「暑いときは小さく感じて、寒いときは大きく感じるものはなぁに?」その答えはこの「Heritage Black Bay 41」です。
この「ケース幅41ミリサイズ」は2017年のバーゼルで発表されました。それ以前から存在した「36ミリサイズ」を欲しい欲しいと狙っていたこともあって、「どうせならサイズアップした新作を買おうか!」となりました。値段も変わんなかったですしね( ´∀`)
私にとってはじめてのTudorでもあり、「Rolexの廉価版」という位置づけに多少の不安もありました。実際、ムーブメントはETAですし、価格もRolexの半分以下。あからさまにRolexが「手を抜いた」作りだったらどうしよう…と思っていましたが、さすがにそれは杞憂というものでした。
ケースのエッジの立ち方の見事さ、ブレスのスムースなつけ心地。あらゆるパーツが品よくそれでいて華やかで、素性の良さは一目瞭然でした。ノンデイトの3針というこれ以上ないシンプルさでシーンを選ばないお蔭で、「迷った時のブラックベイ」みたいなポジションの時計として重宝しています。
廉価版Rolexではあるものの、決して「安物時計ではない」のがTudorの時計。ハンドとアワーマーカーに注目してみれば、この倍額の時計に匹敵するほどのできの良さに驚くことでしょう。
ここで冒頭のなぞなぞ、「暑いときは小さく感じて、寒いときは大きく感じるものはなぁに?」についてです。
2017年にこの「41」が発表されるまでは「36」がありましたが、その頃の私の感覚では「36」は少々小ぶりかなという評価でした。「36」でも手元にあるデイトジャストと比較すれば「そんなもんだろう」というサイズなのですが、どういうわけだか、「買おう!」と思って奮い立った気持ちを何度も何度も冷やしてきたのは、「36ミリ」というケースサイズだったのです。
そこに「41」の登場です。自宅から歩いて行ける大阪は心斎橋の高級腕時計専門店、そのショーケースで在庫を確認した私はお店のスタッフの女性に、「見せて下さい」ではなく「これ下さい」とお願いしていました。それくらい「これだ!」と感じたんですね( ー`дー´)
ところが、その日から間を置かずに「36ミリの方がよかったかも…」と、今更な疑問を感じ始めました。ジャケットを羽織る季節になると、ほんの少しですが…袖口がもたつくように感じたのです。
その感じ方自体、妙な話です。この「Heritage Black Bay 41」よりずっと大きな時計を何本も持っていて、文句も言わずに使っているのですから。大きさも個性として尊重して着けこなせる自分になることこそ大切だと思ってきたはずなのに、何故か「Heritage Black Bay 41」に関してはグルグル後悔すらし始めている自分がいるのです。
結局、「36ミリ」への引っ掛かりを捨てきる前に、「41ミリ」に飛びついてしまった自分が浅見だったという結論で、その秋からの「上着あり」の季節を過ごしました。
ところが、暖かくなりシャツイチの季節がやってくると、「Heritage Black Bay 41」の印象は一変しました。使いやすい!めちゃくちゃキマる!
150メートル防水ということもあって、2018年の夏のジメジメする季節の主力として大活躍。ダイバーズルックのダイアルにスムースベゼルという「ありそうで意外と少ない」個性的な面持ち。無難にビジネスの多様な状況を乗り切れる貴重な一本になりました。
「41か36か」というサイズへの違和感も、「キマる用途」が明確になって完全に払拭されました。キマる季節に使い倒せばいいのですから。
「Heritage Black Bay」に関して言えば何となく「36」が主流で「41」は亜流。鬼子か仇花かみたいな扱いをされているように思えなくもないのですが、私的にはそうなってからの「41」の方が愛おしくなりました。判官贔屓かもしれませんが(;´Д`)
世の中にはきっと、私と同じように感じてジャッジする方もいらっしゃるはずです。そんなあなたにこそ、愛すべき亜流「Heritage Black Bay 41」をお勧めします。
NATOにしても渋いですよ( ´ ▽ ` )
「Tudor Heritage Black Bay 41(79540)」諸元表
ムーブメント:cal.2824(パワーリザーブ38時間)
防水性能:150m防水
ケース径:41ミリ
ケース厚:11ミリ
風防:サファイアクリスタル
ケース素材:ステンレススチール
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