人間関係のお話ではありません。腕時計のお話です。
これが「人間」の話だとすると、私の考え方は余り宜しくない方に分類されるでしょう。私自身は完全な「外見重視派」だからです。
私が子供の頃のドラマや漫画では、外見の良い人物は性格的に問題があるような描かれ方をされていました。今考えるとちょっと面白い現象です。造り手の鬱屈した感情が多分に込められていたのかもしれませんね。
「顔がいいヤツは性格が悪い」というステレオタイプは、今の時代では全く当てはまりません。逆になったと言っても良いでしょう。私の周りでも、イケメンや美人の方が思いやりがあって親切で純粋です。幼い頃から外見で守られていた分、妙なストレスに晒されることもなく真っ直ぐに育って来たんでしょうか?
以前、プレジデント・オンラインのレポートにアメリカ・テキサス大学オースティン校の労働経済学教授、ダニエル・S・ハマーメッシュ氏の見解が載っていました。それは、「労働者の外見による生涯収入変動について」というものです。
外見の印象を5段階に分けてグループを作り調査した結果、外見に優れたグループと劣るグループの間には、17%以上の所得差があったらしいのです。女性においても同様に12%の差が存在するそうで、これはもう神さまを呪いたくなる数字と言えます。
まあさすがに、「見た目手当」みたいなものは存在しないでしょうが、見た目が良い方が有利になる業務は確かに存在します。その辺の小さな差がじわじわと大きくなり、「ビューティー・プレミアム」と呼ばれるほどのヒエラルキーを生んだのでしょう。因みに私の外見は5段階評価の「2」ってところ。中年男性の悩みを全部入りで抱えてますから。あぁ無情。
さて本題。腕時計の話です。
腕時計が好きで収集を趣味だと公言している人の中には、大きく分けて「中身」に拘る人と「見た目」に拘る人が存在すると思います。勿論これらはそれぞれ切り離せるものではなく、要はどちらをより「重要視」するかという問題です。
ムーブメントや機構に拘る「中身重視派」の人は、どんなに好みの見た目の時計を発見しても、その中身がお眼鏡にかなわない限り敬遠する傾向が強いと思います。「見た目も雰囲気も最高だが、ムーブメントがダメだから買わない」といったロジックです。
一方、好きなデザインに購入欲を刺激されまくる「外見重視派」の人は、ある程度の中身の物足りなさや問題に目をつぶる傾向があります。私もその一人です。
中身重視の方はETAやセリタなどのジェネリックムーブメントを忌避する傾向がことさら強く、搭載がMIYOTAだったりした日には、「価値なし」と断ずる方も多数います。私も各ブランドのオリジナルムーブメントに対する憧憬はそれなりに持っていますが、ジェネリックを批判する材料にはなっていません。安くて高性能なジェネリック品で良くないですか?と常々思います。
ETA Valjoux7750搭載のハミルトン カーキタキマイラー。少し前にメンテに出した。
現在、私が居住する地域「大阪・ミナミエリア」には高級ブランドの旗艦店が軒を連ねる心斎橋界隈があり、多くの一流時計店が存在します。さらにミドルクラスの時計を扱うお店も多く、大阪の腕時計文化の中心地と言っても差し支えない場所…私にとっては聖地であり誘惑の魔都です(゚д゚)
そうなると当然、腕時計修理のお店も賑わいます。「後々売るかもしれない」なんて考えない私のような人間からすれば、正規修理でない場合の買取価格のペナルティーなんて関係ありません。好きな時計を健康に保ってくれる腕のいい修理を、できるだけ安価に提供してくれるなら、それにこしたことはないからです。
ここで先程のジェネリック・ムーブメントが、むしろ有り難い存在として浮上します。何故ならジェネリックと言われるくらいですから流通量も多く、修理部品や部品取りのための個体の確保が容易なのです。さらに修理師からしてみればジェネリックは何度も顔を合わせるお馴染みさんです。当然修理スキルも蓄積されて、より高度なサービスを期待できるようになります。
AS社のデッドストック搭載のカトレックス。こういうのは苦戦するかも。
これがマニュファクチュールなオリジナル・ムーブメントだったなら…修理部材の確保から何から、手間の掛かり方がジェネリックとは比較にならない困難さを伴うことになります。当然ながらコストも跳ね上がって、街の修理屋さんでお願いする意味合いが無くなってしまいます。オリジナル・ムーブメント搭載の高級機は買う時も高価ですが、健康の維持にもお金がかかると言うことです(;´Д`)
実際何個かのETA搭載機(主に7750系)を街の修理工房に預けてオーバーホールしてもらいましたが、歯車や部品を加工したような話は聞いたことがありません。恐らく、交換部品がドンピシャでストックされていて、メカの洗浄と摩耗した部品の交換だけで健康を取り戻すことができたのだと思います。
「ジェネリック品を修理してまで使いたくない」と考える人もいるでしょう。それはそれで仕方がない価値観の土台です。しかし私は違っていて、例え安物でも腕時計自体を気に入ってさえいれば、原価以上の修理代が掛かろうとも直すつもりなのです。「これ元は2万なんだけど、何回も調子悪くなって修理代に10万使っちゃったよ~」とか、そんな感じで時計に愛情を注ぐことが私の理想です。
とは言え、エル・プリメロを手に入れたら、それなりに自慢するとは思いますが(`・ω・´)
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