今週のお題「好きな漫画」
はてなブログの「今週のお題」に初めて書きたいと思います。なんせ「好きな漫画」と来たもんなので(,,゚Д゚)
私が「好きな漫画」について是が非でも書きたいのかと言われれば、そんなことはないのです。むしろ「好きな漫画なんてザクッとしたお題出されて、みんな困ってるんちゃうか?」と思っています。
だって、基本的に手にとって読んだ漫画は好きだから読了するわけです。読む気が起きない漫画なんて数ページもあれば判断できますから「嫌いな漫画」というお題は成り立ちません。嫌いと断じるところまで行かないわけです。読了せずにそんな失礼なこと言えませんからね。
なので読んだ漫画は全部「好き」という前提になるかと思います。でもその中で特に読んでもらいたい漫画があるとすれば…私はコレをオススメします。
『黒博物館 ゴーストアンドレディ(藤田和日郎)』です。
すでに殿堂入り級の名作『うしとら』や『からくり』、最近では『双亡亭壊すべし』も読みごたえのあるフジタカさんですが、短編『黒博物館 ゴーストアンドレディ』はフジタカ先生の「伏線を回収しまくってまとめる能力」が最大限に生かされた作品だと思います。ぜひぜひ読んで頂きたいので詳しいストーリーには触れませんが、この作品にはクリミア戦争を背景に活躍する、とある「女性」が登場します(で、解っちゃいますよね)
といっても歴史物の堅苦しいお話ではありません。ちゃんとフジタカ作品らしく狂おしいくらいハチャメチャで、暑苦しくも愛しく清々しいストーリーで完成しています。
フジタカ作品からはいつも「オペラ」の香りがします。それもグランド・オペラの香りが。ストーリーは最初にコレと決まったものがあるのでしょうが、一旦「キャラクター=役者」が動き出してしまえば、役者の魅力が最大限発揮されるように脚本の改変もいとわない…そんな風に思えるのです。そして、その結果として生まれる深みのある登場人物たちの、なんと素晴らしいことか!
幾度も幾度も舞台化されたシェークスピア作品では、小難しいセリフ回しに苦戦する役者が多いそうです。しかし優れた演出家ならば、脚本を変えずに演出の改変で舞台の生気を取り戻すことができるそうです。フジタカさんはその「演出が抜群にうまい」漫画家だと思います。やたらと込み入った筋立ても、この人にかかると必ず膝を打つような「オチ」が付くのです。ですから読者は最初から絶対の信頼と安心感をもって、最後までハラハラドキドキを楽しめるのだと思います。
私はシェークスピア作品では最高にエゲツない悲劇「タイタス・アンドロニカス」が好きなのですが、『黒博物館 ゴーストアンドレディ』には悲劇性も喜劇性も史劇性も全てが濃厚に詰め込まれています。この短編の尺の中にそれは見事なまとめっぷりです。
フジタカさんの手腕がコンパクトにギュッと詰まった『黒博物館 ゴーストアンドレディ』、まだの方はぜひ一度、目を通して頂けたらと思います。
何か得体のしれない、生きるチカラが湧いてくるはずですから(*´∀`)
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