今回は腕時計ファンの多くから躊躇なく「ダサい」と言われることの多い「プロスペックス(セイコー)」の「Xマーク」について偉そうに考察します。かく言う私も、時と場合によっては「ダサいなぁ~」と思わないでもありません(笑)
ここに来てようやく「1965現代デザイン・Save the Oceanモデル(SBDC165)」で「Xマーク」との邂逅を果たした私。
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インパクトと上品さを両立させた素晴らしい出来映えのダイヤルに、ある種独特の違和感をもって浮かぶ「Xマーク」を睨みつつ、コイツが本当に「どうしようもなくダサい意匠なのか??」を真面目に考えてみました。「プロスペックス愛」を貫いていらっしゃる方にこそ、読んでいただければと思います。
「Xマーク」はダサい??
まず、結論から申し上げます。全然「ダサくありません」…但し、条件付きです。
例えば私が購入した「SBDC165」に関して言えば、これはもう「必然要素の一種」と言って構わないほど「Xマーク」の存在が立っています。むしろこのマークがなかったら、ダイヤルの印象はもっとボンヤリしていたかもしれません。それくらい、デザイン上のヘソを担っているのです。この「Xマーク」が。
「X」が担う役割
ところで、そもそも何故に「X」なのでしょうか??まず「Prospex」の末尾のアルファベット「X」からの引用であることは間違いないでしょう。ちなみにセイコーさんの公式によると「Prospex」における「X」は「無限の可能性」を象徴しているそうです。
同時に私は、ここにセイコーブランドと腕時計の「未来」を強く感じています。「進化」や「次世代」といった前向きな意味合いを、小さな「Xマーク」が担っているような気がするのです。数学的には「未知数」という意味ですしね。謂わば、セイコーファンに向けての「これから先も無限に期待しててよ!!」ってなメッセージなのかもしれません(*´∀`)
「Xマーク」は優秀の証明
未来に向けての前向きな意味合いを「Xマーク」に込めるならば、それが似合う時計の種類も自ずと絞られてくるでしょう。ハイスペックと次世代を感じさせるモデルにとって「Xマーク」は自らの「優秀」を証明する印のようなものです。
反対に、元々クラシカルなイメージで売っていたはずのモデルに「Xマーク」が付くと、ちょいとおかしなことになります。ご年配の方が「ロックなTシャツ」を着てるみたいな…そんな違和感が出ちゃうのです。極まれに似合ってる人もいますよ。そう言えば私の知り合いにもいたっけ??(;´∀`)
似合わないモデルもある
例えばイマイチ納得できないまま「プロスペックス入り」を果たした「アルピニスト(特にSBDC091)」そのクラシカルでシブいダイヤルに記された「X」を始めて拝んだ際の、何ともいえない「戸惑い」は忘れられません。私の場合、先代モデル「SARB017」のオーナーでもありますから、その思いは尚更でした。
サイクロップスに関しても、私としては正直「いる??」って感じなのですが…それは置いておくとして(;´∀`)
明らかにそぐわない「未来イメージ」を被せられた「アルピニスト」は、まるで趣味じゃない洋服を着せられた子供のように見えました。「ぼく…このマーク嫌い…」そんなセリフも聞こえてきそうで…私の目には何だか気の毒に見えたのです。
もっと自由な「X」を!!
陸海空の高性能なフィールドウォッチをまとめて「プロスペックス」と括ること自体は、私も戦略として正しいと思います。ダイヤルの一角にシンプルな「X」を記すことで端的に「シリーズ」を印象づける手法は常套手段です。ですが問題は、その「意匠」が「一辺倒」であることなのです。
ぶっちゃけ、同じシリーズだから同じロゴを冠しなければならない…なんてことは、企業側のご都合に過ぎません。一人一人の顧客に一つ一つの「満足」を確実に届けることを最重要とするならば、シリーズロゴはおろか、ブランドロゴですらアンタッチャブルであってはならないと思うのです。ブライトリングさんなんて、モデルに応じてコロコロとブランドロゴを変えてたくらいですから。
自縄自縛で見た目の完成度を下げるくらいなら、各モデルのイメージに合わせた方が絶対に良いと思うワケです(;´∀`)
ってなワケで、例えば「X」は付けるとして、そのデザインが変わると印象がどう変化するかを、現状最も違和感を感じる(もちろん個人的見解ですが…)「アルピニスト(SBDC091)」で試したいと思います。
「X」の直下にある筆記体「Automatic」のイメージから、似た雰囲気の「X」を作って置いてみました。う~ん…もう少しウエイトのある書体でも良かったかも??(;´∀`)
下らない「実験」ですが、それでも解ったことがあります。このクラシカルな「アルピニスト」にとって現状の「X」は、その「未来感」もさることながら、ドシッとした「重量感」が邪魔なのです。
現状の「X」を施された「アルピ」の場合、視覚の着目順は必ず「Xマーク」からになります。ですが、筆記体の「X」に変えただけで「SEIKO」ロゴの方が目立つようになるのです。私はこのモデルのロゴとインデックスの絶妙な統一感が好きなので「SEIKO」から入ってインデックスの配置を味わう順序のほうが好ましいと思いました。モデルのイメージから言っても、何ですかねぇ…自然に見えます。
支配力の大きさゆえ
小さな「ロゴマーク」の意匠とその置きどころが、時計全体のデザインに対して少なからず及ぼす影響をご理解いただけたかと思います。そもそも手首の上にちんまりと収まる程度の腕時計ですから、デザインのバランス取りはとても繊細です。微細なアワーマーカーの太さや長さ、ダイヤルの周端に記された極小のキャリバー名すらも「完成度」を構成する重要な因子なのです。
デザイン的には「プロスペックス入り」する前…とっくの昔に「完成」していた「アルピニスト」です。恐らくは、余計な「何か」を足したり引いたりすることが、必要のないレベルに達していたと思いますし、だからこそ、その高い完成度と手頃な価格が相まって、地味ながらもコツコツと売れ続けていたワケです。
明らかにフィールドウォッチである「アルピニスト」ですが、そのクラシカルな全体像から、私個人としてはドレス系の「プレザージュ入り」でも良かったのではないかと思っています。まだしも「PRESAGE」のロゴの方が似合う気がしますし、当の「アルピ本人(?)」も、自分のことを「ワシなぁ…ハイスペックとか似合うタイプちゃうねん」と思っていそうな気がします(;´∀`)
結局、今の「アルピニスト」のフワフワした立ち位置は、間違いなく「プロスペックス傘下」にあることが原因でしょう。外見的にはたった一文字「X」が追加されただけの話ですが、その影響力、支配力の大きさを考えると、他にやりようがあったんじゃないのかなぁ~なんて考えてしまいます。限定復刻のダイバーズなんかでは「X」なしもありましたよね??いっそ「アルピニスト」に関しては外しちゃうとか…
「X」をそのままで馴染ませる
まぁ、全ては「今さら」です。なのでここは気持ちを切り替えて、現状の「Xマーク」のデザインを変えずに、いかに「アルピに馴染ませるか」を考えてみましょう。
やっぱり、どう考えても「SEIKOロゴ」のプライオリティーは一番であるべきです。それがブランドの寄って立つところでしょうし、そもそも「SEIKOのロゴが好き!!」な世界中のファンを疎かにするべきではありません。
とはいえ同時に「プロスペックス」であることを主張する手段を、完全に排除することは得策ではありません。セイコーのハイスペックウォッチは「プロスペックス」という刷り込みは、実際かなりのところまで来ていると思います。
ってなワケで、次は「Xのデザインはそのままで案」です。
このくらいのことはセイコーさんも試作段階でも試したに違いないと思いますが「アプライド風のX」なかなかお洒落じゃないですか!!
インデックスやハンドとの相性もバッチリですし、尚且つ存在感は数倍増し。それでいて悪目立ちしないこの感じ…正解かもしれません。少なくとも私の中では正解かもしれません(笑)
「SBDC135」などにはインデックスに合わせた色味の「X」が使われていますが、もう少し…そう、インデックスの厚みに近い主張があっても良いのではないかと思っています。デザインはねぇ…中途半端さが伝わっちゃうんですよ。見る人、使う人に。
でもどうなんでしょう。たったこれだけでも、それなりのコスト増になるんでしょうか??以前の「アルピ」の価格を知っている者からしたら、現状の価格はすでに「お高くなったなぁ~」とため息しか出ないレベルですからアレなんですが…もしも、何かしらの施策で「Xマーク」が格好良く馴染んだならば…多少は高くても買っちゃうかもしれませんねぇ。中でも以前から「白アルピ」は私の憧れなので(*´∀`)
オッサンの魂は「X」で震える
「プロスペックス」の「X」云々以前に、そもそも日本のオッサン世代は「X」とか「Z」が大好き。私にしても「X」を目の前にすると何かねぇ…やたらと滾るものがあるんですよ…試しにお若い方も声に出して「エェーックス!!」ついでに「ゼェーット!!」と叫んでみて下さい。ささ、遠慮なさらず!!それだけできっと、解ってもらえるはずですから(笑)
初の武器使用で仮面ライダーの世界に革新を起こした「仮面ライダーX」。飛行形態を持つロボットアニメの走りだった「グロイザーX」…いずれも当初は「なんじゃコリャ~!?」な感じで、観ていた子供たちの反応も微妙でしたが、一方で「何か解らんけど新しい時代が来た!!」とワクワクしたのを覚えています。
それ以来、私は独立した「X」の文字を見るとムズムズするのです。新しい何かに根拠なく期待しちゃうのです。解んない、解んないけどそうなのです(;´∀`)
大谷翔平こそ「X」の体現者だ
例えばセイコーのアンバサダーをお務めの「大谷翔平選手」。彼のこれまでの偉業、これからの無限の未来…彼こそが「生きるX」であり、誰も見たことのない世界を見せてくれる可能性の象徴なのです。
誰もなし得なかった投手と打者の「本格二刀流」を達成し、さらに高みを目指そうとする大谷翔平選手を「顔」として戴くなら、セイコーさんにも「伝統の守護」以上の「革新性」をもって製品を作っていただきたいですし…特に「プロスペックス」を通じての「未知の世界」に、個人的には大いに期待しています(*´∀`)
最後に
今回はプロスペックスの「Xマーク」にまつわる「ダサい・ダサくない論争」に対して、私なりの意見を纏めさせていただきました。「これが結論??」…いやいや滅相もない。色んなご意見があって然るべきなんですよ。それだけ大きなユニバースを形作る「プロスペックス」なんですもん。それに、少々駆け足で膨張したきらいもありますしね。
そういう意味では未だ「ブランディングの途上」と言っても良いセイコーさんの「プロスペックス」。今後の発展の鍵は、ファンの活発な「意見の衝突」とその結果の先にあるような気がします。ではまた~(*´∇`*)
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ご意見・ご感想
コメント一覧 (4件)
隊長さま。
ご賛同ありがとうございます!!(笑)
ト◯タさんのマーク…良くも悪くも支配力が強くて、どんなデザインのクルマも染まってしまうという(汗)
その辺りがXマークの事情と近いかもしれませんね。
セイコーの中の人…読んでてくれたらいいなぁ~(*´∀`*)
Xマークへのブログ主様のご意見に賛同します。
私がこの記事で思い出したのは、世界一の自動車メーカーであるト〇タ自動車さんのあのマークでございます……。
かれこれ登場から三十年近くになりますが未だに馴染めません(特にスポーツモデル)。
それゆえ、ブログ主様のアルピニストへのXマークのデザイン提案に思わず「かっこええやん!」と膝を打ってしまいました。
市井の名も無き声がメーカーさんのエライ方に届きますように……。
ご指摘、誠に痛み入ります。
実は各方面から同様の指摘をいただいておりまして…
ご存じの方が多いトリビア類に関しましては、端折ってしまう悪いクセがあるブログでございます。用語解説も同様です(汗)
ですが、これだけ同様のご指摘をいただくと、私の書き方に前提の含みが足らなかったような気もしてまいりました。
折りを見て、加筆と修正を加えたいと思います。うん!!解りやすくなる気がします。
丁寧なご指摘、ありがとうございました(´∀`*)
今後ともよろしくお願いしますね♫
このマークはXである前に Pro Spec の P と S をとってデザインしたものですよね?
当然それは置いておいての記事だと思いますが、それへの言及がないと、見落とされてるのかなという気もしてきます。