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腕時計の高級志向に背を向ける孤高のメーカー「TIMEX」を讃えよ

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 久しぶりに「雲上」を手にして理解できたことがあります。名ばかりの高級と異なり、本物はどこを切っても「正真正銘の本物」だということです。さすがに高かっただけのことはあるなぁ~と。

 パテックフィリップの中では話題にもならない地味な「ゴンドーロ」ではありますが、身に着ける度に漏れるため息。そして未だに「オレで良かったのか??」と考えてしまう自分がいます (;´∀`)

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高額傾向を加速させた「自社ムーブメント化」

 反面、高級感を売りにしつつも、何らかの事情からコストダウンを余儀なくされ、見えない部分にそのしわ寄せが起きている時計を見ることもあります(一時炎上したアレとかもありましたよねぇ)

 これは私がブログを始めた頃(2017年)なら許されなかったことです。何だかやたらと厳しい意見が多く、妥当な価格で販売されるエボーシュ搭載品に対してさえ、随分と辛辣な時代でした。その結果、悪評の払拭に何年も費やすはめになったブランドも存在します。今よりもずっと「このブランドは斯くあるべき」という価値観がハッキリしていた時代だったのかもしれません。

 その時代の価値観は、後の「マニファクチュール神話」を生み出しました。自社製のムーブメントを搭載していなければ一流とは呼べない… 考えてみれば、これには修飾も形容も足りていません。「エボーシュよりも優れた自社製」でなければ、そもそも搭載する意味がないはずです。

 事実、マニファクチュールブームの初期には力不足のメーカーまでもが「自社ムーブメント開発」に走り、様々な問題を抱えた時計が高額で取り引きされるに至りました。この頃の「新参自社ムーブ搭載品購入」はある意味でギャンブルでしたからね (;´Д`)

 高額である理由付け… 説得力を得るために行われた感のある初期のマニファクチュールブーム。その頃と比較すれば、現状は随分とマシになりました。エボーシュとマニファクチュールの中間に「ケニッシ」のようなサプライヤーも登場しましたし「この価格帯でETAは気が引ける」と考えるメーカー・ブランドにとって「丁度良い味変」も可能な、とてもやりやすい時代になったと思います。

 ただ… 腕時計の本質を思えば、本来手を加える必要のない部分にコストをかけ、ムリクリに値段を釣り上げているようにも見えます。どうなんでしょうねぇ… この文化。

「TIMEX(タイメックス)」は腕時計界のモーセだ!!

 長々とリードを組み立てたのにはワケがあります。過日、ニュースポータル経由で『WATCHNAVI Salon』 さんの「TIMEX(タイメックス)」の記事を読みましてねぇ。その内容にワタクシ、何だかとても嬉しくなったんですよ。これは何としても賞賛すべしと考えたわけですが、そのためには私の考えを予め述べておく必要があったのです。

 記事の概要は次の通り。TIMEXのCEO、マルコ・ザンビアンキ氏とデザイナーのジョルジオ・ガリ氏が来日。そこで「TIMEX」のブランドと「腕時計界の現状」について忌憚のない意見を聞いてみた… ぶっちゃけるとそんな感じでした。

 私はあらゆる事象の「ど真ん中」「両端」にこそ物事の行方を左右する力があると信じています。何故ならその3つには、それぞれが支配するベクトルが存在するからです。ど真ん中はまさに「中心」。世界を動かし、物事の価値を決定する力のあるポジションです。時計業界で言うなら「ロレックス」で決まりでしょうね。

 両端、その最右翼にあるのは何でしょう… リシャールかもしれないし、滅多に現物を見られない「独立系」かもしれません。一つ言えることは「ロレックスよりも遥かに高価で希少であること」。100個のロレックスに有無を言わせない「物の価値」を持ち、誰もがひれ伏すのがこのポジションです。

 そして最左翼。私はこのポジションに「TIMEX」を据えています。量販店の入り口にぶら下がっているタイメックスを… です。ただ私個人はずっと、遡れば学生時代からTIMEXを崇拝してきました。19世紀末、たった1ドルで買える「ダラーウォッチ」を生み出し、あらゆる人に正確な時間の共有を約束した「TIMEX」。世界初の文字盤全面発光機能「インディグロナイトライト」は、腕時計の暗所でのあり方を大きく変える革命的な発明でした。それは天上からパンを降らせるに等しい一種の奇跡だったに違いありません。「全ての人に時計を与えん」… その理念はTIMEXの礎として今も生きています。その証明が「量販店の入り口(出口)」にぶら下がっているのです。

 TIMEXにとって「安さ」「信念」です。壊れやすいと言われようが、カチカチ音がうるさいと言われようが、安い時計を世界中に届ける使命を帯びた姿は「モーセ」のよう。さらに最近は安っぽさの中にも「欲しくなる魅力」を持った時計も増えてきました。

 何事にも信念を持った男は格好いいですよね。それは「TIMEX」も同じです。己を信じて周囲に影響を与え皆を導くその姿… 安い時計を作っているけれど、断じて「安い存在ではない」。それがオレたちの「TIMEX」なのです (*´∀`*)

高級腕時計ブームを「他人ごと」にできる「TIMEXの強さ」

Expedition North Tide-Temp-Compass(TW2V64400) やっぱりコイツは写真写り最高!!

 件の『WATCHNAVI Salon』 さんの記事の「肝」は、TIMEXという企業が昨今の「高級腕時計ブーム」をどのように見ているかについての記述でした。記事中には「たった一文」あるのみですが、私はそこに「TIMEXのプライド」とその大きさを感じました。

 CEOのザンビアンキ氏は昨今の尋常ではない高級時計の盛り上がりについての質問に対して、このように答えています。

 「今のように先行きが不透明な情勢だと、金などの有形資産の投資に目を向ける人が増えるのは自然なこと。ただ、それ自体は同じグループ内の別ブランドも含め、まったく関係のない出来事だと思っている(苦笑)」

 ザンビアンキ氏は続けてこのようにも述べています。

 「ブランドの根幹を揺るがすような価格設定の時計を作る必要はない。そうした金銭的な価値よりも、使っていて心が豊かになるような時計を作りたい…」

 心の中に爽やかな風が吹くような一言です。もしも私が取材に同席していたら、間違いなく「I wanted to hear that one word!!」と絶叫しながらCEOを抱きしめていたでしょう(笑)

 現状、ライト層向けの時計を作るブランドであっても、TIMEXのザンビアンキCEOのように「うちは高級路線と関係がない」なんて、表立って言えるものではありません。様々な成長戦略を描く可能性の中に「高級路線に舵を取る」があるかもしれないからです。

 誰憚ることもなく言い切ったCEOの一言は、卓越した「戦略眼」「聡明」の表れだと思います。高級どころに喧嘩をふっかけているつもりはないでしょうし「どうせ敵わないから」と拗ねているわけでもないでしょう。

 一言で言えば、腕時計業界における課せられた使命の違いとその規模を的確に捉え、各ブランド・メーカーそれぞれの「守備位置の違い」を明確にしたものではないかと思います。

 創業170周年を迎える老舗ブランドでありながら、終始一貫ぶれない物作りの姿勢。これこそが安い時計を中心としながらも、常に業界の柱として存在感を誇示し続ける「TIMEX」の凄みではないでしょうか?? 素晴らしいインタビュー記事で、再認識の機会を与えて下さった『WATCHNAVI Salon』 さんに感謝ですね (*´∀`*)

安い時計で人類に貢献し続ける「TIMEX」

 創業から170年を迎えた「TIMEX」。これほどの歴史があっても「安い時計」を作り続ける姿勢を崩さなかった理由は前述した通りです。時代の波に飲まれることなく己の使命を敢然と全うし続ける限り「TIMEXは不滅」であると確信しているからこそでしょう。

 私はTIMEXというメーカーを「腕時計業界の要石」だと考えています。歴史を積み重ねたブランドの多くが高額商品を中心に展開する中で「TIMEXのあり方」「極めて異質」です。TIMEXがその歴史に似合わぬ「安い時計」を元気にバンバン作り続ける限り、高級腕時計に色めき立つ昨今の市井にも、ほんの僅かな「冷静さ」が残される。これが何を意味しているか、皆さまお解りでしょうか?? この世からTIMEXが無くなると一体何が起きるのか…

 例えば機械式の3針。その適正価格を表す「標準記号」がロレックスに落ち着いたらどうします?? 「100万円?? 安いねぇ」なんて会話が当たり前の世界線に私なんかの居場所はありません(泣)

 要するにTIMEXの時計は「取り敢えず満足できる時計」の目線を大きく下げる役割を担ってくれているのです。カシオやオリエント辺りも同様の役割で貢献してくれていますが「上を狙う欲がない」という点で、TIMEXの潔さが光ります。まさに「ピープルズ ウォッチメーカー」なのです。

 高級化の一途を辿る腕時計業界から敢えて距離を置き「安さを正義」として前進を続けるTIMEX。先進の技術と時代を掴むセンス、それらを低コストで形にする企業努力。そんな「安さの巨人」たるTIMEXを無視して腕時計を語るなど「愚の骨頂」です。安くても高度に完成した目の前のTIMEXを物差しにして広大な腕時計業界全体を俯瞰すれば、愛好家は皆「大きな失敗と無縁」でいられるかもしれませんね (*´ω`*)

「TIMEX」があれば、正気でいられる

M79(TW2U29500) コイツも格好良く撮れました!!

 例えるなら現在の腕時計趣味は、狂乱気味の高級志向から振り落とされまいとする「ロデオ」のようなものかもしれません。暴れ馬を乗りこなすにはとにかくお金がかかるという、とても嫌らしい競技です。

 TIMEXが新たな機能を持った先進の腕時計をリリースする都度、高級腕時計のパワーリザーブや歩度の優劣に一喜一憂する自分を滑稽に思うときがあります。TIMEXの完成度とその数百倍も高価な時計を比較して「うん、こっちの方が良い」なんて… 本当に馬鹿みたいです (;´Д`)

 ただ、そういう「多様な尺度」を持っているかどうかが、長く腕時計趣味を続ける上では非常に重要なのではないかと思います。雰囲気に飲まれて浮足立ったままで出す数百万円が如何に危険か…「TIMEX」は貴方の両足がフワッと地面から離れないよう、その足首をギュッと掴んでいてくれる頼もしい存在なのです。

 どうです?? 興味が出てきましたか??「TIMEX」に。ここ数年の腕時計に関する報道の「偏り」を見れば、本来「最初の一歩」であるはずの「TIMEX」を経由せず、高額の腕時計に行っちゃった方も少なくないかもしれません。だからこそ… だからこそなんです!! 見に行ってみましょう!!「TIMEXの公式サイト」を。そして家電量販店に陳列される色とりどりの「TIMEX」を体験してみて下さい。数百万円の腕時計からすれば玩具みたいなお値段の「安い腕時計」ではありますが、一度でも体験すれば、先に私が述べた「安い存在ではない」の本意を理解してもらえると思います。

最後に… まあとにかく、公式サイトを覗いて下さい

 人にお薦めするからには、ワタクシも公式サイトを覗かないわけには参りません。わぁ… 相変わらずのワンダーランドだ。ぶっちゃけ何でも揃っている。これならTIMEXだけを集めたとしても、相当に面白いコレクションが完成するでしょう。そうなんです。TIMEXってやたらと布陣が「分厚い」のです。

 「オリジナルキャンパー」でしょ、「ウィークエンダー」でしょ、ちょっと前に私も購入したフィールドウォッチ「エクスペディション」でしょ… アスリートに広く支持される「アイアンマン」もありますし、「ウォーターベリー」のようにシュッとしたドレスウォッチもある。

 そうそう!! 忘れちゃならない「マーリン」にブームを起こした「Q TIMEX」もあります。企画系アートウォッチの「The MET」も捨てがたい。SDGs的でイマドキな時計もあったりして。まだまだありますからね!! 気合を入れて見ると、知恵熱が出ちゃうくらい豊富な選択肢なのです (;´∀`)

 古い時計を修理して再販する「リワウンドプログラム」なるものも始まるそうで、時計を送るとTIMEXで使える「20%引きクーポン」がもらえるんだとか。今のポジションに甘んじることなく、先を見据える先進性。ついて行きます!! TIMEXの兄貴!!

 そして、運が良ければ公式ショップで「大幅値引きの商品」に出会えるお楽しみまであるんです。いかんいかん!! これ以上、腕時計を増やしてどうするんだ!? 我慢だ… 我慢だよオレ!! って… あれ?? これって前に雑誌で見て気になってたヤツだ。マジ!! 半額なん!? ホンマに… エエんですか??

「TIMEX」さんやし… コレはノーカンでいいかな??(笑)

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