「時計を売り払ったら、欲しい時計がある」
自分で付けておいて、とても矛盾した見出しだと思いました。禅問答っぽくもあり、鶏卵論争のようでもあり…
さて、自身のコレクションをどないかしてシュリンクするために立てた計画を遵守するなら、近々、50数本の時計を売りに出すことになるでしょう。
しょーもない時計も多いのですが、ちゃんとしたブランドの時計がほとんどですし、全く値が付かない…なんてことはないでしょう。まぁ、それなりに期待して準備中です。
「買取価格に自信あり」な業者さま、連絡お待ちしております(笑)
首尾よく買い取ってもらえた場合、それなりのお金が戻ってくることになります。朧気な計算ではありますが、ボチボチまとまった金額になりそげです。よっしゃよっしゃ…
とはいえ、そもそも「お金目当て」で売るわけではありません。今後の自分が責任を持って面倒が見れる本数まで「数を減らしたい」だけなのです。
なので、何かしら…買います( ー`дー´)
えっと…ゴメンナサイ(汗)
ってなわけで先日、購入すべき「何かしら」を探しに行きました。戦場は「新宿三丁目界隈」です。いつもの西口とは雰囲気が違うなぁ(*´∀`*)
この辺りにも腕時計販売店は沢山ございますが、まずは迷うまでもなく「ISTN百貨店(伏せとらんがな)」へ。さすがに見たいブランドは大体揃っていたりします。
一応、儀式として「ロレックス」さんも見てみます。…はい!「ないとき~」でした。
大阪ミナミの「551」やったら「あるとき~」がオチなんやで?
一番奥の「リシャール・ミル」さんが別格すぎるせいでしょうか?手前の「A.ランゲ&ゾーネ」さんに相対的な入りやすさを感じる私(錯覚というものですが…)なので、ちょろっと見てみました。
「如何ですか?」と聞かれたので、「引退したら欲しいと思っています!」と遠慮がちに答えました。すると即座に「今、買いましょうよ!」の鋭いツッコミ。いやぁ~早かった。若い頃のダウンタウンの漫才のように。
しかし実際、私と同じように「現役引退したらランゲ」と考えている愛好家が多いらしく、若い世代にもこの魅力を伝えて行きたい…みたいなお話を伺いました。確かに引退したオッサン(爺さん)がランゲ愛用ってのは、渋さの象徴のようなところがありますよね(*´∀`*)
その日見せてもらった中で、現実的に私が手出しできそうな時計は「サクソニア」の「アウトサイズデイト(381.029)」でした。
珍しく高価なお品に気後れしてしまい、写真も撮れませんでしたが…「サクソニア」は私好みの要素が満載の時計です。サイズ感、スモセコ、針のように細いバーインデックス…フラッグシップは「ランゲ1」なのでしょうが、ヘンコ(捻くれ者の意)の私のマインドには、「サクソニア」の遠慮がちな存在感が突き刺さりました。心の「お気に入り」にこそっと入れておきます(*´∀`*)
「サクソニア」で一つ心配なことがあるとすれば、ケース素材が「ホワイトゴールド」で普段遣いには「贅沢すぎる」ということくらいでしょうか。気に入った時計なら、できる限り使い倒したいというのが愛好家の情というものですし、そこは悩ましいところです。庶民派労働階級のオッサンに「A.ランゲ&ゾーネ」は相応しくないのか…
そして数週間が経過。その間にも様々なブランドのブティックにお邪魔しては、ロックオンすべき「次の一本」を探してきました。途中「キングセイコー」をお迎えしたりはありましたが…やっぱりアレですね。ランゲさんを候補に入れたことによる心理的な傾倒があったのでしょうか、今、やたらと「ドイツ」が気になってまして。
現状、うちにも「ドイツ物」は何本かあります。「ユンハンス」「ジン」「クロノスイス」…クロノスイスを「ドイツ」と括るのはアレかもしれませんが、私なりにドイツ物の「味」を知っているつもりです。けれど、正確には「旧西ドイツ味」しか知らない…とも言えます。
「A.ランゲ&ゾーネ」さんで試着させてもらった経験は4、5回だと思いますが、今回の試着で感じた、狂おしいまでの「旧東ドイツ物待望」。
恐らくは…最近の私、疲れてるのです。昨今の目に余る「ロレックス狂騒」や諸々に。
私とてロレユーザーの端くれでもありますし「金輪際ロレックスには近付かん!!」なんて約束はできません。しかしながら、しばらくの間はそういった喧騒に対して距離を置きたいと思っています。腕時計を嫌いにならないためにも。
もちろん、腕時計自体から距離を置くなんてことは、この私に「息をするな」と言うのと同じです。適切な価格と技術、手作り主体の温かみ…そういった「誠実なプロダクト」に目を向けることで、今後、腕時計を嫌いにならないで済むかもしれない…そんな風に考える私にとって、多くの「ドイツ物」は救いだと言えます。古い伝統を守り続ける「グラスヒュッテ製」なら尚更です。
「A.ランゲ&ゾーネ」さんで私が欲しいモデルに「ステンレスケース」が存在すれば悩むことはないのかもしれません。或いは私が「プラチナ」や「ホワイトゴールド」の似合う男になれれば…ごめんなさい、多分無理です。骨身に染み付いた庶民の匂いは、簡単には消えませんので(;´Д`)
そんな、ラグジュアリー感満点の「A.ランゲ&ゾーネ」さんが「ドイツ物」の「主将」なのは間違いないところでしょう。ならば「副将」たるブランドは?
異論もありそうですが、私は「グラスヒュッテ・オリジナル」さんだと思っています。そもそも起源が「A.ランゲ&ゾーネ」さんと同じ人ですからね。技術的にも肉薄したものがありますし、土地に根ざした手法や理念も、さして変わりません。「グラスヒュッテ・オリジナル」さんと「A.ランゲ&ゾーネ」さんを比べるとき、ヒゲゼンマイ内製の話がちょくちょく出てきますが…近年の躍進を見れば、近いうちに達成しちゃうような気もします。
で、ずっと気になって、手元の資料でおさらいしまくっていた「グラスヒュッテ・オリジナル」さんの実物を、先週「キングセイコー」を受け取りに出向いた、銀座の「和光」さんで見せて頂きました。
出して頂いたのは、所謂「パノシリーズ」。「ランゲ1」に似てると言われるアレです。私も同様の先入観を以て「パノリザーブ」と「パノマティックルナ」を拝見しました。
微細な箇所も見逃すまいと、いつもどおり変態的なアクションで「パノ」をチェックする私。傍目にはキモいかもしれませんが、これは偏に、腕時計最優先で身体を動かすからに他なりません。
そんなキモい体勢から側面部を見ようと、ケースの角度を変えた瞬間でした。
「気になりますか?厚み?」
モデルのように美しい女性スタッフさんの笑顔が一瞬、曇りました。恐らく、何度も言われているのでしょう。「ランゲ1より分厚いね」と(泣)
私的には全く気にならないと伝えました。実際、「ランゲ1」と「パノ」の価格差を考えたら、「パノ」は奇跡のような出来栄えです。分厚いとか言ったら罰が当たる。まぁぶっちゃけ…
「そないな些末なことはエエから、ダブルのスワンネックに感動せえや!!」って言いたい( ・`д・´)
でもって、私は見事にやられたわけです。「パノ」の静謐な美しさに。
私にも手の届くレベルに、こんな凄い時計が存在することが、只々嬉しかったのです。
(厚み気にならんとか言いながら、この日は「薄型宗家」の「ピアジェ」さんも見たりしてます…そのお話は後日にでも)
「パノ」から放射される「計算された美」と、相反する「癒やしの威力」にやられた私。手元の雑誌のドイツ時計特集などを紐解きながら、今の自分が感じている渇望が、果たして「本物」かどうかを「再確認」しなければならないと考えました。つまり、もう一度実物に触れて、自分に念を押したかったのです。次に買うべき大物は「パノ」なのかと。
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見参!!「ニコラス・G・ハイエックセンター(銀座)」
スイス腕時計産業の救世主にして、スウォッチグループ総帥だった故人のお名前を冠した建物からお察しの通り、ここはそういう場所です。
それにしても…何ここ!!愛好家の楽園なの??(いつもは並木なので、こちらには初めて来ました)もちろん、ここにですね…入ってるわけですよ。「グラスヒュッテ・オリジナル」さんが。
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一見、お部屋の隅っこみたいですが、エレベーターなんです。エレベーターにも時計の陳列があるんです。
ビビりますよぉ~ガラス張りだし、銀ブラ中のオーディエンスにも、めっちゃ見られてるし(;´∀`)
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ゴー☆ジャス(*´∀`*)
腕時計絡みだと、どんな高級店でにも平気で入れる私ですが、腕時計に関係ない場所だったら、場違い過ぎて逃げ出していたでしょう。
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はい出ました!!パノの「リザ」と「ルナ」。実際、女の子の双子ちゃんにありそうな可愛いお名前。
漢字だと「ルナ」は…「月」?じゃあ「リザ」は…「貯」とか「備」とか?…腕時計好きにしか伝わらない由来だなぁ(笑)
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まずは「パノリザーブ(1-65-01-26-12-71)」です。写真では表現しきれない複雑なブルーが印象的なダイアルでした。こうしてみると、同じオフセンターでも「ランゲ1」とは全然違いますね。デザイン的な重心位置がまるで違います。
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「パノリザーブ」を裏側から。「4分の3プレート」に「ダブルスワンネック」…テンプ受けのエングレービングの精緻さでは、さすがにランゲに軍配が上がりますが、いやぁ…ランゲとオリジナルが同門だということがハッキリ解ります(*´∀`*)
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パノマティックルナ(1-90-02-43-32-62)です。シンプルで上品なムーンフェーズ、ダイアルに合わせた色のデイトディスクも凝ってるなぁ~と感心しました。これはエレガントだ…
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パノマティックルナを裏側から。養生が邪魔でイマイチ美しさを伝えきれませんが…こんなに目に楽しい自動巻きがありますか!!って話ですよ。あぁヤバい。グラスヒュッテ様式マジでヤバい。
買うなら「ブレスモデル」とそこだけは決めていたのですが、「リザ」か「ルナ」か、ダイアルカラーはどれにすべきかなどの諸問題は残ってしまいました。
銀座の「ニコラス・G・ハイエックセンター」ですが、私のような腕時計バカにしてみたら、ホントに夢のような空間でした。「グラスヒュッテ・オリジナル」さんのブティックでも、最高レベルの接客をして頂きましたし「次の大物」を仕留める過程で、何度でもお邪魔したいと思います。
ちなみに、私の相手をして下さった女性スタッフさんも凄かったです。ドイツ時計の歴史、自ブランドの技術や課題、今後の展望などなど…とても熱心に勉強されてて、しかも説明が上手い!!心底感心しました。でもって美人(*´∀`*)
そんな方から「今日は勉強になりました!!」と言われた私。事前に「グラスヒュッテ・オリジナル」さんの歴史や企業情報を、しこたま仕込んでおいた甲斐があったってもんですが、スタッフさんが仰るには「自ブランドについて、ここまで熱く語ってくれたお客さんは初めて」だそうです。うひゃ~恥ずかしぃ~(。>﹏<。)
お名刺を頂いたときに初めて「日本人じゃないんだ!!」と気付いたほど、流暢な日本語で対応してくれたスタッフさんに、この場を借りて感謝したいと思います。わざわざ1階まで降りてのお見送りにも感激しました。
お金がないから、半年後くらいになっちゃうかもしれないけど…「パノ」…超前向きで検討させていただきます!!
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