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「タンクマスト ソーラービート」は小さくてもメインを張れるメンズウォッチだった(WSTA0059)

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常識、或いは定説とされてきた事柄が、何かのきっかけで劇的に変化することを「パラダイム・シフト」と言いますよね。ちなみに高角度ダブルアームDDT「デスライダー」の別名ではありません(笑)※ジョン・モクスリー参照のこと。

腕時計のメンズサイズとは??

唐突ですが…メンズの腕時計がレディースの腕時計のサイズを下回る…なんてことは基本的にはあり得ません。だって野郎のほうが腕が太いワケですからね。当然、その身に着ける腕時計だって女性用よりも大きく設計されています。

例えばロレックスさんの「オイスター パーペチュアル」では、男性用の標準はケース幅「34ミリ」或いは「36ミリ」です。対して女性用は「28ミリ」とかなり小さめ。その間に挟まれてボーイズの「31ミリ」が存在します。

以前、大阪心斎橋の某腕時計ショップで、スタッフさんが身に着けていた「31ミリ」を借りたことがあります。数分でしたが店内をウロウロさせていただいた際の私の感想としては「やっぱりちょっと小さいかなぁ~」でした。それこそ「ボーイズ」なんだから、男が身に着けても構わない限度は「中学生」までじゃなかろうか…そんな風に思ったのです(口に出しては言ってません)

小さい腕時計に傾倒するメンズたち

実際、ここ数年ですよ??私も含めメンズたちがこぞって「小さな時計が気になる」ようになったのは(;´∀`)

最近は42ミリ幅辺りでも「大きい大きい」と言われますし、先日伺った某所でも「小さいサイズから売れていく」なんて話を聞いたばかりです。明らかに今は、メンズも「小ぶりな時計」を求めているんですねぇ。男らしさより可愛さの時代なのかな??

まぁかく言う私も、東京生活でビジネス風味の服装でいることが大半になって、40ミリ以下の腕時計の「高い汎用性」ってヤツに気付かされました。シャツ&ジャケットだと、自ずと使いやすいサイズが決まっちゃいますしね。

「タンクマスト」の小ささに困惑

それでも、約半年待った末に先日手に入れたカルティエさんの「タンクマスト ソーラービートのLMサイズ(WSTA0059)」は、私が手にした時計の中では別格の小ささ(33.7ミリ x 25.5 ミリ)でした。ブティックのスタッフさんから商品確認で初めて手渡された際、ほんの少しですが…私は困ってしまったくらいです(;´∀`)

CARTIER

それは具体的なサイズを云々する以前に、手のひらの上で起きた一種の「反射」でした。手首に装着すると「いつものリストバランス」から大きく逸脱したビジュアルに、困惑の度合いはさらに高まる始末。30万円を超える「そこそこ高価」な腕時計を、こんな揺らぐ気持ちのまま購入して良いものか…(;´Д`)

結局その場では自分を納得させる材料を見つけられないまま、半年近く待たされた末の「ありがたさ」を唯一の支えにしてカードを切った私。恐らくは予約してすぐの入手なら、もっと無邪気でダイレクトな喜びに浸れたのでしょう。購入動機自体は自分自身への「誕生日プレゼント」でしたしね。

必需品とは言えない「腕時計」のプロパティ故か、予約した後の時間経過の中で「やっぱり…必要なかったかもしれん」と感じることがままあります。ほとんどは「そのまま購入」の運びになりますが、その際の「モヤッとした何か」が後々の手放す理由になったり、使用頻度の少なさに繋がったり…まぁ、腕時計とオーナーの関係として理想的とは言えない状態になってしまうのです。私が予約購入を苦手とする理由です。

「タンクマスト ソーラービート」をひと月使って

さて「タンクマスト ソーラービート」入手から約ひと月が経ちました。購入時に感じた「小ささ」に起因するモヤモヤはどうなったと思いますか??

「JB」だって似合います
(WSTA0059)

植物由来のレザーストラップを早々に外しNATOベルトに換装して、週に1度か2度、主にビジネスでの使用です。

まず、結論を申します。

「ソーラービート」の登場は、これまで「タンク」に興味のなかった、或いは購入までは至らなかった人たちの耳目を集めるに十分なイノベーションだったと思います。

私にしても「カルティエからソーラーウォッチ出現」という「カルチャーのミスマッチ」が、元々燻っていた「サブカル魂」に火を着けた格好で購入まで至ってワケですし、恐らく「ソーラービート」の登場がなかったら「タンクを着けたい」と思うことも無かったでしょう。

同様に「小さな時計」にそれほど注目して来なかった方の中には、男性用としては極端に小さな「タンクマスト」に対して、サイズ的に「受け入れられるか」心配する方もいるでしょう。その辺が気になって購入の踏ん切りが付かない…なんて方もいらっしゃるでしょう。

そんな方々に向けて私は言いたいのです。「そんな心配はご無用!!」と。何故なら「タンクマスト ソーラービート」「とてもとても大きな腕時計」だからです(*´∀`)

小さな巨人「タンクマスト ソーラービート」

例えあなたの身長が2メートルあったとしても…断言します。「タンクマスト」は買って間違いのない時計です。

試着して購入して、そのまま着けて帰宅したとします。何となく着けたまま晩ごはんを食べたあと、食後に軽く飲酒する時間帯になったら、もう一度冷静になって左腕(右かもしれませんが)の「タンクマスト」をご覧ください。当初の「小さいかな??」という戸惑いは消えているはずです。正しく私がそうでした。

着けている時間が長くなればなるほど、実寸(幅25.5ミリ)と目の前の存在感の関係性が曖昧になって「大きいのか小さいのか」解らなくなるのです。これが「タンクマスト」が私に突き付けた「基準に対する問いかけ」であることに気付くまで、時間はかかりませんでした。

ブラックNATOはもはや定番である
(WSTA0059)

そして腕時計馬鹿の私の中に、男性用腕時計のサイズに関する考え方の…「パラダイム・シフト」が起きたのです。それは小さな腕時計が起こした「大きな革命」でした( ー`дー´)

男性が着けるべき必然

細部を凝視すると錯覚の度合いはさらに深まります。他の「タンクシリーズ」と比べても何ら劣らない受光部を兼ねたダイアル。極めて美しい「青針」が奏でる嫋やかな2針構成の運針…

貴金属レベルに磨かれ仕上げられた「ケース」は寸分の狂いもない見事な造形を誇り、手首の上に非日常的な緊張感をもたらします。そして「風防」のこれまた見事な仕上がり。ケースと風防の隙間は極限まで狭められており、そのお陰で「風防」はただのクリスタルではなく、指輪の台座に収まる「宝石のような美しさ」なのです。使ってみて一番ビビったのは「風防」だったかもしれません。

隙間なくはめられた風防の迫力
(WSTA0059)

さすがは「宝石商の王」が作った腕時計。随所に「美意識の完成形」を見る思いでした。

1917年に発表された「タンク」のこれまでの歴史が「男性用腕時計」の歴史を作ってきた事実を思えば、現代の腕時計のサイズを云々するまでもなく、男性である私が「タンクマスト」の着用に躊躇する必要などなかったのです(*´∀`)

男性用腕時計足らしめたのは「ストラップ」

幅25.5ミリのケースに装着されるのは「19ミリ」のストラップ。このケースに対して異様に太い「ストラップ」が付けられるからこそ「タンクマスト ソーラービート(LM)」は男性用として成り立っているのだと思います。実際、これほどまでに「ストラップ」が目立つ腕時計も多くはないと思いますが、それこそ戦車を模したケースから伸びる重厚な「無限軌道」のように、無骨な男たちの腕に轍を刻む様は「男らしさの典型」と言っても言い過ぎではないでしょう。

ストラップの存在感を愉しもう!!
(WSTA0059)

私の左手首の周囲径は「16.5センチ」と大した太さではありませんが、もっとマッシブな手首をお持ちの方にも、間違いなく「タンクマストのLM」なら問題なくフィットするはずです。この「男らしさ要素」に関しては「ストラップ」の果たす役割は大きく、もしもラグ幅がもっと狭く使えるストラップがもっと細かったら…今の時代で男性用として使うのはキツかったかもしれません。そのくらい絶妙で繊細なバランスで成り立っているのが、男性用時計としての「タンクマスト」なのです。

季節もあって、今のところ私は「NATOベルト」を取っ替え引っ替えして楽しんでいますが、汗をかかない季節になったら上質なレザーストラップを合わせるなどして「セクシー」を極めたいと思います(笑)

メインを張れる「タンクマスト ソーラービート」

当初、私が「ソーラービート」に求めていたのは、私のコレクションと日々の時計使いにおける「マンネリ」に対しての「処方薬」としての役割でした。時々引っ張り出して使うことで、逆説の接続詞のように私の感性をかき混ぜて欲しかったのです。要するに「ゲームチェンジャー」としてお迎えしたワケですね。

ですが、今思えばそれは「タンクマスト」とカルティエさんを侮り過ぎていました。2回も使えば十分に解ったのです。これは「メイン級の時計」であるということが(; ・`д・´)

小さな小さな「タンクマスト ソーラービート」ですが、使い始めるとある「現象」に気が付きました。見られているのです。異様に。

仕事で誰かさんと会話をしていて「この人、さっきから視線が合わないな~」と思ったら、私の左腕の「タンクマスト」を見ていた…なんてことが、すでに数回ありました。こんなこと初めてです。他の時計では感じたことがありません。

恐らくは、小さな時計を着けている男性(私)に対する違和感と物珍しさから発して「どこの時計だ??」となり「カルティエ!?」となるのでしょう(ご年配の方なら「カルチェ」と呼ぶかもしれません)もしかしたら、視線を外せなくなるほどの「色気」が、私の左腕から放射されていたのかもしれませんね(*´∀`)

出てますか??色気(笑)
(WSTA0059)

そのような事象が頻発していけば、近いうちに私のイメージは「カルティエのオッサン」にジョブチェンジしている可能性もあります(笑)まぁこういう「印象の紐づけ」って他所様が決めることですからね。

こうなると私にとって「タンクマスト ソーラービート」という時計は、ゲームチェンジャーどころか完全に「主役を張る存在」に昇格です。ウチの時計たちが言葉を喋れたら「どえらい新人が入ってきよったでぇ~!!」なんて、ザワついてるかもしれませんねぇ(;´∀`)

巷にあふれる「タンクもどき」について

以前、ロータリーさんの「CAMBRIDGE(ケンブリッジ)」を持っていました(笑)ご存じの方なら「アレも買ったんかい!!」と笑って下さるでしょう。ちなみに知人に差し上げたので手元にはありません。

「タンクもどき」というカテゴリーがあるならば「CAMBRIDGE」はそこそこ真面目に作られた時計でした。他には「Canterbury(GS05333/21)」というクロノグラフも所持しています。どこかで見たデザインですが、何か許せるロータリーさん(;´∀`)

こちらが「Canterbury」
このデザインどこぞで(笑)

まぁそれは良いとして。

「タンクっぽい時計」が欲しくて「CAMBRIDGE」を購入した私でしたが、残念ながら…ダメでしたね。今にして思えば「タンク」がまとう「男性的な空気感」は一切感じられませんでしたし、私の思惑を叶えてくれる時計ではありませんでした。

実際、世の中には「タンクもどき」が沢山ございますが、このように「もどき」を使ってから「モノホン」を手に入れた「数奇な体験」から申せば「タンクはカルティエだからタンクなのであり、そこにはカルティエにしか作れない成果がある」と言えると思います。「タンクマスト ソーラービート」も他のタンクシリーズ同様、それくらいスペシャルな腕時計だということは、声を大にして言いたいところです。

先ほどカルティエさんの公式を覗いたら「ソーラービート」「LMサイズ」がラインアップから消えていました。生産が追いついていないとか、思わしくないんでしょうかねぇ…カルティエさんのメンズウォッチとしては安価な部類ですし、安定した生産体制で多くの人に、この「小さな巨人」を味わってもらいたいのですがねぇ…(;´Д`)

最後に

「ソーラービート」に限らず「タンクマスト」を検討されている方にお伝えしたいワードを書いておきます。

『LMのタンクマストはメンズ用』

『カルティエの美学が詰まっている』

『間違いなくセクシー度が上がる』

以上です(笑)

ご参考になればと思います。

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (4件)

  • はじめまして。黒海月と申します。いつも砂布巾さんの記事を楽しみに読ませてもらっております。
    カルティエのタンクマストLMソーラービートは、昨年よりドレスウォッチを探している中何度か試着し、砂布巾さんの記事を見てますます欲しくなりましたが、なんと昨年から大幅に値上がり、今では40万円越えに。
    なんだか買い時を逃した気がしております。
    このところの値上げラッシュは、時計好きには受難の時代ですね。
    しかし、検討すればする程、タンクマストには惹かれますね。
    今後も、砂布巾さんの記事を楽しみに、そして参考にさせていただきますので、よろしくお願いします。

  • kurokurageさま。
    ご愛読に感謝申し上げます。
    LMのソーラービートがすでに40万円を超えてしまったと聞いて驚いております。
    さすがにちょっと高いかなぁ~って感じですね(汗)
    とはいえ、とても興味深いタイムピースなのは間違いありません。
    思い切って購入してみると、楽しさがギュッと詰まった名品でした。
    また機会を見てソーラービートネタを書きたいと思いますので、その際はよろしくお願いします♬

  • はじめまして。
    最近、貴殿のブログをお見かけして、最初の投稿から読ませて頂きました。
    時計好きのブログには、機械式にフォーカスしたものが多いなか、クォーツや中華時計を含めてご意見述べられていらっしゃり、非常に参考になります。
    以前、投稿されていましたが、改めてケース素材に関するご意見聞かせて頂けると嬉しいです。

  • トリッカーズさま。
    うるうる…最初の投稿から読んでいただけるとは…(´;ω;`)
    そうですねぇ…機械式主義の方が圧倒的ですよね。確かに腕時計のロマンの大半はそこにあるとは思います。
    ですがウチのブログは何というか…格好良ければ良い!!みたいな感じなんです(笑)ゆえに書いても書いても素人臭さが抜けないという(汗)
    ケース素材の話、また書かせていただきますね!!楽しみにお待ち下さい(*´∀`*)

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