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歓迎!!新品のオールド「復刻モデル」

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安易な傾倒は興を削ぐだけですが、個人的には腕時計の「復刻モデル」は大歓迎です。そもそもが古臭い機構の機械式ですし、懐かしい作りであっても使用には何ら問題ありません。とうの昔に評価も固まっていますから、「確実に売る」戦略として「ハズレなし」なことも頷けます。

まもなく締め切りです。どなた様もお早めに~(*´∀`*)

ただし、復刻の原点…オリジナルモデルをそのまま蘇らせただけでは、イマイチ面白くありません。現代のセンスや技術で丁寧にリプロダクトして、その価値を再定義するからこその「復刻」でしょう。要はその部分の匙加減が難しいのです。

先日入手した復刻物の「キングセイコー(SDKS007)」に関して言えば、それは「正しい復刻」だと思いました。そりゃあ…ね、ハイビートでも載せてくれりゃ「化物」になったと思います。だけどそれだと、買える人を著しく限定する価格になってしまう。それこそ「キングセイコー」の当時のポジションを思い起こせば、必要以上の「高嶺の花」にしてはいけないのです。

ちょっとだけ高めの「プレザージュ」くらいの価格でリリースされた「キングセイコー」の値付けは絶妙でした。価格と所有欲の間の複雑な関係性を思えば、あれ以下の安さで出してもメリットはありません。高級腕時計愛好家の興味をギリギリ引けて、且つ、満足できるクラス感の下限が、あの「198,000円」だったと思います。

そして、ヘリテージ物という部分を差し引いても、今回の「キングセイコー」は価値のある時計だと思いました。細部の仕上げも素晴らしく、10万円辺りの時計とは確実に一線を画しています。そこに「復刻」のノスタルジックな価値が加味されるのです。

元々が持っていた魅力を再現しつつ、現代の加工精度で蘇った「復刻モデル」。2022年の現代でも違和感がないばかりか、むしろ「目新しさを感じる」新鮮な価値を感じます。当時をご存知ない、若い人たちにこそ味わって欲しいですね。

ところで、近年最も効果的に復刻物をリリースしてきたブランドといえば「ロンジン」さんではないでしょうか?

元々、膨大なアーカイブ作品を保有している古豪ブランドですし、陸海空と幅広く展開してきた経験値を存分に生かした復刻ラインアップは、充実の一言です。

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古いのに攻めてる感じがする「ロンジンのヘリテージ」

また、ブランドの枠、或いは縛りに捕らわれず、様々にチャレンジし易い「絶妙なポジション取り」も奏功しています。元々派手なブランドイメージではありませんし、節操がないと揶揄されるような、厳格な立場でもありません。どんどん復刻に挑戦して、ダメなら引っ込める。ある意味、最もスウォッチ的な商売をしているのが、ロンジンさんではないかと思うのです。

ってなわけで(?)復刻には二つのルートがあると考えられます。まず一つ目はオリジナルの完全復元を最終目的に据えた「正統派の復刻」

もう一つは、自社の歴史の中から象徴的なエッセンスを抽出して作る「スタイルの復刻」

例えば、名機「カリプソ」を現代風にアレンジして生み出されたモーリス・ラクロアさんの「アイコン」などは「スタイルの復刻」にあたるでしょうか。現代風のラグジュアリーを意識しつつも、入手し易い価格に収めてくれましたしね。消費者重視のリプロダクトとして、あれは理想的でした(カリプソはカレも格好良かったですし、アイコンにも四角いの…お願いしたいですねぇ)

ブランドの成長段階に訪れる、イケイケドンドンな「拡大期」。推進と膨張一辺倒のそれは、ブランドの知名度を飛躍的に高めます。しかしその後には、往々にして収拾のつかない状況を経験することになるのです。

路線の混乱や増えすぎたラインなどが引き起こす「ブランド価値の陳腐化」。その致命的な事態を修正するため、多くのブランドが用いる方策「原点回帰」というカード。そこで打ち込まれる乾坤一擲が「復刻モデル」なのです。

ほら!!人間でもあるじゃないですか??調子に乗って暮らしが派手になって、周りから友達がいなくなって…あるときそんな彼に、かつて親友だった男が言うのですよ。

「昔の…昔のお前に戻ってくれや!!」

友の胸ぐらを掴みながらの悲痛な訴え…そんな感じで完成するのが「復刻モデル」なのだ!!って…え??違います??(;´∀`)

まぁ、それは違うかも知れませんが…ブランドと消費者の間に横たわる「倦怠期」に放つ魅力的なインセンティブ…「復刻モデル」の発表がある意味「鉄板」なのは間違いないでしょう。

腕時計好きの心中を、いとも容易く揺さぶってくれる「復刻モデル」ですが、その価値は、単なる「過去作の復活」という意味を超えたところにあると考えます。

まず「復刻モデル」の元となった「オリジナル」「同じ時代を生きた人」或いは「触れた人」たちにとっての魅力について考えます。

一つ目は、馴染み深く「懐かしいカタチ」がもたらす「視覚的な幸福」。めっちゃ懐かしいやん!!好きやってんこれ!!ってやつですね。

次に、自らが若かりし時代に対して再評価が下されることで承認欲が満たされる幸福」。昔の話をしてくれと若い人にせがまれた際に「よくぞ聞いてくれました!!」みたいになっちゃう、アレに似た愉悦かもしれません。

最後はやはり…「復刻モデル」を通じて、当該のブランドが「一番熱かった時代」を、今現在の自分自身で「追体験できる幸福」でしょうか。若い頃には買えなかった憧れのモデルが、現代の技術で美しく蘇る…ブランドへの想いも「あの頃」のように若返るかもしれないのです。おっと…なんや怪しい宗教っぽくなってきたでぇ(;´∀`)

次に「オリジナル」の時代を知らない「若い方たち」にとっての「復刻モデル」。その魅力について考えてみましょう。

発表から評判を呼び、リリース直後にあっという間の品薄になった「Q TIMEX」。1979年の製品を忠実に復刻したスタイル。その時代に朧気な記憶のある私の目には、そのままの懐かしさを感じさせるものに映りました。ですが若い人たちの目には、そんなオッサンの感傷とは違う「別の印象」を与えたのでしょう。

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私が買ったのは「Q」の自動巻き版「M79」ですが、オールドの味と可愛らしさが同居する楽しい時計です。

それこそが「復刻モデル」が若い方たちの魂にもぶっ刺さる魅力の正体…「知らんが可愛い」だったり「知らんがオシャレ」だったりするのだと思います。歴史がどーの、経緯がどーのといった根拠なんて必要としないのは、若さの特権ですしね!!

歳を取ると「知らない」ことを怖がってしまうようになりますが、受け皿となれる柔軟な感性さえあれば、古いものを再定義したはずの「復刻モデル」ですら、単に個体の魅力のみで「純粋に」受け入れられるのだと思います。知識なんてぶっちゃけ、後からで良いんですもん。

若い方と我々オッサンとでは、同じ「復刻モデル」でも全く違うものとして解釈されているはずです。古い人には「新品のオールド」としての矛盾した魅力、新しい人には「未知の可愛い何か」としての新鮮な魅力…

そう考えると、立派な歴史を歩んできたブランドが、過去の復刻を戦略に織り込む気持ちが理解できます。幅広い年齢層から好意的に受け入れてもらえるのですから…縋りたくもなりますよね(;´∀`)

ってことは…復刻に傾倒しないで好調なセールスを維持し続けるブランドって、称賛に値するのかもしれませんね。ロレックスさんなんて、ず~っと前しか向いてないですもん。それでも「今回のニューモデルはダメだな」なんて言わせないんですから…やっぱり凄いですねぇ(*´∀`*)

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