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マイクロフォーサーズのカメラで『腕時計をかっこよく』撮ろう!!

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 「フォトコンテスト」へのご参加、誠にありがとうございました。あんなに楽しくて「俺得」な企画はなかったと思います。読者の皆さまの愛用する腕時計を、キレイなお写真で存分に拝見できたわけですから。ホント、色々と勉強させていただきました (*´∀`*)

 そんな私も昨年末辺りから腕時計喫茶で使う「写真」のテコ入れを行なっているわけですが… いやぁ~ 我ながら慧眼でしたね。だってほら!! 写真のレベル、明らかに上がりましたでしょ?? 腕時計以外では珍しく本当に意味のあるお買い物だったと思います。OM SYSTEMの「OM-5」購入は。

 写真が良くなったことに関しては、決して自画自賛ってわけではないはずなんです。事実、記事一本当たりの読者さんの滞在時間が大幅に伸びているからです。数値にすれば「約3割増し」。只でさえ滞在時間長めの腕時計喫茶ですが、そこからさらに伸びているんです。

 記事の文字数はむしろ抑えめ(とは言っても7000字以上は書いちゃいますが…)で推移しているにもかかわらず、長く滞在してもらえている理由を分析したところ、このところコンテンツとして明らかに変化があったのは「写真しかない」のです。私もそうですが、良い写真はじ~っと見ちゃいますからねぇ。

 ちなみに、SNSでも写真を誉められることが増えました。素直に嬉しいですね (*´ω`*)

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この時代に「デジタル一眼カメラ」が廃れない理由

 購入直後は色んな方から「本当に使いますか??」なんて心配されました。皆さん、私の「飽き性」をよくご存じですからさもあらんなのですが、自分自身でも意外なほど、頻繁にOM-5を触っています。

 単純に「久しぶりの一眼が楽しい」ってのもあります。ちなみに私は高校時代「写真部」所属でした。同時に軽音でベースを弾いたりもしていましたが、部活動の根っこは断然写真部。何せ「カメラ」というメカが好きでしたからね(所謂メカフェチ)

 ちなみに使った一眼カメラの記憶を辿ってみると、親父のお古でCANON FTb、CANON New F1、Contax RTS、RTS2、Leica R3、R4… ペンタックスのオート110も持ってました(←知ってたら同世代確定) う~ん、我ながら業の深いカメラ歴だなぁ (;´∀`)

 今回は「腕時計を格好良く撮る」をテーマに書かせていただくわけですが、最近のスマホのカメラの凄まじい進化もありますし、そもそも「カメラが必要なのか??」について、ここ最近私が感じたことを中心に述べていきたいと思います。

 機種によっては「絞り優先風」「シャッタースピード優先風」での撮影が可能で、ほぼ完全なマニュアル撮影すらこなすことができてしまう今の「スマートフォン」。凄いですよね。私も「普通はカメラなんて要らんなぁ~」って思いますもん。

 尚且つ、豊富なアタッチメントが存在しますから、マクロを強化したり偏光フィルター機能を追加したりも朝飯前です。必要ないんですよカメラなんて。ある一定のレベルまでは。

スマホに勝るデジタル一眼の実力

 私自身、購入して使ってみるまでは「デジタル一眼の意義」なんて、プロのカメラマンでもない限りは存在しないのではないかと考えていました。そうなんです。自然光を頼りに「スナップ写真」を撮るくらいなら、直接ネットワーク上のストレージに自動保存されるスマホで撮影した方が便利なんです。データの取り回しが圧倒的に楽ですもん。機種やアプリにもよるでしょうが、画質だって大して変わりませんし。

 ところが、明確に撮りたい画づらがあって、撮影段階から綿密に計画しようと考えると、途端にスマホでは力不足を感じるようになります。私は「腕時計」をモチーフとして撮影する中で、如実にそれを感じていました。ライティングで環境を整えたとしても、その結果がうまく写真として反映されないのです。

 ちなみに、私が現在使っているスマートフォンはギャラクシーの「Note10+」です。カメラ性能の良さで「Note8」の時代から気に入って使っているわけですが、それでも「光線の効果」を写真の中で自然に表現することはあまり上手くありません。細部の質感や空気感がアプリ独特のアルゴリズムで再計算されるからでしょうか。必要のない適正化が腕時計を平板で軽い物に見せてしまうのです。

 「空気感」「視点からの距離」を表現することは、腕時計の実サイズや質量を伝えるために重要な要素となります。マクロで寄ったとしても、40ミリの時計は40ミリに見える必要があるのです。質感にしても同様、ステンレスなのかホワイトゴールドなのか、はたまたシルバーなのかといった「同じ白系金属でも異なる質感」が表現されないようでは、最終的に仕上がった写真から対象の腕時計が「1万円なのか100万円なのかの区別」もつかないでしょう。

 「デジタル一眼」を使って普通の画角で自然光の中で撮った写真は、正直言って頑張ればスマホでも撮れそうなレベルにしか見えません。ただ、極端に寄ったり極端に引いたり、特殊な光線下で撮影する状況だとスマホと一眼レフの実力差は明確に現われると思います。自分で色々と試してみる中でそう感じましたし、最近の記事で使用している写真を見ていただければ、一目瞭然で解っていただけるかと思います。 

「商品レベルの写真」を撮りたいならデジタル一眼が必要

 スマホのカメラで撮った写真なら、その場でデジタル処理を加えることである程度見栄えを良くすることは可能です。ただそれにも限界があります。何と言いましょうか… デジタル処理での加工は所詮「蛇足」なのですよ。撮影時に表現しきれなかった情報を加工で補うことはできません。近年、AIによる高画質化もできるようになりましたが、正直あれは写真と言うより「絵画」ですよね。撮り切れなかった部分を後から描き加えているに過ぎません。

 撮影時にどれだけ豊富な情報を取り込めるか… つまり撮影時点でほぼ完成した一枚を撮るためには、大口径のレンズで沢山の光をセンサーに当てることのできる「デジタル一眼」の有利さは圧倒的です。最終的に補正を加えて画質を追い込んで行くにしても、元の素材が良ければその分だけ「できることの幅が広がる」わけです。質感表現などで妥協が許されないモチーフ… 腕時計を撮るためなら尚更だと思います。

腕時計撮影に適したデジタル一眼とは??

 腕時計を撮るためだけに「デジタル一眼を買おう!」と酔狂にも考え始めたばかりの頃、私が狙っていたカメラはソニーの「α7C II」でした。最初は「ファインダーなし」でいいやと思っていたのです。それよりも、比較的安価でありながら「35mmフルサイズ」のセンサーを搭載するメリットはデカいはずだと判断して一番手の候補にしました。量販店さんで何度も触って「エエ感じやん!!」と納得していましたし、そのまま行けば順当に「アルファの人」になっていたと思います。

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オレは「マイクロフォーサーズ」と心中する!!

 大袈裟ですけどねぇ(笑) しかし、一眼のシステムを揃えると言うことは、そう簡単には趣旨替えできない「レンズという資産」を増やすのと同義です。つまり、腕時計で例えるなら「オレは生涯オメガしか使わん!!」みたいな覚悟がいるのですよ。大袈裟ですけど。大袈裟じゃない問題です。

 レンズのことまで頭が回り始めると、私が撮りたいもの… 腕時計の細部にグッと寄れる「マクロレンズ」が意外に少ないことが解ってきました。例えばソニーの「Eマウント」だと『30mm F3.5 Macro』が最安値のマクロレンズです。そっかぁ… マクロって言っても、せいぜい「等倍」なんですねぇ。えっと他は… 高い!! 高過ぎました!!(汗)

 私の場合、先にOMの「TG-6」で高倍率マクロの世界を味わってしまっているので、等倍マクロは如何にも頼りなく感じました。TGは謂わば「顕微鏡カメラ」みたいな特殊コンデジですから比較自体が酷かもしれませんが…(汗)

 本体が「α7C II」なら、フルサイズの高解像度を活かしてトリミングすれば「等倍以上」の画角に仕上げることも可能でしょうが、トリミング有りきの写真撮影なんて、構図に頭を捻って「一瞬を切り取るカタルシス」とは真逆の発想です。「何のためにモニターで確認しながら撮るんよ??」なんて考えちゃうわけですよ。

新宿西口の「OM SYSTEM PLAZA」でマイクロフォーサーズの素晴らしさを知る

出典:https://fotopus.com/

 ある日、西新宿界隈をフラフラ歩いていた私はふと思い立ちました。「そう言えばこの辺にオリンパスのショールームなかったっけ??」と。そうしてスマホを頼りに迷いつつも、無事に目的地「OM SYSTEM PLAZA(旧 オリンパスプラザ 東京)」に到着しました。

 「わぁ~ さすがにオリンパスのカメラは小さいなぁ~」。高校時代の先輩が愛機にしていたフィルムカメラ「OM-1N」の記憶にショールームのカメラを重ねつつ、展示中のカメラとレンズを触りまくった私。「レンズも小さくてエエ感じや」… 持ち歩いて撮影するつもりのない私でも、本体とレンズが小さいことに越したことはありません。収納場所を食わないという意味でも。

 すると程なく、スタッフの方が声を掛けて下さいました。現行のオリンパス(OM)に興味が湧きまくっていた私は、目的とする使い方「腕時計を格好良く撮りたいんです!!」を伝え、どうすれば可能かを聞いてみました。

 すると「そういった用途でお買い求め下さるお客さんもいますよ!!」とのこと。聞いてみるとネットショップで販売するアクセサリーの撮影などに、マイクロフォーサーズで小型軽量「OMのカメラとレンズ」が選ばれているそうで。そっかぁ… 貴金属が撮れるなら、腕時計だって撮れるはずだな!!

 「ウチの得意はネイチャーフォトなんですが、実は物撮りも強いんです」野山を駆け巡るネイチャーフォトと狭い室内で完結する物撮りの両極端が得意とは… この時点で「OM SYSTEM」面白すぎます。

 結構なお時間滞在して話をさせていただきました。オススメのマクロレンズも教えていただきましたし、古い写真の複写には複写機よりもマクロレンズを用いた「接写」が有効であるという「裏技」も教えていただきました。これは即ち、OMのカメラとレンズなら周辺を歪ませず正確に近接撮影ができますよ~と言う意味でしょう。誠に素晴らしい。私のやりたいことを叶えてくれるカメラシステムは「マイクロフォーサーズ」なのかもしれません。ってなわけで、私は素直にOM-SYSTEMの「OM-5」「30mm MACRO」を買いました。ショールムって大切なんだなぁ~ (*´∀`*)

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 ほどなく広角ズームを追加購入。 30mmでリストショットを撮るには、私の腕は短すぎました(笑)

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「マイクロフォーサーズ」ならではのメリット

 デジタルカメラの時代になって、カメラは「センサー」の種類でカテゴライズされるようになりました。その中でOMの一眼は「マイクロフォーサーズ」と呼ばれる規格のセンサーを搭載しています。

 センサーサイズの比較表を作りました。フルサイズセンサーのほぼ4分の1の大きさしかないのが「マイクロフォーサーズ」のセンサーです。高級コンデジに使われることの多い「APS-C」よりもさらに小さいわけですから、画質的な心配をされる向きもあるでしょう。私も同様でしたし、だからこそ当初は「やっぱし男ならフルサイズやな!!」みたいな大艦巨砲主義に固執していたのです。

 ところが実際に使ってみて、私が目的とする使い方なら「マイクロフォーサーズ」でも何ら問題ないことが良く解りました。B0版を超えるサイズで紙焼きするのが最終目標なら別かもしれませんが、美術館の図録を作る目的でもない限り「マイクロフォーサーズ」で力不足を感じるケースはほとんど無いはずです。そもそもマイクロフォーサーズ規格だから「今のOMがある」と言っても過言ではない、沢山のメリットがありますしね。

撮影システムを小さくできる

カメラ本体とレンズ2本、アクセサリーを入れてもコンパクト!!

 「マイクロフォーサーズ」最大の売りは「小さく軽いこと」だと思います。カメラ本体の設計もミラーレスに特化したものになっており、一般的なデジタル一眼と比較すると明らかに小型軽量。レンズも同様です。35mmフルサイズ用のレンズと比較すると、同じ明るさで同じ画角を得られるマイクロフォーサーズ用のレンズは、何と!! およそ半分の大きさしかありません。もちろん軽量です。

 小さいだけが特徴ではありません。マイクロフォーサーズの良さは「満足できる画質」「コンパクトなサイズ」という、光学カメラとしては本来相反する要求を満たしてくれる「高次元のバランス」にあります。

 カメラが小さくて軽ければカメラバックも小さく軽くなります。足取りだって軽くなって「天気も良いから写真でも撮りに行こう!!」なんて、思い付きで行動を起こしたくなるかもしれません。いつ創作意欲が湧いてきても良いように、毎日リュックの中に忍ばせることだって、小さな「マイクロフォーサーズ」なら可能なのです。

望遠に強い

 先にマイクロフォーサーズは「レンズも小さい」と申しました。それでも十分なメリットなんですが、望遠で何かを撮りたい方にはもう一丁、デカいメリットがあるんです。マイクロフォーサーズって、例えば焦点距離「300mmの望遠レンズ」があるとします。これって35mmサイズで換算すると「600mm」になるんですよ。600mmですよ?? 超望遠ですよ??

 もちろん望遠だけではなく、全てのレンズの焦点距離が「35mmに換算されると2倍」になるわけですが、望遠域での2倍はほとんど「盆と正月」のレベル。エライコッチャですよ。

 例えばOMの「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm」を買うと、それは35mmで言うところの「300-1200mm」なんです。そんなレンズ幾らするんだよ!! みたいな代物だって、マイクロフォーサーズなら「44万円」という現実的なお値段で買えちゃうのです。

 夢のような超々望遠撮影がマイクロフォーサーズなら可能になる… 腕時計を撮りたい私には無縁な話ですが、腕時計も野鳥もどちらも撮りたいみたいな方にとっては、ぶっちゃけマイクロフォーサーズしかないんじゃないかってくらい、ベストな選択しかもしれません。

本体もレンズも「安い」

 そうなんですよ~ だから私も最終的に「マイクロフォーサーズ」を選んだわけですが、35mmとスペックの比較で考えたら、相当に安いんですよ。カメラ本体もレンズも。

 何やかんや言って「安いは正義」なんです。初心者が手に取りやすいですし、失敗したときのダメージも和らぎます。それでいて性能は十分ですから、そのままハマって本気を出したって構わない。

 何度でも言います。「安いは正義」です。

マクロの倍率が高い

 現時点で私が最も信頼を寄せる「M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro(35mm判換算・60mm相当)」時計撮影の「基本レンズ」と称しても間違いではないでしょう。

 マクロですからとにかく「倍率」です。「ED 30mm」最大撮影倍率は35mm判換算で2.5倍もあります。「等倍なんてマクロじゃねぇ!!」みたいな思い込みで購入したレンズですが、大正解でした。しかもお値段「3万5200円」ですよ。めっちゃ安いっ!!

 さらにお金があればですが、35mm判換算で「4倍」を誇るマクロレンズもあります。「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」。18万4800円もするので中々手が出ませんが、いずれは手に入れたいレンズです。テレコンで「8倍」ですからね。TG-6をお役御免にできちゃうなぁ。

 ちなみに「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」という35mm判で2倍相当のマクロレンズもあります。こちらは「5万7200円」。試したところ30mmよりもボケが出ますし、少し離れた場所から撮ると印象的な画になると思いました。買うならこっちかなぁ~ 安いし (;´∀`)

 ってなわけで、豊富な選択肢、尚且つ高い倍率のマクロレンズが多いので、置き撮り… 特に接写の範疇で仕事をするなら、マイクロフォーサーズ、中でも「OM-SYSTEM」の選択は、かなり正解に近い決断になるはずです。

マイクロフォーサーズのデメリットが「腕時計撮影」では『強味』に変わる場合も

 検索すると「悪口」も数多く見受けられる「マイクロフォーサーズ規格」ですが、腕時計を含む「近接の物体撮影」に限って言えば、むしろメリットになる場合もあるのです。

ISOを上げるとノイズが出やすい

 例えば「使えるISOの限界値が低い」というお話。ISOを上げすぎると途端にノイズが乗りやすくなると言われ、夜景の撮影には向かないなどの話も耳にしますが、個人的には不足を感じたこともありません。「OM-5」の場合、暗所撮影でも十分過ぎる性能があると思います。そもそも腕時計の撮影なら照明がある環境が前提でしょうから、ノイズが出るレベルでの撮影にはなりません。

 試しに夜の西新宿界隈で撮影してみました。いやいや、夜景に弱いみたいな印象は全くありませんでしたよ。しかも、1秒くらいのシャッタースピードまでならボディー内手ブレ防止機能のお陰で手持ち撮影が可能ですから、気軽に楽しく「パシャパシャ」撮れました。夜景も楽しい~♪

夜景(手持ち撮影)モードで普通に撮影。夜空はあくまで暗く、光源がそれぞれ独立して形を保っているのが印象的です。OM-5、M.ZUIKO DIGITAL 9-18mm 使用(西新宿)
ブログ用に圧縮しているので画質はかなり落ちていますが、実際はノイズも少なめできれいに撮れました。街頭や信号の光も形良く撮れています。OM-5、M.ZUIKO DIGITAL 9-18mm 使用(西新宿)

 でもワタクシ、この撮影のときにレンズキャップを無くしました(泣)

動きの早い対象の撮影に向かない

 「動いているものに弱い」。マイクロフォーサーズに関してはOM-5の体験しかない私ですが、う~ん… これは確かにそうです。いや、撮れないわけではないと思いますが、AFが余り動き物を得意としていない感じです。ただ、最新のOM-1 Mark IIの紹介動画なんかを見てるとかなり改善されてきている気もしますので、手持ちのレンズ群を充実させつつ、ボディーの進化に期待してもいいかも知れませんね。とは言え、私の場合は「腕時計を撮りたい」が目的ですから、基本は三脚使用の固定撮影。AFの自動追尾に頼ることもありませんし、その際のバリアングルモニターのタッチ撮影なら、欲しい場所にビシッとピントが来ています。

きれいにボケない

 「ボケにくい」。一眼の良さはスマホやコンデジでは難しい「美しいボケ」を味わえることにあると思いますが、いやいや、ボケますよ?? ある程度は。確かにスペック上ではフルサイズの2段分被写界深度が深く、その分ボケに関しては弱くなるわけですが、逆に考えてみて下さい。

 腕時計を接写で撮る場合、フルサイズなら絞り込んで被写界深度を深くしなければ、極端にピントの合焦が浅い写真になってしまいます。ところがマイクロフォーサーズの場合、絞らなくても… つまり比較的開放の状態でも深い被写界深度が得られるのです。明るいのにピントが合う範囲を広くできる。要するに「マクロにめっちゃ強い」のです。これが腕時計の撮影において如何に頼りになる性質か、容易に想像がつくのではないでしょうか。

腕時計を格好良く撮るために必要なアイテム

 正直、まだまだ偉そうに宣えるレベルではありませんが… 「腕時計」だけをモチーフに撮影し続ける日々を過ごしていると、こんな素人でもさすがに見えてくるものがございます。

 ここでは私が「これが無かったら始まらんわぁ~」と思って揃えたアイテムをご紹介させていただきます。基本は安く揃えられるものばかりです(笑)

「単焦点マクロレンズ」を買おう!!

まさに「腕時計撮りに最強」のレンズ(ED 30mm F3.5 Macro M.ZUIKO DIGITAL)

 例えばOMのレンズ群には取り立てて「マクロ」とカテゴライズされていなくとも「簡易マクロ」として使えるレンズが多くありますが… 買いましょう。「単焦点マクロを!!」

 私が使っているのは小さくて扱いやすい「30mm MACRO」だけですが、これがホントに使えます。周辺までキリリと引き締まったディテールは、腕時計のような異素材集合体の撮影にはピッタリ。対象の質感を「ごまかさない」という意味でも優れています。

 「2.5倍」という倍率も対象(腕時計)と馴染みが良いですし、あまり手を加えなくても「普通に撮れば格好良く写る」ナイスレンズだと思います。

 マクロ撮影ですから対象とレンズ先端部までの距離は極めて近いわけですが、となるとレンズ自身が落とす「影が問題」になってきます。ところが「30mm MACRO」のように物理的に小さなレンズなら、その影響を軽減することが可能なのです。このメリットには使い始めてから気が付きました。

 また、単焦点という画角の制限も「構図」への意識を高め「画作り」を突き詰めるという点では良かったと思っています。ズームがあればどうしてもズームでの引いたり寄ったりに頼っちゃいますからね。撮りたい「画」のイメージ通りに撮影するなら、単焦点が正解です。

「PLフィルター」はマストアイテムである

暗くなりがちなPLフィルターの中でも「明るい」と定評(Exus Circular P.L Mark Ⅱ)

 腕時計を撮るなら観念して「PL(偏光)フィルター」を買いましょう。それくらい、無いと始まらないアイテムです。金属とクリスタルガラスと、仕上げの違いからくる光の反射もバラバラな腕時計という物体を撮影するなら、それら反射をコントロールする手段が必要です。「PLフィルター」があればその辺の塩梅が容易になります。

 また、照明の光線を「効果光」として使う場合にも威力を発揮します。要するに「光の形」が出し易くなるのです。私の場合、このテクニックのお陰で以前よりもマシな写真が撮れるようになりました。

「三脚」があれば表現の幅が広がる

 テーブルに置けるくらい小さなものや、クランプで固定するタイプのアームもありますが… 「普通の三脚」を買いましょう。安い物で十分です。机の端を利用してなら直上からの撮影にも対応できます。

 「フルサイズの三脚なんて邪魔」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし!! 直上から水平まで、どの角度でも重たいカメラをガシッとホールドして微動だにしない撮影が可能なのはこれしかありません。

 ただ正直言って、カメラを三脚に付けたり外したりは面倒です。そこでお薦めなのが「クイックシューが使える三脚」。これだけで劇的に「三脚を使おう!!」と思えるようになりますから、新しく三脚を購入する際の目安にして下さい。

小型の「LEDライト」で腕時計の質感を強調しよう!!

アマゾンさんで3000円もしなかったLEDライト。他にも2つ、全3個の光源で撮影中

 いやぁ~ 世の中便利になったものですよ。照明を手に持って撮影できちゃうんですから。

 「左手で小型のLEDライトをコントロールしながら時計を撮ろう!!」というアイデア。昨年の… 何月だっけ?? ホディンキーさん主催の「ユリスナルダン フリークお披露目会」に参加した際、帯同していたカメラマンさんの撮影テクニックにヒントを得ました。カメラマンさんが細かく動かしていた照明が小型の「LEDライト」だったのです(遠目だったので恐らくですが)

 効果も解らず購入して、色んな撮影で試してみるとまさに「目からウロコ」でした。光源をコントロールすることで、イメージする画に近付けていく作業の楽しさ。例えばポリッシュされたベゼルを立体的に撮ろうとすると、絶妙な位置に光の強い反射があった方が良いわけですが、照明を手に持って撮影すれば容易に「欲しい反射」を作り出すことができます。しかもLEDだから全然熱くなりません。

 反射が作り出す光沢とパーツが落とす小さな影しだいで、質感の表現力は大きく飛躍します。それら要素を自分好みにコントロールして最高の一枚をものにするためにも、軽くて小さくて、それでも十分な光量があって、尚且つ「手に持っても熱くない」LEDライトの導入を検討してみて下さい。

腕時計を絶対に格好良く写せる「基本ワザ」

高価な時計が格好良く写るのは当たり前ですから、モデルはTIMEXにしました(OM-5 & ED 30mm F3.5 Macro M.ZUIKO DIGITAL)

 「技」ってほどの話ではありませんが、ホラ!! たまにありませんか?? 腕時計販売のネットショップで「全く立体感を感じない写真」を見ることが。

 あれはですねぇ… 影を落とさないために下からも照明をあてて、上からの照明を相殺しているからなんですよ。実際にそういう使い方をするための照明板みたいなものがあるのです。昔で言うところの「トレースボックス」ですね。

 正直、あれは腕時計撮影の方法としては「最悪」です。質感も重量感も何もかもが希薄になって、腕時計という実存が全く以て失われてしまうのです。あれ以上に「腕時計をダサく撮るテクニック」はないでしょうね。

TIMEX Expedition North

 ってなわけですから、正反対に考えれば良いんです。要するに、腕時計を格好良く撮るなら「盛大に影を落とせば良い」。そして、背景に対して「腕時計が浮いてくるように」撮れば良いのです。

TIMEX Expedition North

 まず、少し暗く感じるくらいの環境を作って下さい。そこにふわっと緩めの照明をあてて、腕時計を周辺の背景がディテールを保てる程度の明るさに調整します。恐らくこれでも暗いはずですから、絞り優先だとかなり遅いシャッターしか切れません。

TIMEX Expedition North

 そこに今度は腕時計のフォルムを際立たせる強めのスポットをあてます。人間の顔でもそうですが、メイクの基本は「立体感の強調」です。のっぺりした顔立ちは美しく見えません。時計にも照明を使って効果的な陰影を作り、一番格好良いところを見せつけるようにすれば良いのです。

TIMEX Expedition North

 まとめます。腕時計を格好良く撮影するポイントは「①少し暗めの環境」「②弱めに広くあてることのできる照明」「③時計に強い輪郭を与えるスポット照明」です。素人のくせに偉そうに言ってスミマセン。ですがこれだけで、貴方の腕時計の写真写りが劇的に良くなるはずです。是非お試しを!!

このTIMEX、撮ってて楽しいです。映える!!

目的を見据えて購入すれば、マイクロフォーサーズで後悔はない

 マイクロフォーサーズを選択した方の中には、目的と合わずにガッカリした方もいらっしゃるかもしれません。しかし、少なくとも私は「腕時計を格好良く撮る」という目的を十分に果たすことができています。つまりこれは、同様の物撮り・置き撮りを目的にする方なら、何ら躊躇することなく購入して構わないと言うことです。

 例えば小規模なネットショップのオーナーさんが、ご自分のところの商品を撮影するとしましょう。私もそうですが、マクロレンズ一本では厳しいのです。アクセサリーなら置き取りの接写に加え、装着時のモデル撮影もしたいところでしょう。そうなると異なる画角のレンズが何本か必要になります。その点でも「マイクロフォーサーズ」は素晴らしいです。俗に「大三元レンズ」と呼ばれる人気のズームレンズで他社製品と比べても、OM-SYSTEMのそれは破格に安いからです。

 デジタルの時代になって、一眼システムの主役は完全に「レンズ」に移りました。カメラ本体はあくまでも消耗品であり、シャッターの寿命などから数年で買い替える必要が出てきます。翻って光学レンズの集合体であるレンズユニットは息の長い製品ですから、メーカーや規格の浮気を繰り返さない限り、無駄にならない資産だと言えます。

最後に… カメラや写真が趣味でない方なら「マイクロフォーサーズ」が最適解かも??

 何だか矛盾したことを言ってるようですが、例えば私は「大好きな腕時計を格好良く撮りたい」のであって、その手段… カメラやレンズに関しては「目的さえ叶えてくれれば何でも構わない」と考えていました。とは言え「元写真部」としての少々の拘りはありましたが… 基本的には「小さくて軽くて」「そこそこ画質が良くて」「マクロに強い」のならば、特段「マイクロフォーサーズ」「OM-SYSTEM」である必要もありませんでした。

 仕事で止むに止まれず「素人臭くない」写真を撮らなければならない方も多いでしょう。フィギュアや自作のアート作品を写真に収めたい人もいらっしゃると思います。そう言う「カメラに特段拘りはないが写真で失敗できない」事情のある方にとっては、マイクロフォーサーズのカメラが心強い相方になってくれると思います。必要十分な撮影環境を他よりも遥かに安く揃えることができるのですから、機材のコストを極力抑えたい企業さんにもオススメ。特に腕時計販売店でECサイトの管理を任されていて「写真でお悩みの担当」の皆さま!! 私で良ければ相談に乗りますから、何でも聞いて下さいませ(笑)

 ただ、カメラに拘りがないと申しましても、ここまで取り回しに優れて、欲しい画がバンバン撮れるとなると、どんなクールな方でも愛着が湧いてくると思います。例えば「次はこのレンズが欲しいなぁ」とか「もっと早いメモリーカードを買おう」みたいな理由で行動し始めたらかなり重症です。私だって気軽に格好良く腕時計を仕留めてくれる「マイクロフォーサーズ」「OM-SYSTEM」から離れようとは思わなくなってますから。

 ちなみに次に狙うレンズはやはり「テレマクロ」。対象に寄りつつも背景をぼかしてみたくなったのです。そっかぁ… こうやってハマるんだなぁ (;´Д`)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (4件)

  • 砂布巾さま

    こんにちは。mascagniです。

    私も高校時代写真部でした(笑)。
    そして、社会人になってからはNikon F3P、FM2とLeica M2、M3、M6を基幹システムとして、150台以上のカメラを買い替えた阿呆です。無論レンズも200本以上買い換えました(遠い目)。

    病が高じて4×5や8×10に手を出しそうになったところで、幸いにも?デジタル化の波が押し寄せ、私もデジカメに舵を切って機材をスリム化。現在はOLYMPUS OM-D E-M1を2台LUMIX GM-1を1台のM4/3使いです。どちらも10年以上前のカメラですが、今でも十分現役です。

    オート110…あれは魔性のカメラです(笑)。レンズ・ワインダー・ストロボ・フィルター・etc…全部揃えたくなる。男ってのはどうしてああ言う小さくて凝縮している専用設計ものを欲しがるんでしょうね(苦笑)。腕時計然りではありますが。

    ちなみにフォトコンの写真は、その辺に布を広げ、1,600円の腕時計をテキトーに置いて、いつもそこら辺に置いてあるLUMIX DMC-TX1と言うコンデジを使って、手持ちでテキトーにぺろりと撮ったものです(笑)。露出補正くらいはしましたけど。

    次回があったら、その時はもっとマシな腕時計を三脚立ててE-M1でちゃんと撮りま~す(信用度:酒の席の又聞き級)。

  • mascagniさま。コメントありがとうございます♪

    150台のカメラに200本のレンズですか!?
    それってもう、郊外の「カメラのキタムラ」じゃないですか(笑)
    恐れ入りました!!

    オート110は最高に楽しい玩具でしたね。
    確かに腕時計趣味の「萌える部分」に近しいものを感じます。
    要するに男の趣味はずっと変わらないと(汗)

    また機会をみてフォトコンを開催したいと思いますので、お気軽に参加してくださいね♪
    本気出されたらスゴいことになりそう~(笑)

  • うちは二世代前のEM-5mark2なのですが、シャッター音と金属ボディーの質感が好みで最新のに乗り換えずにいます。
    最新のもの=最良とは限らないのは腕時計もカメラも似ているなと思いました。
    仕事で商品撮影をする関係上、出来るだけ影の出ないように撮影していましたが、敢えて影を入れる事によりカッコ良く撮れるのですね!
    勉強になりました。
    今後試してみたいと思います。

    • ののさま。コメントありがとうございます♪
      勉強になったなんて、そんなそんな!!
      お仕事で写真を撮っている方にそんな風に言われると恐縮してしまいます(汗)

      「EM-5mark2」良いですね!! 似ていますがOM-5よりもマッシブな感じがします。
      そうなんですよ。新しいものが常に優れているかと言えば、全然そんなことはないのです。
      デジタルになってからのカメラは特にそうみたいですねぇ (;´∀`)

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