腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

【EDOX】 KING STAR(1970年代アンティーク)無事に入手

先刻報告済みの「EDOX」のアンティーク、「KING STAR」を買ってしまいました。完動のお品と言うことです。とりあえず、その麗しいご尊顔を御覧あれ(Ref.200246)

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写真を撮っていたら、私の頭の中に金井克子の「他人の二人」がループし始めた・・・ホント、そんな時代感。

 

ケース形状はトノークッションの中間のような感じ。丁寧に磨き分けられた光沢の変化が、37.5ミリというサイズ感以上の存在感を醸し出している。この手の「ラグ無し」は下手すると間延びした野暮ったい印象になってしまうものだが、必要最小限に引き絞られた緊張感のあるベゼル、豊かな色変化で未来感を感じさせるウォームグレーのダイアルが、あの「70年代」にしか存在しないであろうスペーシーな雰囲気を絶妙なバランスで作り出していると感じる。

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インデックス「70年代」に流行った跳び箱のような「ボックス型インデックス」。規則正しく放射状に配置されたそれぞれの定座がまるでエヴァ「ゼーレ会議」のような圧迫感を以て中央のハンドに厳しい視線を送り続ける。3時位置のカレンダーの覗き窓も過剰に立体的で凝った作りで、ダイアル全体から受ける「緊張」はアンティークとは思えない生々しさだ。

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カレンダーの窓枠がかなりの迫力。しかしインデックスがさらに大きく重量感満点なのであまり目立たない。スカスカなはずの3針時計のダイアルが混雑してるっていうのも、この時代ならでは。

 

ふっくらとした優しめのケースと、異様な緊張感を醸すダイアルを一つに結びつけているのが「カットガラスの風防」だ。

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この角度ですでに何も見えなくなるのが「カットガラス」つくづく時計の風防に向いてないと感じる。

 

見る角度によって様々な乱反射で怪しく煌めく風防は、正直、時刻が「見づらい」。どちらかというと控えめなハンドはそもそも視認性が犠牲になっているが、さらにカットガラスの乱反射が追い打ちをかける。時刻を気にする場所によっては、何度も手首の角度を変える必要があるだろう。

だが、構わん。それでも。

腕時計のデザインを年代ごとに分類すると、70年代「機能性」より「見た目」の時代だったと思う。腕時計だけではない。様々なカルチャーが「見た目重視」で進歩を遂げた70年代。他の時代とは何故か異なる流れを持ち、その後の時代に対する連続性に乏しい「20世紀のあだ花」。約半世紀を経て、その奇妙な時代を真正面から再評価できる世の中になってきた。ある種の「余裕」があった「やんちゃで愛すべき70年代」として。

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入手できた個体はケースのエッジもまだまだ立っており、針やインデックスの気になる腐食もなかった。何と言っても「カットガラス」がほぼ完全に無事だったことが素晴らしい。

 

今回入手した「EDOX」が呼び水になって私の「腕時計70年代」趣味が進むかどうかは定かではない。ただ、抑圧から開放された「個性の時代」のエッセンスが色濃く結晶したアイコニックとして、現存するアンティーク時計の存在に注目しなければと思う。

勉強しよう。ハマると怖いけど。

ということで、さらにお写真をば!

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ベルトはモレラートの新品に換装されていた。尾錠が純正でないのが残念。

 

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裏蓋の刻印もほぼ無事。きれいに使われていたんだなぁ。ちなみにムーブメントは「ETA.2782」手巻きありの自動巻きだ。21石。

 

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リューズの砂時計マークも無事でした。EDOXは現行品買うとまあまあ高いですが、アンティークなら気軽に買えちゃったりします。

 

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ハンドもまだまだきれいです。

 

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カレンダーもなかなか小気味よく作動しています。

 

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スイスのメーカーなのに「スナックで角瓶」が似合いそうなのは何故でしょうね?ラドーを筆頭に、各メーカーが競い合って同じようなコズミックデザインを手がけていたっていうのも、今ではあまり聞かない現象です。その辺の時代背景も勉強しなくちゃ!