腕時計相場の暴落に思う「むしろチャンスやん!?」


 先日、「中野ブロードウェイ」を3時間ほど彷徨いて参りました。最近、巷で流布している「腕時計暴落」とやらの現状を見るのに、あそこほど相応しい場所はないと些か意地悪な目的で伺ったわけです ( ´ ε ` )

 ※今日こそは端的に「3000字以内」を目指します!!

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閑散とする「中野ブロードウェイ」はチャンスでいっぱい!?

 同じモデルがズラーッと何十本も居並ぶ光景は圧巻でした。そして、お客さんも異様に少なかった(笑) ブロードウェイの3階は「アニメ・漫画・サブカル」「腕時計」という「2種類のオタク」が交差する魔窟として知られていますが、この日は前者の勢力が圧倒。コロナ明けからこれまでに通い詰めた経緯を思い出しても、これだけ閑散とした腕時計販売店の様子は久しぶりでした。まあ、混んでいても空いていても常に楽しいのが「中野ブロードウェイ」という場所ですけどね(笑)

 お陰で久しぶりにゆったりと腕時計を楽しめたわけですが、同型のモデルであっても中古の場合は明らかな「個性」がありますから、選ぶ際には相当に頭を使います。例えばお店側が「一番状態が良い」と最高値を付けた個体であっても、その状態が「購入する方の個性と合致」しなければ「連れて帰ろう」にはならないでしょう。逆に言えば、中古の購入とは「個体と自分の相性を吟味する」ことに他なりません。

 知らない誰かさんの年月が刻み付けた「個性」を受け継ぎ、新たに刻み付ける「個性の苗床」として中古時計をお探しならば、今がここ数年で最大のチャンスです。特に雲上の近年作「ドレスに見えないドレスのアレ」なんてビックリするくらい安くなっています(正規価格より百数十万安い)。しかもタマが潤沢。「暴落」とやらに踊らされて売っちゃったのだとしたら何とも惜しい話ですが、ワタクシ個人的には喜んでいます。届かなかったアレとかアレにも手が届くかもしれない… そんな風に思えるだけでも、今は中古を見るのがめちゃくちゃ楽しい状態です (*´ω`*)

この時期に慌てて売らなくても??

 腕時計が「¥マーク」に見えちゃってる方は別として、邪心なく「腕時計が好き」な方にしてみれば「腕時計の暴落」はむしろ歓迎ごとでしょう。特に「慌てて売っちゃった物件」で溢れる今の中古販売店はワンダーランド。ブランドによっては「低リスクで入れ食い状態」かもしれません。

 確かに、非常識なほどに高騰したモデルの幾つかには「暴落」が起きています。高額買取りを行ったであろう時計に目立つ値下げは行われていませんでしたが、資金の償還期限だってあるはずです。連動性質がある株価などの要素が更なる買取り価格の低下を招くのであれば、いずれは何らかのテコ入れが行われるはずです。

 ただ、ぶっちゃけ「暴落」ってどういう状態のことを言うのでしょうか?? 元々、買取り価格が正規販売価格の20~30%に満たないブランドだってザラにあるんですよ?? 暴落なんて言葉は「ロレックスの中古価格が正規販売価格を下回ってから」でないと、本来は大した説得力もないはずなのです。

 投資だって何だってそうですが、ヤバいときほど「動かず静観」がセオリーです。腕時計を「現物投資目線」でしか見れない方が「損しちゃう!!」と慌てるのは仕方がないかもしれませんが、腕時計を真っ当に楽しみつつも、いずれ買い換えるときのために「資産」としても期待している、みたいなスタンスの方ならば、今は「ホールド」でしょう。慌てて売っても良いことないと思うなぁ… (;´Д`)

「新しい腕時計の価値」と「古い腕時計の価値」

 2018年の初め辺りの記憶まで遡れば、デイトナや一部のレアモデル以外の中古ロレックスは須く「正規販売価格以下」でした。いや、これが普通なんです。所詮は使い古しなんですもん。手垢の付いた時計の方が新品より高いなんて訳が解りません。

 いずれは世界も長い夢から醒めて、中古時計の価格は「中古に相応しい価格」に収まるようになるでしょう。ただ、その道のりが単調な一本道だなんてことは考えられません。例えばコロナ明けからこれまでの期間でも何度か乱高下はありましたし、今回は「下げ幅」が大きい分、反発には少し時間が掛かるかもしれません。とはいえ、下がった分で「儲けよう」と考えるクレバーな方々がいて、それに付いていく集団が存在する限り、再び「オイシイ市場」だという認識が復活するでしょう。それこそ中野ブロードウェイのお店何軒かで同じ話題を交わしましたが、総じて「まあ、待ってれば戻ってきますよ(笑)」くらいにゆる~く考えているようでした。

 私の中にもアンビバレンツはあります。「中古よ!!このまま下がり続けてくれ!!」という気持ちと「腕時計界隈の不穏な空気はイヤだ!!」という相反する気持ちが交錯しているのです。要するに私は「平穏無事な腕時計趣味」を楽しみたいのであって、ジェットコースターに乗っているような心持ちで「心臓バクバク」なんてのはイヤなのです。皆さんもそうでしょ??

 取り敢えず、ロレックスの中古価格に関して言えば「正規販売価格の5~8%上乗せ」くらいで安定して欲しいものです。それでも中古の方が高い現状は変わりませんが、そうなれば「血眼」でロレックスに奔走する方も減って、本当に欲しい方の手に届くようになるはずです。実際、私が久しぶりに腕時計趣味に舞い戻ってきた頃がそんな感じでしたから (;´∀`)

本来、もっと珍重されるべき存在「ヴィンテージ ウォッチ」

 例えば、それがスマホや電化製品ならば、新しければ新しいほど価値があります。ここで恥ずかしい告白をさせていただきますが、実はワタクシ、古い「マッキントッシュ」がいずれは骨董的価値で高額取引されると予想して「SE」「Quadra 700」「PowerBook Duo」を何台かキープしていた時期があったんです(Twentieth Anniversary Macintosh も!!)クアドラは実際に私がデザイン作業で使っていたシロモノでしたが、当時は1台で「ポルシェが買える」と言われていました(業界の先輩に言われるまま導入したんですよ…)

 この辺りのマッキントッシュはとにかくデザインが格好良くて、間違いなく次代に残る作品だと踏んでいたわけですが… 完全に外しました。考えてみれば古いコンピューターに価値なんてないんです。当時のソフトウエアしか走らないわけですから。Macと言えども使えないパソコンは須らくガラクタに過ぎないのです(SEの外装を猫ハウスとして使っていた方もいましたっけ。アレは可愛かった)

 腕時計の場合、この辺りの価値基準が複雑ですから困ります。例えば現役の最新モデルが中古でも高額で取引される理由は「新しいから」に他なりません。そりゃあ性能だって、仕上げだって良いに決まっています。

 ところが腕時計は「古いこと」にも価値が生じます。私が買い集める傾向の強い「10~20年前の時計」のゾーンは、この「新しいことの価値」「古いことの価値」の狭間にある「中途半端な価値のゾーン」です。実際、比較的安価な値付けで取引されていると思います。

 私は腕時計が「文化的に脆弱」である最大の理由を「新しいことの価値と古いことの価値が共存しているから」だと考えています。例えば「希少性」を最たるものとした場合、最も価値が薄いのは「現役のモデル」です。買えちゃうんですもん。その辺で (;´∀`)

 「先進性」こそが価値だと言うならば、ヴィンテージは全て無価値です。ただ、ヴィンテージを「朽ち果てた使い古し」と断じてぞんざいに扱う時計好きを見たことがありません。これは即ち、腕時計という存在になんらかの「歴史的価値」を感じているからでしょう。腕時計を本質的な「文化」として高めていくならば、不変性の高い歴史的価値をこそ、最も丁重に扱わなければならないはずです。

 世界経済と連動して動く傾向の強い腕時計の取引価格。その中でヴィンテージは「特異点」のような存在ではないかと思います。腕時計を一端の芸術品と考え尊重するならば「一点もの」の希少性は絶対です。「逃せば二度と出会えないかもしれない存在」以上に尊いものはないでしょう。

 「新しい方が良い」という考え方は「実用品としての腕時計」というモノサシで測るなら正解です。ただ「常に最新を追い求める」スマホのような腕時計の在り方に、私は一抹の淋しさを禁じ得ません。最新の技術が詰め込まれたプロダクトに対するワクワクは間違いなくありますが、腕時計を「文化」として完全に根付かせるのは「歴史的価値」しかないと思うからです。目玉が飛び出るくらいに高額だったとしても、それが「超レアなヴィンテージ」なら納得できちゃいますからね。

 今後、世界経済の停滞が続くようであれば「現役世代時計の中古価格」は段階的に下がり続けるかもしれません。ただ、それとは異なる「別種のモノサシ」で測られるヴィンテージに関してだけは「どこ吹く風」で安定した価値が続くような気がするのです。

最後に… それでも一旦落ち着こう!!

 「高級腕時計相場の暴落」なんてワードを見付けただけで心臓の辺りが「きゅーっ!!」とする方も少なからずいらっしゃるでしょう。でもね、よ~く考えてみて下さい。腕時計の一体何が暴落するのかって。

 結局、こういうワードで煽られた「危機感」の正体は単なる「お金」なんですよ。しかも「今現在のお金」の話。私みたいに「腕時計に資産性を期待せず、できれば手放したくない」と考えている人間にしてみたら、むしろ今は「買い時じゃないか!!」と思えるわけです。短絡的だとは思いますよ?? でもそれで良いじゃないですか?? 趣味なんてものは賢しくこなしたって面白くも何ともありません。猪木さんだって言ってたでしょ。「馬鹿になれ!!」って。

 手放さないのであれば、逐一買取り価格を検索して自らドツボにハマる必要もありません。価格がどうあれ、貴方の時計の本質は微塵も変化しないのです。

 例えば「売却時の価格」だけを腕時計唯一の価値と捉えて考えたとしても、悲しいのは「今の価格」であって、半年後の予測なんて誰にもできはしないのです。もちろん、さらに値下がりして唖然とする可能性だってありますが、それすら「あちゃー!!」くらいで笑って済ませられないのであれば、そもそも腕時計を投資対象としていること自体が間違いです。安定のゴールドでも買った方が良いと思います。

 実際、ロレックスの買取りを停止している業者も少なくない状態ですが、この機会を利用して安く買取り、将来の「揺り戻しに備える」ところまで見通している業者だってあります。そう!! ピンチはチャンスなのです。

 「安くなっている今こそ憧れの逸品を買う!!」も良し、邪に資産と考える必要のない「マイクロブランド」で純粋な腕時計ライフを楽しむも良し… どちらにせよ、慌てて動いても良いことなんて一つもありません。はじけてしまった「腕時計バブル」を冷静に分析した上で、自分が心底納得できる「売り時」「買い時」を見極めましょう!! (*´∀`*)

※4400字!! 惜しい!!(笑)

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