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未返却の腕時計が『16億円分』 フリマアプリで無断出品も…(トケマッチの法人解散・続編)

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 「トケマッチ騒動(最早そう言っても差し支えないでしょう)」の行方は、益々きな臭い方向へ向かっているようです。ってなわけで、一度は記事にまとめたテーマではありますが、現在多くの報道機関で報じられている情報を加え、再度考察したいと思います。本当は平和な気持ちでゆる~い腕時計エッセーを書きたいところですけどねぇ…

 考察の大前提として「トケマッチは全責任において、預託された時計全てをオーナーの元に完全返却しなければならない」ことを明記しておきます。

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トケマッチ 未返却「16億円分」

 「トケマッチ」が預託を受けた時計のうち、未返却分の総額は「16億円」に上るそうです。ひゃぁ~ 何だか一般庶民には想像すらできない額ですよね(汗)

 お一人で何十本もまとめて預託していた方は、トケマッチ側から月に100万円を超える「収益」を得ていたそうです。一体全体、何をどれだけ貸し出せばその額に届くのか… (;´Д`)

 東洋経済さんによると、ローンを組んでまで高級腕時計を購入して「トケマッチに命運を託した」方もいるそうですが… 時計を預けていた方のほとんどは、所謂「資産家」と呼ばれるレベルの方たちだったのかもしれません。だからこそ「そう言えば使っていない時計があったな… 売るのは忍びないから、トケマッチさんに貸しておこう」みたいな感覚で、極々フランクに高級時計を預けた… と。汗水たらして購入した大切な宝物を「赤の他人に貸す」… そんな豪気な庶民は滅多にいません。やはり「心と懐の余裕がなせるワザ」だったのでしょう (;´∀`)

 そう言ったお金持ちさんの「無防備」を指摘する記事もありましたが、それは論点が違います。全ては、事前に何の通告もなく「事業の終了」という「事後報告」だけを残して霞のように表舞台から消えた「トケマッチさんの責任」なのです。

 「借りた物を返す」という当たり前の行為に身勝手な「半年」の期限(実際は目安)を設け、ことさら大袈裟にアナウンスしている時点で「旧トケマッチ」の相当にヤバい状況が想像できます。預託していたオーナーさんの心痛は計り知れないでしょう。

 資産家の方にしても看過できない価値の腕時計が行方不明になっている… トケマッチさんが倒産しようが何しようが知ったことではありませんが、貸し出していた腕時計を全て回収してから「事業終了」の案内を出すのが筋ってものでしょう。

預ける側と借りる側に「意識の乖離」があった

 私自身、何度か痛い目にあって、その都度自分のお人好しを呪うのですが… いるのですよ。借りた物を返さない困った連中が。一定の割合で (;´Д`)

 消しゴムから始まり、昼飯代の500円。最近ならUSBのTYPE-Cケーブルなんてのも典型かもしれません。「借りた物は貰ったも同然」と訳の分からない理論を振りかざして、見事な逆ギレをされたこともありましたっけ。そう言う連中に道理を説くのは無理。端から「貸さない」が正解です。

 「トケマッチ騒動」の場合、貸し借りされるのは「高級腕時計」です。常識的に考えたら、消しゴムと同じ感覚で借りるものではないでしょう。借りる側にも相応のプレッシャーがあって然るべきです。

 トケマッチさんに腕時計の預託を行ったオーナーさんは「大事なものを知らない人に貸す重圧」とそれによりもたらされる「収益」を天秤にかけて行動されたはずです。ただ、同レベルの覚悟が借りる側にあったとは到底思えません。払っている額も、当該の腕時計を実際に購入する金額に比べたら微々たるものでしょうし、軽い気持ちで借りてみようと考えた人がほとんどだったはずです(そこが売りの商売でしたけどね)例えば私が借り手だったとしても「壊したら面倒くさいから大事に扱おう」程度の責任しか感じなかったと思います。もちろん「期限までに返却する」は人として当然ですよ??

 この辺りの「貸し手」「借り手」双方の意識レベルに関して言えば、消費者金融でお金を借りるよりもその乖離は深刻だったかもしれません。消費者金融って善し悪しは別にして「逃げられないイメージ」がありますからね。本来ならそう言った「睨み」をトケマッチさん側が効かせておかないとダメ。オーナー側と同じトーンで「返してくれないんですよ~(泣)」じゃないですよねぇ (;´Д`)

信用の落とし穴

 やはりどう考えても、大切なものを知らない人間に貸すという行為自体が危険過ぎました。「トケマッチを信用していた」と仰る気持ちはすごく解ります。素晴らしいビジネスだと期待したからでしょうし、無原則に信じたくなるような魅力的な条件だったと思います。確かに人を信じることは素晴らしい。信用から大きな何かが生まれることもあります。ですが、私個人が考える「信用の尺度」は少し違うのです。

 私も証券会社に幾ばくかの資金(老後の生活費)を投じて運用を任せていますが、これは「証券会社を信じているから」ではありません。お金にしろ現物にしろ、運用を他人任せにするならそれは一律で「ギャンブル」です。現在の報道では「トケマッチのやり口が詐欺に当たるか??」も一つの焦点になっていますが、預託された時計を外国でサクッと換金して夜逃げしたと明らかになったならまだしも、寸前まで収益分配が行われていたところを見ると、例え計画倒産の公算が高くとも現段階では「事業の失敗」としか言えないのでしょう。オーナーへの腕時計返却に半年の猶予(と言ってもトケマッチ側の一方的な通告)を設けたため、司法も時間をかけるしかないのです。

 根拠の薄い信用はリスクを省みない寛容と変わりがありません。旧トケマッチさんが自ら定めた「期限内」でどれだけのことをやるかは解りませんが、現状を見る限り「死に物狂いで信用回復に努める」とは思えません。トケマッチを運営していた合同会社ネオリバースはすでに「破綻」しています。今更「社会通念」とやらを気にして、何かを取り繕う必要もないでしょうしね (・ω・`*)

無断でフリマアプリに出品されていた??

 法人を早々に解散してしまった時点で、この可能性はあったのです。そもそもオーナー側すらまともに連絡の取れない状況になっているのですから、借り手に対して「期日までにきちんと返しなさい」とプレッシャーを掛け続けているとは到底思えないのです。例えば、返却期日を過ぎても旧運営側から何も言ってこなかったとしたら… 元々そんなつもりがなかったとしても、借り手の心に魔が差さないとは限りません (;´Д`)

 遵法精神の薄い一部の借り手が「ラッキー!!」と勘違いして換金を試みる… どう考えても足がつく馬鹿馬鹿しいやり方ですが、目の前の小銭に目が眩んだ連中に道理は通用しません。オーナーさんならご自分の時計を見分ける術をお持ちかもしれませんし、運が良ければ「それ!! オレの時計だ!!」とオークショニアに疑義を申し立てることも可能でしょうが… 365日24時間監視できるわけではないでしょう。

 アプリやオークションに関して言えば、各オークショニアに協力をお願いすることも可能でしょうし、もうすでに手配しているかもしれませんが、そうやって国内で水際対策を行ったとしても、闇の住人の手に渡り海外へと持ち出されたら… 個人の繋がりでどうこうできる事件ではなくなってしまいます。

トケマッチは「担保」を取るべきだった

 トケマッチさんを思いっきり推奨していたサイトを発見できたので、サービスの概要を確認しました。

 それによると、借り手が審査を受ける際の要件に関しては正直、どうとでもごまかせるレベルのチープなものでした。未成年でも親の同意とやらがあれば借りられたそうですから、ショッピングローンよりも「誰でも借りられた」のではないでしょうか??

 厳正とは言い難い審査に通ると、同時に指定の保険に入ることが義務付けられていたそうです。「破損、紛失、盗難」が対象とのこと。あれ?? これで返却されなかった時計の補償はできないんでしょうかね?? (´・ω・`)

 何にせよ今更なのですが、例えば「実勢価格100万円を超える時計のレンタルの場合、所定の担保を預かる」みたいな仕組みが必要だったかもしれません。まぁこれだと「買おうと思えば買える人しか借りることができない」になるわけですが、その分ある程度は信用できる相手に貸すことになるでしょうから、トケマッチというシステム自体の質も上がったのではないでしょうか?? 高い物や高額のお金を借りる際は借りる側にも一定のリスクを共有してもらう… トケマッチさんに足りなかった部分です。

返却時に「偽物にすり替えられている」可能性は??

 想像するだけで胃が痛いですけどね。帰ってきたら偽物だった可能性だって捨てきれません。丸ごと偽物にすり替えられていたらさすがにバレると思いますが、例えばブレスレットだけ偽物に変わっていた… なんてことは考えられます (;´Д`)

 高級時計にもなれば、ブレスレットのコマ一個でも相当なお値段になりますが、コマの何個かをすり替えられて帰ってきたら… どうでしょう?? 私は見破る自信がありません(汗)

 オーナーさんの手元に腕時計が戻って、すぐに気付けば疑義を申し立てることも可能でしょう。ただ、気付いたのが数年後だったりしたら、すり替えを立証する機会は永久に失われてしまいます。戻された時計はすぐにブランドの専門家に見てもらい「真贋判定」を受けた方が良いかもしれません。

 さらに悪辣なケースも考えられます。端から「すり替えを目的に借りた」のだとしたらどうでしょうか??

 手元の偽物ですり替えられる時計が貸し出しになるまで、虎視眈々と狙い続けていたならば、バレない手段を講じる時間もタップリあったはずです。そう言ったことが組織的に行なわれたなら、それこそ素人がどうこうできる問題ではありません。

 時計が戻ってきたとしても、これで安心と言えないところに「トケマッチ騒動」の闇深さがあるのです。

トケマッチに預けた人も「ブランドのブラックリストに入る」可能性!?

 「webChronos」さんの記事に、さらに恐ろしいことが書いてありました。要するに「トケマッチに預けていた時計が巡り巡って二次市場に流出した場合、正規品として販売したブランドから購入時に何らかの制限を受けるかもしれない」… 可能性の話だとは思いますが、何だよそれ!!? ですよね。ホント、踏んだり蹴ったりってやつです (´;ω;`)

 そもそも私自身は、自分がブランドのブラックリストに入っているか否かなんて、興味の欠片もないわけですが、長年、特別にフォローし続けたブランドがある方にしてみれば、お先真っ暗な事態かもしれません。買えなくなっちゃうかもしれないわけですから。

 私レベルのコレクターだと「そう言うことならアッチ行きまーす」で済むわけですが、均整の取れた完成度の高いコレクションを目指している方にとっては致命的です。

 ただ、現実的な話、被害を申告すれば同情こそされても「トケマッチに預けてたなんて、貴方はもうウチの上客ではありません!!」なんて言われるでしょうか?? これもwebChronos さんの見解ですが、トケマッチ騒動は世界的に見ても大事件とのことですので、さすがに情状酌量されるのではないかと思いますがどうでしょうか?? 「トケマッチに預託したのがそもそもアウト」なら、正直、どうしようもありませんが…

最後に… トケマッチが生んだ「相互不信」

 事件性については所謂「大規模詐欺」だったかが議論されるところでしょう。預託した腕時計が戻らないと確定した場合はさらに重大な犯罪として捜査されると思いますが、旧トケマッチが決めた「返却期限半年」が誠に厄介です。期限までに全ての腕時計がオーナーさんの手元に戻った場合、トケマッチの一件は巷でよくある「事業の失敗」に過ぎないという見方もあります。

 ただ、先述の「ブラックリスト」の件にもある通り、トケマッチとの取引には、オーナーさんにとっての「相応のリスク」があったと思います。トケマッチとの取引自体を「好ましくない」と考えるブランドが存在するかは定かではありませんが、その危険性が僅かでもある以上、今回の騒動で表沙汰になった情報の幾つかで、オーナーさんが何らかの不利益に晒される可能性があるということです。

 これらを踏まえて考えると、トケマッチの事業終了は単なる企業倒産では済まされない多くの課題を孕んでいると言わざるを得ません。全ての腕時計がオーナーさんに返却されたとしても、その後に残るのは腕時計ブランドと二次市場、高級腕時計オーナーさんと時計を借りたい人たちの間の「相互不信」だった… なんてことになったら悲し過ぎます (;´Д`)

 そもそも、夢と現実の狭間で余裕を持って楽しむのが、嗜好品の最たるもの「高級腕時計」。トケマッチの事業失敗はその壊れやすい「脆弱な価値観」に深い傷を負わせたも同然なのです。

 10年後に振り返ったとき「腕時計ブームの凋落は『トケマッチ騒動』から始まった」… なんて、情けない歴史にならないことを祈るだけです。

 「美味しい話には必ず裏がある」… 皆さま。怪しげな連中に腕時計を預けるのは止めましょうね (`・ω・´)

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