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腕時計業界の中核をなす「12ブランド」(前編)

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 小学校に上る前にはすでに「インドア派」の趣味嗜好が完成していたネクラな私ですが、特にお絵かきと工作は毎日欠かしませんでした。泥んこになって外を走り回るよりも、お絵かき帳にチマチマと「謎の怪獣」「怪しげなヒーロー」を描いている方が好きでした。心配だったろうなぁ…両親(汗)

 「この子は絵を描いているときだけ機嫌がいい」…そんな風に思われていたと思います。ですから子ども用の画材は好きなだけ買ってもらえました。クレヨンにクレパス、画用紙も常に余分がストックされていました。

 ある時、初めて「色鉛筆」なるものを買ってもらいました。確か…基本セットの「12色」。軸まで鮮やかに着色された鉛筆たちが整然と並ぶさまを初めて見たとき「なんてキレイなんだろう」と感動したのを覚えています。キレイ過ぎて、しばらくは鉛筆削り機に差し込めなかったくらいです。

 この「12色セット」ってヤツですが、何気によく出来ています。色彩の性質の基礎を学んでいる人ならば、この12色だけでほぼ全ての色味を表現できると解るはずです。ブランドによって多少の差異はあるものの、三菱にしてもステッドラーにしても、この最小単位で基本的な色彩を賄えるように設計されています。

 ではこれが「24色」「36色」となった場合、色彩表現はどう変化するのか…ですが、どうにもこうにも、基本的には重ね合わせで微妙な色合いをひねり出す手間がわずかに減る…っていう効果に尽きます。

 ファーバーカステルの色鉛筆「ポリクロモス」「120色セット」を今でもたま~に使うことがありますが、使う色はその中でもせいぜい30色くらいです。最近はほとんどアナログな画材を使わなくなったので記憶も曖昧ですが、使わない色たちに関して言えば、別に無くても困らない…そんな感じだったと思います。

 最小の組単位である「12色セット」は、重ね合わせることでどんな色でも表現できるという点で「最小にして最強」なのですが、そのセットに組み込まれた色たちが「特に厳選された色」であることも見逃せません。いわば、この12色が色彩世界の頂点、絶対的な「支配者」なのです。

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腕時計ブランドの基本色「12色セット」

 腕時計のブランド世界を俯瞰すると、そこにもやはり「この辺のブランドを抑えておけば安心!」と言える「鉄板な」チーム編成があると思います。例えば高級腕時計販売店のショップサイトなどで、トップページの目立つ場所にあるブランドリストがそれです。結果的にどこのショップも同じようなリストになってしまっていますが、需要と供給の関係から考えても、さもあらんといったところでしょう。

 では、戯れに「腕時計ブランドの12色」を挙げていきたいと思います。腕時計に僅かでも興味のある方なら誰でも知っているブランドばかりです。

① PATEK PHILIPPE(パテック フィリップ)

https://static.patek.com/images/articles/gallery/2200/5167_1A_001_8.jpg

 世界3大時計ブランドの中でも、別格といえるのが「パテック・フィリップ」です。お値段も別格です(笑)

 1839年の創業以来から存在する、全ての自社製品を修理するサービスを続けているのも驚きです。これはパテック・フィリップが完全なマニファクチュールであることに由来します。言うなれば、全ての歴史に存在する全てのノウハウをいつでも再現できる、ということに他なりません。

 パテックの腕時計は購入者から息子へ受け継ぎ、さらにその息子へ継承していっても問題なく使える逸品であるというフレーズは有名です。世代を幾つも超えてその価値を保ち続けることを考えれば、500万円の高価な時計だとしても、納得できる人は多いのではないでしょうか?

 ちなみに不詳この私も以前、「アクアノート」を買おうと考えたことがありました。あれはさすがに無謀でしたねぇ…(汗)

② Audemars Piguet

 世界3大時計ブランドの2番手は「オーデマ・ピゲ」で間違いないでしょう。そしてその代表的なモデルが「ロイヤルオーク」であることにも異論はないと思います。私も勢いのあった若い頃に調子に乗って購入しました。とは言え、今ほど高価な時計ではなかったのです。今で言う、ロレックスのスポーツモデルと大差ないお値段でした。

 オーデマ・ピゲもパテック・フィリップと同様に、全てのモデルの永久修理を謳っています。その辺りの高度なホスピタリティーは、パテックのそれに比べても遜色はないと思います。

③ VACHERON CONSTANTIN(ヴァシュロン・コンスタンタン)

https://www.vacheron-constantin.com/content/dam/rcq/vac/13/41/90/6/1341906.png

 世界3大時計ブランドの3番手は「ヴァシュロン・コンスタンタン」です。個人的にはお尻の「タンタン」のところが可愛くて好きです。古い時計雑誌を紐解くと「バセロン・コンスタンチン」という表記も見受けられます。いや、やっぱりタンタンだな!

 この瞬間に十分な資金があったなら、私は「オーヴァーシーズ」を買いたいと思います。この時代、ノーチラスよりロイヤルオークより、私は断然オーヴァーシーズが気になります。オマージュやモドキが少ないから…っていうのもあるかもしれませんが、ノーチラスやロイヤルオークとは異なる工芸的な味付けのデザインが、オッサンの心にじんわり染みてくるのです。

④ Breguet(ブレゲ)

https://www.breguet.com/sites/default/files/styles/page_modele_preview/public/gardetemps/variante/soldat/7337BBY59VU.jpg?itok=I4-ex1Pk

 「ブレゲ」の創業者で伝説の時計師「ルイ・ブレゲ」が生み出した技術を避けて機械式時計を作ることは至難の業でしょう。彼が開発した永久カレンダーやミニッツリピーター、トゥールビヨン機構は現在でも高級腕時計に搭載される象徴的な機能ですし、ダイアルに千変万化の表情を与えるギョーシェ彫りまで彼の発案なのですから。さらには、どんなに安い時計でも途端に上品に見えるようになる「ブレゲ数字」「ブレゲ針」といったデザイン物もバリバリ現役。世界中のメゾンで重宝されています。

 顧客にマリー・アントワネットやナポレオン・ボナパルトがいたというのもロマンがあります。池田理代子さんが「ベルサイユのばら」などでドラマチックに描いた革命の時代に、天才時計師ブレゲさんはセッセと頑張っていたわけです。

⑤ A.LANGE&SOHNE(A.ランゲ&ゾーネ)

https://www.alange-soehne.com/sites/default/files/2019-01/alangeundsoehne-lange1-25thanniversary-whitegold-191066-1815384-1904x1428-lg.jpg

 2度の世界大戦によって翻弄されたドイツはグラスヒュッテの時計産業。その中核で世界有数の精密な時計を作り続けてきたのが「A.ランゲ&ゾーネ」です。仮に戦争の影響を受けずに自由な発想の時計を世界中に届けて発展していたなら…今頃、腕時計業界の頂点はランゲだったかもしれません。

 ヒゲゼンマイからお手製の完全マニファクチュールとして知られる「A.ランゲ&ゾーネ」ですが、特筆すべきは極限まで磨き抜かれた美意識と、妥協を許さない仕上げの技術です。生意気にも「ランゲ1」を見せて頂いた際には、余りに隙きのない完成度に私自身、腕時計に対して「気合い負け」してしまったくらいです。まぁキレイ。色気が凄すぎました。ドイツ時計の頂点と言うよりは、間違いなく世界の時計産業の頂に君臨するメゾンだと思います。

 ここまでの5つのブランドを称して「世界5大時計ブランド」と呼ぶこともあるそうです。うむ!納得しかありません( ・`д・´)

⑥ ROLEX(ロレックス)

https://content.rolex.com/dam/watches/family-pages/gmt-master-ii/roller-design/professional-watches-gmt-master-ii-blue-black-bezel_m126710blnr_0002_1901ac_006.jpg?imwidth=1440

 労働者のニーズを真摯に汲み上げることで「実用腕時計のディフェクトスタンダード」を確立した「ロレックス」。その揺るぎない人気の土台は、顧客とメーカーが繰り返してきた地味な意見交換の集大成です。腕時計の「あったらいいな!」を満点に近いカタチで提供することにより築かれた分厚い信頼関係は、ロレックスのユーザーが腕時計と一緒に手にする「プレミアム」に他なりません。

 その辺りのリレーションシップはマーケットをも取り込み、ロレックスの価値を普遍に近いものに高めました。あれだけのセールスを誇りながら、市場で「余らない」というのは凄いことです。ブランドを支える強固なピラミッドが存在する証左ですが、そのユニバースを育て上げたのは他ならぬロレックス自身なのです。世界で最もブランディングに成功した企業という点でも、ロレックスの牙城は盤石ですね。

基本中の鉄板「6ブランド」でした!!

 「基本にして最強」「12ブランド」のうち、6つを見ていただきました。ここまでに挙げたブランドに共通するのは、そのどれもが「到達点」でありながら「出発点」でもあるという存在であるという部分です。

 「オレもいつかはパテック!」的な「大目標」としての意義がまずひとつ。そして「到達点」であるが故に、そこを目指すことで「間違った時計道」を避けることができる…「こういう時計を目指しなさい」ってな感じで、正しいスタートラインを示してくれる存在であることも見逃せません。

 次回は「7から12」までのブランドを決めて行きたいと思います。「1から6」までは鉄板も鉄板の王道でしたが、この先は結構主観が入ってきちゃいそうですね。お時間がある時に、続きも是非御覧くださいまし(〃ω〃)

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