでしょう。どちらの結果になるにしても、決して持つ人をガッカリさせない時計であることは間違いありません。

 

安価な時計ですが、見た目で我慢する必要がないのも「SARB035」の特徴です。十分に丁寧な仕上げのケースに着け心地もなめらかなブレス。ムーブメント自体は見せて楽しい作りではありませんが、裏スケの見せ方はかなりカッコいいと思います。

 

 

ダイアル面は変哲のないアイボリーホワイトですが、アンティークの時計によく見るようなつや消し具合でアワーマーカーがとても見やすく上品です。アプライドインデックスは小さくても美しい影を落として、これまた視認性を底上げしてくれます。

特に素晴らしいのは「時と分のハンド(針)」でしょうか。

 

 

シンブルな直線のみで構成されたハンドが絶妙な美しさです。もしも夜光がなかったら、グランドセイコーにも引けを取らないんじゃないでしょうか?秒針が極端に細いので、動作中でもその忙しない動きで視覚的な美しさを損なうことがありません。購入した直後はこの細すぎる秒針に不満を感じていたのですが、今では「これで正解なんだ」と思います。そう、これ以上太いと美しくないのです。

38ミリというケース幅もむしろこれからスタンダードとして再評価されるサイズ感だと思います。適度な重量で袖口に心地よい存在感を与えてくれます。仕事中でも邪魔にならない…いや、仕事中にこそ使って欲しい、正統派のビジネス時計だと思います。

 

以上、「1本だけ選べ」と言われたら「SEIKO MECHANICAL SARB035」を選ぶよ、というお話でした。同じセイコーカニカル仲間のアルピニスト(SARB017)もとても支持の高い素晴らしい時計ですが、独特のクセがあって1本目、あるいは1本だけの存在にはなりません。3本目くらいの時計としては最高ですけどね。

 

あまり考えたくもないことですが、そろそろ「SARB035(033)」の後継機が見たい気もします。6R搭載機ですと「SARX045」あたりがそうなのかなぁとも思いますが、ちょいと路線が異なるような気も…あれはあれでシンプルでカッコいいんですが「コレじゃない感」もあったりします(汗)さてはて、私の中に根強くあるSARB035「絶対的な定番感」を脅かす時計に出会えるのは、いつになりますことやら( ゚д゚ )

 

※ちょうどいま、お値段下がり目でした。黒も買っておくべきなのか…

[セイコー]SEIKO 腕時計 MECHANICAL メカニカル SARB033 メンズ

[セイコー]SEIKO 腕時計 MECHANICAL メカニカル SARB033 メンズ

 

 

「SARX045」の色、ベルト違いですが気になってます(笑)