150年余りの歴史を持つ「カトレックス」。創業者のジョルジュ イグナス カッティンから6代もの長きに渡り一族経営を続けている珍しい時計メーカーです。
懐中時計全盛の時代から腕時計の時代へ移り変わる中で、懐中時計の製造に徹し続けたスイスの頑固親父(`・ω・´) 時代遅れと言われようが、クオーツの嵐が吹き荒れようがブレない姿勢で懐中時計を作り続け、結果としてカトレックスは一度も潰れることなく、その歴史を紡いできました。
やがて馬鹿みたいに高騰するスイスの腕時計製造を見続けて業を煮やした6代目が満を持しての「腕時計本格参入」。価値に対して適正な価格を持った腕時計の製造を開始します。
投資家を相手にするような経営を忌避し、あくまで自由な家族経営を続けたカトレックス。少量生産体制ながら安定した品質の時計を生み出し続け、腕時計愛好家の間で知られる存在であり続けています。
渋い!渋すぎるよ。カトレックス(´;ω;`)
カトレックスの中で私が所有するのが「シー・ヴィンテージ オートマチック」です。
早い段階でNATO化しています。このブルー、青さ加減、磨き方を変えることで奥深い輝きを与えられたダイアルの美しさ。全体的にはどシンプルな時計ではありますが、見る角度で様々に変化する表情が美しく、手に入れる前より、手に入れた後でより深く好きになった時計です。
私のコレクションの中でも美しさでは「1、2」を争う美人な時計ですが、実は中身が変わっています。というか、マニアックです。あえてオールドなビンテージムーブメントを搭載しているのです。
アドルフシールドの「AS2063」。デッドストックの毎時21,600回転は1960年代の当時、世界最高の精度を誇る名機だったそうです。アドルフシールド社は現ETAの母体となったエボーシュの一つ。時計好きならグッとくるであろう仕掛けがたまりません( ´∀`)
5気圧防水です。ギリでオールシーズン対応と言っても良いでしょうか。はなから解っている大雨の日には避けると思いますが、予期せぬ悪天候でも問題はないでしょう。
ちょっと派手目なNATOがよく似合う、可愛らしいデザインです。若さもあり落ち着きもある。個人的にはハンドがどストライクで好きな作りです。美しい…(;´Д`)
決してステータス感の高い時計ではありません。30万円くらいなので、そこそこお値段はしますが、一見は普段着の時計っぽい空気をまとっています。さらにNATOに換装してからは特にカジュアル感が増しました。高級時計を身に着けた時の「ドヤ感」と正反対の場所に位置する時計です。美しく可愛くて気さく、でもホントは上物。そして奥ゆかしいのです( ー`дー´)
毎日身に着けたとしても、近い人とカブる可能性は皆無でしょう。残念ながら、未だにカトレックス使いの人に出会ったことがありません。惜しいですね。手頃なお値段でこんなに魅力的なのに。
「CATOREX C’Vintage Automatic(8162)」諸元表
ムーブメント:アドルフシールド社製、AS2063
パワーリザーブ:32時間
ケース幅:42ミリ
ケース素材:316Lステンレススチール
ストラップ:アリゲーターレザー
防水性能:5気圧
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