腕時計愛好者の有名人といえば「高倉健」、もちろんあの「健さん」のことです。
健さんといえば「Rolex」がお好きだったそうで、お気に入りの共演者の方々には腕時計をプレゼントすることでも知られていました。
「腕時計を贈る」ことは、「健さんに習うこと」と言っても過言ではない。
半年ほど前、私の先輩でもあり同僚、上司でもあり、また長年の戦友でもあった「Nさん」とのしばしの別れがありました。どちらかが東京本社のとあるセクションを立て直さなければならない事態になって、結局、年長のNさんが抜擢されたのです。
Nさんとは会社のお付き合い以外にも、プライベートで深い親交があったので、私にしてみれば、仕事で一番頼りにしてた先輩と、一番仲良くしていた親友を同時に失うような感覚でした。いやもう淋しさの極みです。
そのNさんが異動する際の引っ越しの手伝いに行く前に、何か記念になるものをプレゼントしたいと思い立った私は、考えに考えて腕時計を(奥さまの分も併せて)プレゼントすることにしました。
とはいえ、そんなに高いものは買えそうにありません。でも、ありきたりの時計は贈りたくないと。
そこで、心斎橋にギャラリーショップを構える「Knot」さんにお邪魔しました。数が多すぎて目移りしまくる店内で右往左往する私。自分の腕時計なら基本的に「決め打ち」で買いに行くので全く迷わないのですが、贈り物となると勝手が違いすぎます。
買い物に使える時間も残り少なくなってきたので、店員さんに希望を伝えてサジェッションを得ようと考えました。実はNさんご夫婦に腕時計を贈りたいとかは内緒にしたままで、二つの質問をしていたのです。
一つは「シルバーとゴールドどっちが好き?」
もう一つは「ホワイトとブラックどっちが好き?」
一つ目はケースやブレスの素材のことで、二つ目はダイアルの色のことです。これだけの説明だったので、実際バレてはいませんでした。
その質問の回答を店員さんに伝えると、ナルホドと唸るような提案が帰ってきました。満足した私はその腕時計をペア用のきれいな箱に収めてもらって、凝ったラッピングもお願いしました。自分のじゃなくても、時計を買うのはテンション上がります。
気分は完全に「高倉の健さん」です。ちなみに私が一番好きな健さん映画はヤクザものじゃなくて、「遙かなる山の呼び声」です。劇中、健さんはほとんどしゃべりません。それがいいのです。静かでひたすら優しい男。ただ歩いているだけで格好いい。そりゃあ、惚れますよ。男も惚れます。
話は逸れましたが、腕時計のプレゼント。ホントはそれほど喜んでもらえない覚悟をしていました。高級品ではないし、腕時計に興味がなければそもそも嬉しくないかもしれません。迷惑がられる可能性も考えていました。その時は持って帰ろうかな…とか。
ところがこのプレゼント、私の想像の5000倍は喜んでもらえました。こちらが照れくさくなってしまうほどに。良いですねやっぱり。人を笑顔にするのは最高です。
開封してすぐに決めポーズを作ってくれました( ´∀`)b きっとこの時の私は健さんみたいな渋い眼差しでお二人を見ていたことでしょう(笑)
これがペアボックスを開封した状態。Knotさんの主力はレザーかファブリックのストラップですが、あえてミラネーゼのブレスを付けてみました。「不器用な男」なりに色々考えての結果です。
Knotさんありがとう。そして「健さん」ありがとう。「遙かなる山の呼び声」の健さんにはなれなくても、優しさと気前の良さが際立った役回りの「ハナ肇」にはなれたかもしれません。充分です。
感謝は形にしてはじめて、相手に伝わるのかもしれませんね。「贈りたい」と思う気持ちの発露、そして手間をかけた時間が尊いような気がしました。
でも間違いなく、一番幸せな気持ちになれるのは「贈った側」ですけどね。
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