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購入に一片の悔い無し!! ミドー 「マルチフォート TV ビッグデイト」に大満足

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寝起きの悪い私としては珍しく、その日は目覚ましのアラームが鳴り出す直前に覚醒しました。真っ白な天井を見上げながら、形容しがたい何かに突き動かされるように口走った言葉は… 「腕時計買う!!」。正直、ワケが解りません(笑)

寝る前にオンラインショップをハシゴして、その残滓が残っているならばまだしもです。しかし、そういった前触れらしきものも一切無く、まるで一種の脊髄反射のように出てきた「購入宣言」でした。

気になっている時計ならあります。まぁ年がら年中、買えもしない時計に懸想をしてはフラれてきた私ですから、ちょっぴりの開放感で浮かれる週末に「もしかしたら… 買っちゃうかも??」なんて気持ちでフラフラと買い物に出掛けること自体は、さして珍しいことではありません。

正体不明の高揚を感じつつ、取り敢えずいつもの喫茶店で昼食。「新宿一旨いコーヒー」を飲んで、落ち着きを取り戻そうとしたのだと思います (;´∀`)

そして、起床の瞬間のことを振り返ってみました。一体全体、私は何の時計を「買うぞ!!」と宣言したのか… 一番肝心なところがさっぱり思い出せなかったのです。

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そうだ!! ティソの「シデラル」が欲しかったんだ!!

ちなみに私の場合、そんな風に「欲しいが爆発」する時計には特徴があるんです。それは「事前に実機を触っていること」。雑誌やWEBで写真を見ただけだと、そこまでの枯渇を覚えることは滅多にありません。視覚的な印象に「触感」が加わったとき、自分の脳内で明確な肉付けが行なわれることで「手が届くかも知れない!!」と思っちゃうわけです。勘違いの場合が多いですけどね(汗)

そんなわけで、ここ数ヶ月の間に実機を拝見した時計を見直すことにしました。実機を見たタイミングで写真を撮らせてもらうことが多いですし、「Googleフォト」を確認すればその履歴を追うことは容易です。そう言えば私のGoogleフォト、気持ち悪いくらい時計の写真しかありませんでした。完全に変態ですわ (;´Д`)

そしてすぐにピンときました。私が寝起きのアクビよりも早くイメージした時計は… これでした!!

いやぁ~ これは刺さりましたわ (*´∀`*)

ティソさんの「シデラル」。つい先日、某所でちょくちょく遭遇するコレクターさんが購入した「シデラル」をご厚意で着けさせてもらったんです。正直、コンマ2秒くらいで好きになってしまいました。オモチャっぽいコンセプトなのに、触った印象は「高級時計」そのもの。真面目に遊んでいる感じが何とも言えず好印象で、「手が届く価格」も良い感じ (*´ω`*)

「シデラル」に関して言えば、発表から間もないタイミングで、新宿の正規販売店さんまで実機を見に行ったことがあるんです。その際は残念ながら在庫なしとのことで「予約されますか??」の問いかけにも「YES」とは言えなかった私。そもそも実機を見ずに予約するなんて、庶民にはリスクが高いですからねぇ~(汗)

実物を拝めたことで、私の「シデラル熱」はメラメラと燃え上がりました。その最高到達点が「あの朝」だったワケです。

「シデラル」不発。隣で見付けたものは…

「シデラル購入」自体は決定として、問題は「今すぐ欲しい」という気持ちの方でした。要するに在庫が確実にありそうな「正規販売店」を探す必要があったのです。そんな私が、これといった根拠も無く白羽の矢を立てたのが「銀座松屋」さん。銀座の時計販売拠点の有名どころならほとんど巡回してきた私ですが、どういうワケか「銀座松屋」さんにはご縁がありませんでした。20歳代の頃はちょくちょく買い物に行ったんですけど。

というわけで「銀座松屋4階・時計売場」へ到着。お世辞にも広いフロアとは言えませんが、確実にツボを押さたラインナップ。レイアウトも解りやすいなぁ (*´∀`*)

各種の誘惑を断ち切り、脇目も触れず「ティソ」さんのコーナーへ。愛しの「シデラル」は何処かいなと、ショーケースにへばりつき索敵を開始する私。あれれ?? まさか!? … 松屋さんにも無いのね。くすん (;´Д`)

表現しがたい脱力感に苛まれつつ、虚ろに彷徨う視線が捉えたのはお隣の「ミドー」さんのコーナーでした。「ミドー」かぁ… 悪くはないねんけど、正直、コレといった「フック」も見当たらんのよねぇ~ (;´∀`)

まてよ!? 「アレ」はどうなん?? … ほら、「アクアノート」に似てる~とかで一時期話題になった「アレ」

出典:https://www.midowatches.com/

そして見付けてしまった「アレ」。そのアレが「マルチフォート TV ビッグデイト」でございます。初見の印象だと大方の反応通り、表面的なデザインやコンセプトは確かに似てるなぁ~と思いました (;´∀`)

買うべきか… 『マルチフォート TV ビッグデイト』

出典:https://www.midowatches.com/

在庫はブルーダイヤルでラバーストラップの一本のみ。青ダイヤルは良いとして、ラバーかぁ… ここはブレスで見たかったなぁ… (;´∀`)

「ところで… ブレスレットの別売りは??」

「ございます!!」

「納期は??」

「ひと月でございます!!」

 なるほど… 思い返せば、ミドー公式で「マルチフォート TV ビッグデイト」の写真を見た最初の印象って、めちゃめちゃ鮮烈だったんです。「遂にミドーがやりよった!!」って思いましたね。

出典:https://www.midowatches.com/

そもそも、何をリリースしても「ミドーさんですよね??」と認識できてしまう独特の「型」があるブランドなのです。ヴィンテージウォッチに傾倒したデザインを主流にしつつも、パッケージとして絶対的な「ミドー感」を忘れない… もちろんそれが魅力の一つだとは思うのですが「逸脱」から始まる「期待感」のようなものとは無縁のブランドだったと思います (;´∀`)

ところが「マルチフォート TV ビッグデイト」は違いました。現行ラインナップにあって際立つ「有無を言わさぬ個性」。それは「スウォッチ グループの優等生」が、危険な冒険を決意した証に見えたのです。

右を見れば「ティソ」、左を見れば「ハミルトン」… スウォッチ グループ内での「ミドー」の立場は、外部の我々が想像する以上に窮屈なのかもしれません。自由気ままに新製品を計画して、自由気ままに価格を設定するわけにもいかないのでしょう。同一のコングロマリットに似たようなクラスがこれだけ集まっていれば、地味なイメージの「ミドー」が一歩引いた存在になってしまうのも頷けます。擬人化したら間違いなく「三つ編み・眼鏡っ子の図書委員」

そんな図書委員がある日、「ワタシもう、地味キャラやめる!!」と宣言したかのような「マルチフォート TV ビッグデイト」のインパクト。聞いたところですと、入荷するとすぐ売れちゃうそうです。それだけ多くの人の魂にグサグサと突き刺さっているのでしょう。「ミドー」としては待望のヒット作なのかもしれませんね。

※ここで一旦、「ミドー」さんの沿革をおさらいしておきます。

「ミドー」は、スイスのル・ロックルに本拠地を構える時計メーカー。社名の由来はスペイン語の「Yo mido(私は計測する)」から。1918年にジョージ・シャレンにより設立され、現在はスウォッチグループ傘下のブランドとなっている。
ミドーには「時代を超えることが真に優れたデザインの証」という信念に基づき、いたずらにトレンドを追わない伝統がある。←ここ重要!!
1918年に設立されて以来、多くの優れた時計を製造してきたミドーだが、1934年には、自動巻きの「マルチフォート」を発表。当時の自動巻き時計の先駆けとなった。1944年には高い防水性を誇る「オーシャンスター」を発売。1959年には「コマンダー」。これは現在も当時と同様のデザインで一部地域での販売を継続中。1976年には「バロンチェッリ」が発売され、ミドーを代表するコレクションとなった。

『マルチフォート TV ビッグデイト』買っても良い「言い訳」を考える

 そもそも「ささ!!腕に載せてみて下さい!!」と促されて、「結構です!!」と言えた試しがありません。

 腕時計というのは誠に恐ろしいものです。腕に載せた瞬間、写真から受ける印象とは比較にならない密度の情報が、超高速で脳細胞を揺らすのですから。この時点で私は完全に白旗を上げました (;´∀`)

しかしながら私も「倹約至上主義者」の関西人の端くれ。1万円を越える買い物の際には、私の中の「しぶちん(ケチな人)」を納得させる必要があるのです。これが実に手強い。例えば「この靴下、穴空きそうやねんけど… 」とおねだりしても、「あかん!! まだ半年は履ける!!」ってなもんですよ。余程の理由付けをしなくっちゃ (~_~;)

最初に捻り出したのは、自分のコレクション内に「被るデザインが存在しない」という言い訳。だから買っても良いという根拠にはなりませんが、「また同じようなもの買って!!」みたいな自己批判は躱せるかもしれません。

次に「マルチフォート TV ビッグデイト」「時計としての価値」について考えました。ミドーさんの「TV シェイプ」には歴とした過去作が存在しており、それだけでもある程度の価値があると思います。

1973年(出典:https://www.midowatches.com/
1973年(出典:https://www.midowatches.com/
1980年(出典:https://www.midowatches.com/
2000年(出典:https://www.midowatches.com/

1980年と2000年のモデル、めちゃめちゃイカしてますね!! こりゃあ~そのうち復刻されるかもしれない…

2023年の「マルチフォート TV ビッグデイト」には「TV シェイプ50周年記念モデル」としての価値もあります。もちろん、将来高く売り捌けるとか、そういう類いの話ではありませんが、歴史の一片を手にする喜びのようなものは味わえるはずです。

そして「価格」です。「今日中に『シデラル』が買えないなら、今ここにある『 TV ビッグデイト』を買う!!」という強引な趣旨のすり替えができるのも、その価格が「シデラルとほぼ同じ」だからです。無駄遣いが解消されるわけではありませんが「同じ値段で別の物」という思考の転換は、かなりの罪悪感をぬぐい去ってくれました。

最後に、逆立ちしても買えない「アクアノート」への無念が成仏するかもしれないと考えました(笑) もちろん… 半分はネタです。でも半分は本気!! だって私には「ロレアート(ジラール・ペルゴ)」を諦めさせた「アイコン(モーリス・ラクロア)の経験があるんですもん。「これで十分!!」と本人が納得すれば、それはそれで幸せになれるのが腕時計ってヤツなのです。

例えば「アクアノート」を購入可能な御仁が「マルチフォート TV ビッグデイト」に出会って「何や!?これで良いやん!!」と納得できれば、一体全体、どれだけのお金が手元に残ると思いますか?? 残った資金で高級外車を買うも良し、マンションを買うも良しでしょ??(マンションは無理かな??)

ってなわけで、些か強引に「シブチン関西人の自分」をねじ伏せた私。ニコニコ顔で銀座松屋さんを後にするのでした。左手には「ミドーのショッパー」をぶら下げて…

真っ直ぐ… 帰宅しない!?

 寄り道せずに真っ直ぐ帰宅してから軽めの夕食をとり、気持ちを静めてから、一人でまったりと「今日の獲物」を開封。BGMに「ツァラトゥストラはかく語りき」なんて流した日には、恍惚もここに極まれりでしょう。「お金使っちゃった… 」みたいなほの暗い後悔を感じてしんみりしてしまう辺りも、これまた「大人の時間」って感じがして一興です。

 そんな「孤独な開封式」も悪くありませんが、時計好きの誰かさんに見守られつつの「わいわい開封式」も楽しいものです。「買いたての時計」をいきなり誉めてもらえるわけですからね。その記憶は買った時計と渾然一体に溶け合って、忘れられない思い出になるのです (*´ω`*)

その「味」を知ってしまった男が、大人しく自宅に直帰するなんて… あり得ません。ってなわけで、淀みなく地下鉄を乗り継ぎ「表参道」へ。目指すは「マイクロブランドの桃源郷」… 昨年冬から通い始めた、HºM’S” WatchStore 表参道店です。

ふら~っと入店すると奥には店長さんの姿。私が下げているショッパーを見付けてひと言「マルチフォート!!(笑)ちょっと待って、何で!? 何で解るの!? (;´∀`)

考えてみれば、私も大概迷惑な客です(汗) 他所のお店で購入した時計を見せびらかしに行っちゃうんだもん。でもって「開封シーンの撮影」までしていただきました。厚かましいにも程がある!!(ゆるいBGMが鳴ります。字幕ONでヨロシク!!)

youtu.be

 東京に腕時計販売店は数あれど、こんなにフランクに付き合えるお店も珍しいと思います。近郊にお住まいの腕時計好きの方は、是非一度、脚をお運び下さい。ホント、楽しいお店なので (*´ω`*)

HºM’S” WatchStore 表参道店 | H°M’S” WatchStore エイチエムエスウォッチストア | 世界のブランド腕時計専門店

こってり観察「マルチフォート TV ビッグデイト」

さて、ひとしきり「開封の儀」を楽しんで帰路についた私。これが買い物疲れってヤツか… 何やら珍しく疲労困憊でしたので「マルチフォート TV ビッグデイト」の細かいチェックはまた後日に行なうことにして、その日は大人しく就寝しました。

そして数日後、いよいよ「マルチフォート TV ビッグデイト」の細部に斬り込む覚悟が整いました。比較的「良いところ、悪いところ」の切り分けがしやすいプロダクトだと思いますし、テンポ良く書けそうな予感がします。

ちなみに、浮き彫りにしたいテーマは3つあります。1つ目は「ミドーの時計のコスト パフォーマンスについて」。2つ目はどこまで飽きずに使えそうか… 要するに「賞味期限について」。3つ目は「言うほど『アクアノート』に似てるのか??」について。「マルチフォート TV ビッグデイト」という人気作について、迷っている方が知りたいのはこの辺ではないでしょうか?? 細部を観察しつつ、最終的にはこの3つのテーマに答えを出したいと思います。よっしゃ!! ノッて来たかも!!

「マルチフォート TV ビッグデイト」の全景を見る

「大物感」が漂ってます(笑)

残念ながら「ブレスレット モデル」ではありませんので、プロダクトのコンセプトとしては「未完成」の印象かもしれません。「ラバーストラップ」の出来自体はかなり良いですけどね。

どうでしょう?? 20万円もしない時計ではありますが… トータルパッケージとしてのレベルは相当に高く見えます。何度も「それほど高くない時計なんだ!!」と反芻しておかないと、会う人会う人に「過剰に自慢」してしまいそうです。いや、良いのかもしれませんね。自慢しまくっても!! (*´ω`*)

英知と工夫が垣間見られる「ダイヤル」

何となく「和風」なんですよね~

横方向に有機的な溝が無数に引かれた「ギョーシェ」。まるで着物の「かすり」のような独特の個性があります。角度を変える都度、現れたり消えたりするパターンが見せる「生命感」。落ち着いた中にも、エネルギーを感じるダイヤルに仕上がっています。

随所にレイヤーを配置して立体感を演出!!

また、複雑な形状のステップがあるため、薄さの中にも建築にも似た視覚的な立体感が感じられます。その雰囲気を壊さないように穴を穿ち、そこに埋め込まれた「蓄光インデックス」の設えも見事。価格を考えたら、総じてレベルの高い「ダイヤル」だと思います。う~ん… ずっと見ていられますな!! (*´∀`*)

ブランドの意地が垣間見える「ケース」

ボリューミーで存在感満点のケース

中々の出来映えです。さすがは1918年設立の古豪「ミドー」。その名に恥じない仕事です。毎度毎度私が拘るこの角度、美しいです。程よい肉付きでセクシーなケースサイド。なめらかに伸びるラグの量感が、この「マルチフォート TV ビッグデイト」の存在感を際立たせています。後述する特徴的な「ベゼル」にしたところで、こう言った土台が整っていてこそ意味があります。

迫力と洗練を併せ持ったサイドビュー

リューズ側サイドビューのリッチなシルエットをご覧下さい。これだけで私はお茶碗3杯の白米が食えます(笑) 計画のキックオフからローンチまでの充実した時間を感じさせる隙のない作り。素晴らしいです。褒め言葉しか出てきません (*´∀`)

ネジ留め最高!!(笑)

個人的に嬉しかったのは裏蓋が「ネジ留め」だったこと。大好きなんです。ネジ留めのケースバック。それだけでクラシカルな雰囲気が高まりますし、デザインのアクセントとしても効果的。心なしかトランスペアレントから見る「キャリバー80」が一廉のマニファクチュールに見えるから不思議です(笑)

「ディンプルひとつ」で差別化を果たしたベゼル

一番重要な「穴」です

もしも、角を落とした丸四角のぶっといベゼルじゃなかったら… 一体誰がこの時計から「アクアノート」を連想するでしょうか?? 結局のところ、TVスクリーンの「額縁」としてこの意匠を選択した時点で「マルチフォート TV ビッグデイト」の運命はある程度決まってしまったと言えるでしょう。

ただ、明らかにもがいたであろう「抵抗の痕跡」も見えます。「12時位置のディンプル」がそれです。

まるでダイバーズ ウォッチのベゼルから「ルミナスポイント」が脱落したかのようなへこみなのですが「マルチフォート TV ビッグデイト」のデザインにおける、最大の「へそ」はここなのです。

そしてこのディンプルが実に上手い!! 地味ながら気合いの入った穴が穿たれ「穴好き」の私も大満足!! 美観のみならず、視線を一旦12時位置に集める作用もあって、結果的に時刻がとても見やすいのです。

そしてお気付きですか?? ビッグデイトで配置できなくなった12時位置の「インデックス」の役割も担っているのですよ(同じ形状でしょ??) 機能とデザインの合理的に融合したディンプル… 上手い!! 上手過ぎる!!

ラグの短さが良好な装着感の秘密

小さくはない時計ですが、収まりは上々です!!

「横幅40ミリのケース」と聞いて「デカいじゃん!!」と反射してしまった方。かく言う私もそう思っていましたが… 早まってはいかん!!

私の手首径は16.5センチで、根拠なく「日本人男性の平均」だという認識があるのですが… そんな平凡な手首でも全く大きいと感じることはありません。

コロンと可愛らしい脚です

その秘密は「短いラグ」にあります。同じ横幅ならカレやレクタンギュラーの方がラウンドケースに比べて大きく見えるのは「出っ張った角がある」からに他なりませんが、「マルチフォート TV ビッグデイト」の場合は何故か収まりが良い。

それは「短いラグ」で縦幅全体を抑えることで、トータルのマッスを感じさせないからだと思います。これからの季節、ジャケットスタイルになってもスマートに着けこなせるんじゃないかなぁ~ (*´ω`*)

気持ち良い巻き心地の「リューズ」

この感触… 気持ちいい~

複数の時計をお持ちの方なら経験があるかもしれませんが、同じムーブメントを搭載していても「巻き心地」が異なる場合があります。組み込み時点でのコンディション、巻き芯周辺の精度などの影響で、結果として指にフィードバックされる挙動が変わるのだと思いますが、この「マルチフォート TV ビッグデイト」の巻き心地… 良いです。大好きです。

「シュッシュッ」と軽快に巻き上がる挙動で、ムーブメントが健康であることが察知できます。機械式腕時計のユーザーなら、これが如何に精神衛生上喜ばしいことか… お解りいただけるはずです (*´∀`*)

肌に優しい着け心地「ラバー ストラップ」

気持ちよく使えそうです

HºM’S” WatchStore 表参道店さんで、百戦錬磨の店長を唸らせた「ラバー ストラップ」です。美しいピンバックルは着け外しもなめらか。優れた耐久性に加えて抗アレルギー性ですから、金属アレルギーの方はこちらを選ぶべきかもしれません。

ケースとの一体感がラグジュアリー!!

表面は柔らかくノンストレス。それでいて弓カン部分は美しく成形されており、まるでステンレスのエンドピースのように堅牢。ステンレスのブレスレット モデルが在庫切れだったため「ラバー ストラップ モデル」を購入した私ですが、正直、このストラップだけでも価値があると思います。レベル高いですよ!!

「ビッグデイト」を搭載したムーブメント「キャリバー 80」

スウォッチGに属する最大メリット!!

ムーブメントは80時間のパワーリザーブを誇る「キャリバー 80」。所謂「パワーマチック」「ビッグデイト」を追加したもので、耐磁性と耐衝撃性に優れた素材「ニヴァクロン製ひげゼンマイ」を採用して、十分過ぎる精度を実現しています。

ベースが実績満点の「ETA 2824-2」ですし、使い勝手や耐久性にも何ら問題はないでしょう。スウォッチ・グループに属する最大の恩恵がこのムーブメントです。「2824-2」も今やブランドですからね。この価格で積んでくれるのは有り難い!!

ゼヒゼヒ動画で動きを確認して下さい!!

そして、何と言っても「ビッグデイト」です。恥ずかしながらワタクシ、「ビッグデイト」を少々誤解していました。ぶっちゃけ苦手だったんです。基本的に「ノンデイト派」ですので、正直言って「何で大きくなってるねん!?」としか思っていませんでした。

しかし、その動作をつぶさに観察して、自分の間違いに気が付きました。「ビッグデイト」めちゃめちゃ楽しいです。取り敢えず、動きを確認していただける動画を用意しました。どうぞ!!

youtu.be

 さて、この先は「マルチフォート TV ビッグデイト」に対して感じた「惜しい要素」を上げ連ねて参ります。まぁ、価格を考えたら「いちゃもん」に近い意見かもしれませんが… (;´∀`)

「針」はもう少し頑張って欲しかった

十分なんですけど、その他が良すぎて…(汗)

完全にいちゃもんです(笑) 「16万3900円」という定価を念頭に考えたら、他の要素ですでに「200%くらいの満足度」が達成されているわけですから。ただ、だからこそですかね。少し目立っちゃうのです。残念なところが。

針の形状は「バー型」。シンプルな棒状を山型に成形、その中心部にはたっぷりと蓄光が塗布されています。機能的には何の問題もありません。

気になるのはその「山折り」の鈍さです。公式の写真で見たときは、もっと「パッキリ」とした鋭い山に見えましたが、実際は「どよ~ん」とした山でした。

ここはもう一声!! 左右で二分してサーフェスのタッチを変え、山の頂点を際立たせて欲しかったですね。それが達成されていれば、「マルチフォート TV ビッグデイト」の満足度は「価格比300%(自分調べ)を達成できたはずです。まぁそれがどの程度コストとして跳ね返ってくるかは解りませんが… (;´∀`)

ケースの仕上げが「鋭すぎる」かも??

緊張感のあるエッジの立った仕上げなんですけどねぇ~

これは好みの問題。実はワタクシ、完璧に仕上げられた外装って、ちょっと苦手なんです。余りにも「パッキリ」仕上がったケースサイドやラグを見ていると、ジワジワ不安が襲ってくると言いますか。

工作機械の進化がそれを可能にしている… そうなんです。出来が良すぎると「人間味」が失われたように思えてきて、身に着けた際の違和感も大きくなる。ストレートに「機械が腕にくっついてる」感じすると、何か嫌なんです。ね?? ややこしいオッサンでしょ?? (;´Д`A

流れるように刻まれたヘアライン、鏡のように磨き上げられたポリッシュ、それ自体は素晴らしいですし、そういう部分で時計を評価している自分もいます。けれど、そう言った「工作技術の粋」「人間の肌」を繋ぐ「有機的な部分」も残して欲しい。

「マルチフォート TV ビッグデイト」のケースに触れたとき、ケースの角やラグの側面に僅かに感じた「違和感」。それはある意味、企業努力で達成した成果なのかもしれません。しかしそれならそれで、肌への当たりを柔らかくする「仕上げ」についても、後ちょっとだけ追求して欲しかったかもしれません。

ラバーストラップの色味がダイヤル カラーと合いすぎている

同じブルーでも、提案されたコッチの方がダイヤルがキレイに見え… (汗)

これに気付けたのはHºM’S” WatchStore 表参道店さんのお陰。色んなストラップをお試しで換装してもらう中、「確かにその通りだ!!」と感じました。さすがですわ!!

要するに「純正のラバーストラップ」の色とダイヤルの発色が「近すぎる」のです。そのため、ダイヤルの繊細なギョーシェが見せる色変化が見えにくい。視線を集める効果も薄れ、結果的に沈み込んだ印象になってしまうのです。折角のギューシェなのに、これは何とももったいない (;´∀`)

不満があれば「クイック」に「リリース」して交換!!

ブレスレット換装後にどう見えるかですが「ブルーラバー」の色味に関して言えば、もう少し全体のバランスを見た上で、最終的な配慮が欲しかったところです。

ブレスレット スタイルが「完成形」か!?

広義で言えば「ラグジュアリー スポーツ」に属するであろう「マルチフォート TV ビッグデイト」。10気圧防水ですし、ねじ込み式のリューズも備えています。ドレスウォッチのように繊細な取り扱いが必要な時計ではありません。

一般的なラグが備わっていますから「専用のストラップ以外はお断り!!」みたいなラグスポ特有の「孤高感」はありませんが、それでもこの「マルチフォート TV ビッグデイト」に関して言えば、専用のブレスレットと組み合わせることで、よりラグジュアリーな「完成形に近付く」のではないでしょうか?? 実際に付けてみるまで解りませんがその瞬間、ため息がもれる予感がします (*´ω`*)

「マルチフォート TV ビッグデイト」総評

似てるとか似てないとか… ええやん(笑)

それでは「結論」を出しましょう。総評に入る前にケリを付けておきたいことがあります。「マルチフォート TV ビッグデイト」「アクアノート」のオマージュモデルと断じて良いのか否か… そうですねぇ。大まかなコンセプト、方向性、シルエットラインなどは確かによく似ています。これはもう事実として受け止めるべきでしょう。

ただ、細部に目をやればその印象も変わります。私の場合は初遭遇から1、2分でした。幾つかの固有の特徴に気付いたタイミングで、それは「他人のそら似」くらいで緩く似ている印象に変化しました。

そして今、こうしてさらに細かいディテールを網膜に焼き付ける作業を終えて思います。要するに「全然似てない」のです。

近年は何でも屋さんになってしまいましたが… 本来の私は、商業分野の第一線で長く働いてきたプロのデザイナーです。

デザイナーの創作には自由な発想を掣肘する障害が多々ありますが「意図しない類似の発生」以上に、神経をすり減らすものはありません。中にはいちゃもんレベルのトラブルに巻き込まれることもありますが、その点で言えば、腕時計のデザインはかなり緩めだと思います。「これ… アリなんや!!」と驚かされた「類似」が幾らでも思い出せますからね。しかも、一流ブランドでですよ!?

つまり現代における「優秀な商業デザイン」とは、人気商品の余慶にあずかれる絶妙な「距離感」に長けたデザインであると言い換えることができます。人気商品を想起させる色・形を纏いつつも、確実に「別物」と言わせる「個性」を生み出せるかどうか…

MULTIFORT TV BIG DATEとAQUANAUT(出典:https://www.patek.com/https://www.midowatches.com/

一見オリジナルに見える多くの超人気商品にしたところで、本を正せば何かの焼き直しである場合が圧倒的に多い。その大前提を踏まえるなら、十分な独自性と個性を持った「マルチフォート TV ビッグデイト」は、「アクアノート風」ではあっても、それ以外の魅力にも溢れた時計であると、ご理解いただけるはずです。

最後に… 買って良かったと思える「満足の正体」

(出典:https://www.midowatches.com/

私にとっては(恐らく)「初ミドー」ですから、それだけでも「良かった!!」なのですが、「マルチフォート TV ビッグデイト」の実物を手に入れたことで「ミドー」というブランドの底力… 「安定感」を確認することができたと思います。

先に眼鏡っ子の「図書委員」に例えさせてもらった「ミドー」さんですが、我ながらあれは言い得て妙でした。時計の実物を見れば一目瞭然。「ミドー」さん。いや、「ミドー先輩!!」あなたはきっと良い人です(笑)

残念ながら贅を尽くして物作りができる価格帯ではありません。話題のマイクロブランドとの競争も、激化の一途を辿るレンジです。

それでも可能な限り手を抜かず、とても好感の持てる真面目な時計を作っていると感心しました。ラグジュアリーな見た目ではありますが、奥底にたゆたう「良い人感」は隠せません(笑)

とても奢ったムーブメントが搭載されていますし、仕上げも及第点以上です。コスト パフォーマンスの高さで言えば、マイクロブランドのそれに勝るとも劣らない時計です。

現時点では公式の在庫も切れる人気っぷりの「マルチフォート TV ビッグデイト」ですが、この人気がいつまで続くかと言われたら… 解りません(汗) カラーバリエーションを増やして話題を喚起する手法を使えば、数年は安定して売れ続けるかもしれませんが、それにしたところでいずれは立ち消えるはずです。

ですがこれまでの「TV シェイプ」の歴史を振り返って、例えば5年ごとにリニューアルすればどうでしょうか?? その度に過去作に脚光があたりますから、今この「マルチフォート TV ビッグデイト」を手に入れることで、その都度、話題の中心で「わくわく」或いは「そわそわ」を味わうことができるでしょう。楽しいですよ~きっと (*´∀`*)

「アクアノート」のオマージュであるかについては、正直、どちらとも言えません。ですが、過去作の展開をみれば現行品が生まれた説得力も十分にあります。歴史の一本線上に現れた「現代版」と捉えて問題はないでしょう。

ただ、何というか… 少し寄せて様子を見る「色気」があったことも事実のように思います。そして「寄り過ぎた」から「少し外した」みたいな感じかなぁ~と。それ自体はデザインの現場ではよくあることですし、これを以て「パクリ」と断じるのは、髪型が被っただけで「オレの真似をした!!」と難癖つけるのと変わりません。「マルチフォート TV ビッグデイト」のデザインについては、「よくぞ外した!!」とその分別を称えるべきでしょう。

これは愛すべき時計ですよ!!

以上のようにフォーカスすべき「ネタ」の多い「マルチフォート TV ビッグデイト」。だからこそ私は、事情に通じた「大人」にこそ、使ってもらいたい時計だと思っています。全てを咀嚼してゴクンと飲み込んでみれば、意外なほどに「多くの満足」をもたらす時計だということに、気付いてもらえるはずです。

人気の「ティソ」とお洒落な「ハミルトン」の間隙を縫って、たまには「ミドー」が脚光を浴びたって良いはずです。「マルチフォート TV ビッグデイト」の登場がスウォッチ グループ内の序列にどんな影響を及ぼすか… 楽しみにしましょう!! (*´∀`*)

※本体購入と同時に注文した「ステンレス ブレスレット」が届いたなら、即座に追加の「続編」を書きたいと思います。恐らく輪をかけてラグジュアリーな時計に変身することでしょう。楽しみ二段変速!!(笑)

[ミドー] メンズ ビジネスウォッチ 80時間駆動 MULTIFORT(マルチフォート)TV BIG DATE M0495261108100 自動巻 腕時計 【正規輸入品】

MULTIFORT TV BIG DATE 仕様

Ref.:M049.526.17.041.00 保証:2年保証 防水:10気圧防水(ねじ込み式リューズ) 重さ:100グラム(ラバー ストラップ) 幅:40ミリ 厚さ:11.5ミリ ラグ幅:22ミリ ケース素材:ステンレススティール 風防:両面無反射処理済サファイアクリスタル キャリバー:ミドーキャリバー 80(ETA C07.651 ベース) ジュエル:25石 機能:ビッグデイト パワーリザーブ:最大80時間 ストラップ品番:M603018728 ストラップ素材:ラバー ストラップカラー:ブルー バックル:ピンバックル

※面白い時計なので興がノリまして… 1万3千字も書いてしまいました(汗)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (4件)

  • デイトの動き…交差する感じが最高ですね…
    億劫な日付合わせが楽しくなりそうですね!

  • Y太さま。
    コメントありがとうございます♫
    楽しくて無駄にリューズをクリクリしてデイトを切り替えてしまいます。壊れちゃうから止めないと(汗)

  • 以前MIDOのバロンチェッリビッグデイト持ってて、気に入って使っていたんですが手放しておりましたところ、砂布巾さまの紹介記事でこのTV見つけてしまいました。
    うぅぅ。欲しいっ!!
    何とかして手に入れなければっ!!!

  • ちゃんなさま。
    MIDOを経験した方ならば、余計に刺さる「TV ビッグデイト」かもしれませんね(笑)
    格好良いのに、どこか可愛い。
    MIDOブランドの人当たりの良さが、程よく発揮された名機だと思います。
    ささ、お仲間に(笑)

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