遡れば、小学生の頃の「プロ野球カード」「ライダースナックのカード」辺りまで記憶を辿らないといけない。それほど私には「何かをコレクションする」といった趣味は縁遠いものだった。
それが有ろう事かこの年齢で、大人になって初めて罹るおたふく風邪のように「腕時計」を拗らせた。何ということだ。
「絵を書くのが好き」そして「文章を書くのも好き」な少年だった。その2つをそこそこ満足させてくれる仕事にありついて、今思うこと、それは…
「趣味が仕事になっちゃった」という有り難いやら、有り難くないやらの事実だ。
趣味を仕事にした場合、どちらかと言えば「辛いこと」の方が多くなる。
自分のペースでやれるわけじゃないし、結果も求められる。一切の甘えが許されず、理解されないことも増える。
「好きなことなのに辛い」と何度も思ったけど、私の場合は「辛いと感じなくなるレベルまでもっと好きになってやろう」と無理やり滾らせて自ら不感症になることを選んだ。おかげさまで毎日、本業だけは前向きにやれている。
しかし気がつけば、自分最大の趣味が趣味ではなくなってしまっていた。
無駄に絵を書くという楽しみが、失われてしまったのだ。
趣味とは「永遠に終わらない子供時代を愉しむ」ようなものだと思う。そして趣味を愉しんでいる大人には少年のような色気がある。
私はいつの間にか「少年の色気」を失っていた。ああ、このまま無為に歳をとって行くだけなのか…
そこで見つけた「腕時計」
前述の通り、それなりの理由でドアをノックした趣味の世界だったが、奥の院に向かってズケズケ大股で歩いていったのは自分の意志だ。
明日はBvlgariで行こう #bvlgari #ergon #swissmade #watchcollector #watchholic #watchgeek #osakaminami
似たようなカタチの物が3つ揃うと、人間はそこに「可愛らしさ」を感じるらしい。そこから4つ5つと増えていき、今では想像もしなかった数がクローゼットの中のコレクションケースに収まっている。
似たようなものが増えて「う~ん、困った~」と感じるのは、サソリ男が何枚も出てきてしょんぼりしたライダーカードの時と同じではないか。
腕時計の魅力で、私は少年時代の朗らかさを取り戻せたのかもしれない。「少年の色気」については定かではないが。
ご意見・ご感想