腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

約ひと月『Save the Ocean』な「SBDC165」を使い倒した結果…

 セイコーさんが、去る6月24日に発売した3本の2022年新作「Save the Oceanモデル」のうち、私自身は迷いに迷った末にある意味「最も保守的なモデル」である「SBDC165」を入手しました。それから約ひと月、ようやく私なりの評価を下せるほどには使い込むことができましたので、その辺りを「サクッと」まとめちゃおうと思います(*´∀`)

 

 ちなみに、コチラが購入した日の様子です。

 

 読み返すと、何やらHODINKEEさんに責任転嫁する様子も伺える内容ですなぁ。セイコー欲しい欲しい病の元凶だと(汗)

(Save the Ocean)出典:https://www.seikowatches.com/jp

 「3本」…そう、発表された3本のバランスが絶妙で、そこから一本選び出すというのは誠に苦渋の決断でした。それぞれがそれぞれに別種の魅力を湛える時計でしたから、私も一瞬は「全部いったろかい!!」と考えたくらいです。もしかしたら「Save the Oceanモデルの正しい買い方」「3本とも揃いで買う」だったのかもしれません。

 

 まぁ、3本はさすがに欲張りすぎだとしても…実際、丸っこいフォルムが愛らしい「SBDC169」の実機を見た際はかなり心が揺れました。少々大きめのサイズ感とタートルなケースデザインに対して、デイリーユースにおける妙なマイナスイメージを持っていた私ですが、実物は新雪のように純白のダイアルと、絶妙な色味の青いベゼルが大層美しく、むしろ高貴にすら見えるほどでした。ですので「SBDC165」「SBDC169」の間で約10分間は板挟みに。ショップの皆さん、もたもたしててゴメンナサイ(;´Д`)

 

 結局は何やら保守的な気持ちになって「SBDC165」を購入しましたが、未だに「SBDC169」を買ったとしてもきっと幸せだったに違いない…なんて考えてしまう往生際の悪い私。

 

 …まぁ、それは良いとして(;´∀`)

 とりあえず…私が悩んだ末に「SBDC165」を選んだのは何故か、そこのところをご説明しましょうかねぇ。

 理由は至極簡単でして。それは「一番フツーに見えるから」。この場合の「フツー」ですが、全然普通じゃない普通といいますか…ややこしいですけど、つまりは日常生活における「汎用性の高さ」を最も内包しているのが「SBDC165」だと考えたからです。

 

 ダイバーズ…スポーツウォッチとして「Save the Ocean」の3モデルはどれも、お世辞抜きで素晴らしい出来だと思いました。恐らくはどれを手に入れても確実な満足を得られるでしょう。個人的には保証しても良いくらいです。ただ厳密に言えば3本それぞれが、ルーツであるモデルの性格を色濃く反映しており、故にその方向性にも少なからず差異が生じています。

 

 

 

(SBDC169)
出典:https://www.seikowatches.com/jp

 まず「SBDC169」ですが、横幅42.7ミリのケースサイズはボッテリと丸みを帯びたフォルムと相まって、視覚的なインパクトは相当なものでした。ほぼ「トノー」と言っても良い存在感がありますので、大きめの時計に慣れた方、或いは大柄なガッシリ体型の男性に向いているのは明らかです。

1970ダイバーズ(オリジナル)
出典:https://www.seikowatches.com/jp

 「SBDC169」の元ネタ「植村ダイバー(ウィラード・ダイバー)」の愛称で呼ばれる「1970 メカニカルダイバーズ」は、海外で「タートル」と呼称されるケースデザインのご先祖さまですが、私の知る限り、「タートル系」は欧米のガテン系男子から特別な支持があるように思います。インスタグラムなどで、やたらとぶっとい前腕の腕毛に埋もれる「タートル」の写真を何度も目撃すれば、そんな風にしか思えません。

 密林のような腕毛に埋没しそうで埋没しない存在感…恐らくは「SBDC169」にも同様に「男らしさ」を象徴するようなところがある…そんな気がします。

 

(SBDC167)
出典:https://www.seikowatches.com/jp

 「SBDC167」「SBDC165」同様にシティーユースに適したモデルだと思います。古式ゆかしいビジネスウォッチのフォルムに太いベゼルを追加した印象の「SBDC165」とは違い、「SBDC167」はそのケースデザイン自体がスポーツライクでアクティブな印象を受けます。

1968ダイバーズ(オリジナル)
出典:https://www.seikowatches.com/jp

 ただ、私が早々に「SBDC167」を候補から外した理由があるとすれば…些細なことですが「12時のインデックス」が何となく苦手かなぁ~と感じた…それくらいです(こうして見るとオリジナルのインデックス、めっちゃ良いですなぁ)

 そういう個人的な好みの部分を除けば「SBDC167」は、変化の少ない日常生活に行動的な変化を加えるに相応しい一本だと思います。実際とても美しく、力強い一本ですからね(*´∀`)

 

(SBDC165)
出典:https://www.seikowatches.com/jp

 で、私が購入した「SBDC165」です。

 買ったわけですから、私が惹かれる要素が最も多かったのはもちろんこの時計です。

1965ダイバーズ(オリジナル)

出典:https://www.seikowatches.com/jp

 

 「SBDC165」は上のオリジナルをモデルに作られた「現代解釈版」の一つです。20年でしたっけ??に完全復刻ともいえるモデルも作られましたが、それとは異なり「現代の時計」としての役目とフォルムを与えられたのが「SBDC165」なのだと、私なりに解釈しています。

 

 本年作の「キングセイコー」を手にした際も改めてそう感じましたが、私は過去作に忠実な復刻ってヤツに、それほど意味を見出せないのです。それなら、アンティークの現物を手に入れて、時間の経過すらも追体験したほうが楽しいと考えています。

 

 

 

 「SBDC165」のような「現代解釈版」は過去の良品の素晴らしさを現代のモノサシで図り直し、再評価することで生まれる一種の奇跡のようなものです。むしろ「何処が変わったのか??」を理解することが醍醐味だと考えます。

 

 そう考えると「SBDC165」はクラシカルな空気感のまま、今の時代にフィットするように設計されていると感じますし、その辺りの「変化のさじ加減」については、セイコーファンの溜飲を下げるに十分な出来だと思いました。こういう味付けはセイコーさんのお家芸ですねぇ(*´∀`)

 

 要するに「3本」「Save the Ocean」の中で、私が最も「過去と現在の両立」を感じたのが「SBDC165」であり、間違いなく「末長く付き合える時計」「SBDC165」であるとの判断を下しました。

 

 ただ、ある程度使ってみないと「本当の実力」は測れません。仕事やプライベートで普段どおりに振る舞う日々に「SBDC165」という時計を落とし込んでみないことには、偉そうにあーだこーだと言えません( ー`дー´)

 

 で、ほぼひと月、使ってみました。

 もちろん、他の時計を着けるチャンスを削ってまで着けたワケではありません。その辺も普段通りと言いますか…あまり意識せずに「前から持ってた」くらいの気持ちで使用感を確認しました。気になっている方々のご参考になればと思います。

 

  そもそも、ダイバーズウォッチを街中で着けるからには、そのオーバースペックとともに、マシマシな存在感を楽しみたいですよね??

 

 とはいえ、社会生活を営む上で明らかに突飛なリストバランスは、周囲の人たちの顰蹙を買う可能性もございます。腕時計に関しては、総じてチャレンジャーな私にしたところで、スーツに「プロプロフ」のような時計を合わせようとは思いません。やってみたら案外イケる可能性はありますが…

  その点、原初のダイバーズウォッチに起源を持つ「SBDC165」なら、洗練された高い完成度を日常生活の中で存分に楽しむことができます。

 

 

 

 また、ケース幅「40.5ミリ」というサイズも、デイリーユースにおける一つの「必然」でしょう。

むしろ仕事で率先して使いたいダイバーズ
(SBDC165)

 視覚的な重量感のあるベゼルと、デザイン的に高密度なダイアル周りを徹底的に味わえるとともに、ギリギリでビジネスに使える品の良さを備えるのが、この辺りのサイズなのです。

 「目立つ要素」「一歩引いた品の良さ」…ロレックスの「サブマリーナ」にある種の「万能性」を感じるのも、そういった「見えない性能」を備えた絶妙なサイズ感に寄るところが大きいと思います。

 

 使って「心地よさ」を感じる時計の多くは過剰な主張をしてこないものですが、手元の様子をマジマジと見るに「SBDC165」はその代表格かもしれないと感じています。

 

 しれっと「サブマリーナ」が出てきましたが、意識せずにダイバーズの「最高峰」として上げてしまえるところが、ロレックスのプロフェッショナルモデルに共通する凄さだと思います。「ダイバーズ」イコール「サブマリーナ」という脳内イメージは、ユーザーではない私の頭の中にすら完成しているのです。

 

 しかしながら「SBDC165」も悪くありません。スポーツとラグジュアリーを兼ね備えたダイバーズとして比較するなら、他ブランドのきら星の如きダイバーズと並べたとしても、決して見劣りするプロダクトではないでしょう。

 そもそも、海外の多くのセイコーファンが声高に主張するように、セイコーさんの作るスポーツウォッチはどれも素晴らしい出来だと思います。

 

 そこで考えてみて下さい。ロレックス一本のお値段で、一体何本の「プロスペックス」が買えますかって話です(;´Д`)

 「サブマリーナ」は確かに「最高の一本」かもしれませんが、例えば同じお金を使って手に入れた「8種のプロスペックス」を使い回す愉悦に対して「サブマリーナ一本分」のそれが確実に勝るかと言えば…きっと、そんなことはないワケで(「X」マークが嫌いだからとか、そういうのはナシで考えて下さいね!!)

 

 

 

 ロレックスさんとセイコーさんに共通するのは、ブランドとしての絶対的な「安心印」だと思いますが、実際、どちらの時計を購入しても「がっかり」或いは「期待外れ」なんてことはないでしょう。少なくとも私が使ってそう感じたことは一度もありませんでした。

 セイコーさんの作る時計は、そういった「揺るがぬ信頼」ってヤツを低価格品から高級品に至るまで、ガッチリ担保できているのです(*´∀`)

 高級品が優れているのは当たり前です。セイコーさんの真の凄さは、1万円の安い時計ですら「セイコーの看板に泥を塗らない」モノ作りができていることに尽きます。要するに、性能とコストを世界最高のシビアさで突き詰めて時計作りに勤しんでいるのが、セイコーという日本の企業なのだと思います。

 

 海外のファンがセイコーさんを熱烈に支持する根拠の多くは、そういった弛まぬ企業努力の中に「応援したくなる何か」を感じるからではないでしょうか。

 

 「SBDC165」にしても、その性能と美麗は完全に価格を超えたレベルにあります。きっと「SBDC165」の実物を手にした瞬間、多くのユーザーが同心円状のヘアラインで彩られたベゼルの美しさと力強さに射抜かれることでしょう。

写真では伝えきれない色気!!
(SBDC165)

 何よりヤバいのは、長い年月をかけて形作られた「南極の氷河」をイメージしたとされるブルーのダイアル。その繊細にして重厚な工芸的ニュアンスの素晴らしさは、所有する喜びを存分に感じさせてくれるはずです。実物はも~っとキレイですから!!

 

 シンプルながら重量感のあるハンドも「SBDC165」を語る上で外せません。凝った作りのダイアルに対して、決して負けないだけの存在感があります。針が埋没して時刻が見づらいなんてトホホな事態は起きません。その辺はさすがにセイコーさん。時計の本質的な性能に関して、重要なプライオリティーを誤るようなことはありません。

 

 

 

流行なんて超越したケースデザインです
(SBDC165)

 ケースに目を向ければ、クラスを超えた仕上げの美しさにこれまた心を奪われます。鏡面とサテンの境目も実に明瞭です。それでいて、触れたときに不快な鋭角を感じることもありません。

 ブレスも重厚かつ繊細な作り。肌への当たりも柔らかく快適です。手首に装着した瞬間に腑に落ちる独特の感覚は、高級腕時計のブレスレットに共通するレゾナンスでしょう。見るからに剛性が高そうな作りも、長く付き合う上で頼りがいがあります。

男心に刺さりまくるギミック感
(SBDC165)

 目立ちませんがバックルも地味に良くできています。本格的なダイバーズウォッチに必須の調整機能「エクステンダー」が何気に使いやすく、さり気ないギミックが好きな方には喜ばれるはずです。見た目は一見、いつものセイコーさんのバックルなんですけどね。

デカいといえばデカいバックル
(SBDC165)

 ただ、ほんの少し苦言を呈せば「エクステンダー」を搭載した分、バックルはかなり巨大です。剛性と安心感の引き換えと言えば言えなくもないですが、大きなバックルはデスクワークでアチコチに擦れる可能性が高まります。実際、私は早くも擦り傷を作ってしまいました。できればバックルの全長はもう少し短めに…ね??セイコーさん(;´∀`)

 

 最後にムーブメント「6R35」についてです。

 「SBDC165」の入手で「6R系」は5本目の私。ちなみにこれまで「6R」の性能に関して、不満を感じたことはありません。振動数が低いとか…巷では色々言われがちなムーブメントなのですが、何かと比較するまでもなく、十分、信頼に足る精度があると思っています。

ホント、巻き心地が良いのよ
(SBDC165)

 確かに振動数が上がれば精度も上がります。ですがそんなことよりも、安定したトルクが出るとか姿勢差に強いとか、私はむしろそっちの方が気になります。何より「6R」が素晴らしいのは、リューズを巻いた際の軽快な「巻き心地」でしょう。問題はないと言われても、ガリガリと不快な音をたてて巻かねばならないムーブメント、私は苦手です。「中で何か起きてるんじゃないのか??」なんて気になって仕方がありませんから(;´Д`)

 

 とまぁ、こんなところでしょうか。

 「Save the Oceanモデル」の購入を検討されている方は、思い切ってご自身の趣味で3本のうちから好きに選んじゃって何ら問題ないと思います。どれを選んだとしても幸せになれるはずですし、そういうモメンタムは腕時計の購入における重要なファクターですからねぇ(*´∀`)

銀座のセイコードリームスクエアで頂戴した
大谷投手のボブルヘッドを背景に
(SBDC165)

 今回、私自身は一番「堅い一本」を選択しましたが、何を買ったとしても数日後には「アレでも良かったかな…」なんて感じで、後ろ髪を引っ張られることでしょう。そこは覚悟して下さね~(;´∀`)