※本記事は「クロノ トウキョウ」さん公式の『Media Library』に掲載されました。うひゃ~!!
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世界に名高い独立時計師の「浅岡 肇」氏が、気兼ねなく普段使いできる時計を提供すべく2019年に設立したブランド「クロノ トウキョウ」。早いもので今年で5周年を迎えたそうです。おめでとうございます。そして、毎度毎度、ドキドキをありがとうございます (*´∀`*)
一般販売品とは言え、浅岡氏の息吹を味わえる機会は貴重です。「クロノ トウキョウ」で新作がリリースされるたびに巻き起こる争奪戦はすでに語り草(転売屋の横行もですけど…)。生産総数の少なさもあって、これまで発表された全ての作品が発売開始とほぼ同時に「電光石火のソールドアウト」を繰り返してきました。
私がこれまでに購った「クロノ トウキョウ」
ちなみに現在、私の手元には「3本」の「クロノ トウキョウ」があります。そんな私が一番最初に挑んだ「購入抽選」は「34MM」の第一弾でした。抽選開始から「エントリーのボタン」を押すまで2分強は費やしましたか… 自分では最速を極めたつもりでしたが、押下の直後に現れた画面を見て失意のどん底に。後に聞いた話ですと「秒単位」の勝負だったそうです (;´Д`) ノンビリシスギー
2回戦も同じく「34MM」でした。渋めの色味にシフトしたダイヤルでラインナップされた第二弾は、間違いなく前回以上の争奪戦になる予感がしました。ぶっちゃけ最初から敗色濃厚と申しますか… ところが、こんな私にも時の女神さまは微笑んでくれましてねぇ。記念すべきファースト クロノ「34MM ミッドナイト」入手に成功しました (*´∀`*)
今思えば、このときのちょっとしたやり取りが「クロノ トウキョウ」さんとの縁を結んでくれたのかもしれません。その後に憧れの21年のアニバーサリーモデル「朱鷺」を購入する運びにも繋がりましたしね。客として… 何より「腕時計好き」として信頼を得たことが嬉しかったです (*´ω`*)
そして24年版の34MM「CALLIGRA」購入へと続きました。選択したモデルは、後に一番人気だと聞いた「DARK MOP」。実はそれ以前に青山サロンで「CHRONOGRAPH 3 翡翠」のご提案も受けていたのですが、残念ながらタイミング的に「お金がなかった」。後悔を引きずっていた私の目の前に出現した「DARK MOP」は、そんな鬱屈を払拭するに十分な逸品でした。
これが私の「クロノ トウキョウ歴」の全てです。そして2024年5月、もしかしたら私が青山サロンで直に注文できる最後の機会になるかも知れないモデル。ブランド設立5周年のアニバーサリーモデル「2024 ANNIVERSARY REIWA」が発表されました。一応言い訳がましく述べておきますと、当初は華麗にスルーするつもりだったのです。このところ腕時計買い過ぎを指摘されることの多いワタクシですので、今回は大人しく静観するつもりでしたが… (;´∀`)
「2024 ANNIVERSARY REIWA(レイワ)」購入に向けて背中を押したもの
ただ… 青山サロンで拝見した「2024 ANNIVERSARY REIWA」の現物が強烈過ぎました。とにかく「凝りに凝ったダイヤル」がスゴい。青山サロンの見目麗しいスタッフさんが「100個作って数個しか浅岡さんの合格出ないんですよぉ~(汗)」と嘆く歩留まりの悪さ。しかし!! だからこその「研ぎ澄まされた完成度」が目の前にあるのだと思うと… もうダメでした。
ついでに述べると、個人的な事情も背中を押しました。東京本社に留まっていられる残り時間の問題です。実はすでに「異例の延長戦状態」。会社の慣例だととっくに大阪に戻っていなくちゃいけないのです。まぁ、この先のことなんて解りませんし、再延長の可能性だってゼロではありませんが… 今しか買えない「東京土産」として、東京で孤独に暮らした証にしようと考えました。多過ぎですけどね、東京土産 (;´Д`A
私にとって「HMS」さんで購入するマイクロブランドや「ファイヤーキッズ」さんで購入するヴィンテージとともに「クロノ トウキョウ」さんの時計は「遅れてやってきた東京での青春」みたいな位置付けなんです。数年後、これら腕時計を眺めつつ思い出すでしょう。コロナ禍真っ只中の着任で苦労した東京を。そして、思いも掛けなかった腕時計愛好家の皆さん…「同好の士」との楽しい交流を。
「2024 ANNIVERSARY REIWA」の購入は私にとって単なるコレクションの拡充ではありません。思い出的に「買わない方が後悔する」と首筋辺りがピリピリした時点で、それはきっと「必携のアイテム」なのでした (*´∀`*)
悩む暇も与えてくれなかった「2024 レイワ」の魅力
「2024 レイワ」の発送は6月末からということで些か時間があるわけですが… 我儘なワタクシの正直な気持ちを述べれば「今すぐ欲しい!!」で間違いありません。渇きに渇いたこの身体に「2024 レイワ」のモチーフでもある「瑠璃沼の水」を流し込みたい…
ですが同時に、浅岡さんが納得するまでやりきった「2024 レイワ」が欲しいという気持ちもあって、自分でも御しきれないアンビバレンツな感情に翻弄されている状態です。しょうがないですねぇ… このソワソワを鎮めるには、こうやって文章化するしかないでしょう (´・ω・`)
「瑠璃沼」に発想を得た複雑玄妙なグリーンにシビれる
デザインの構文としてはレイワの前作を踏襲。「朱鷺」とも眷属の関係です。モノカラーの印象が潔い「朱鷺」と比べて、バイカラーの「レイワ」は数段複雑でリッチな表情を見せてくれます。とは言え私は「朱鷺」独特の夕焼けを切り取ったかのような「コーラル」… あの切ない感じも大好きですけどね (≧艸≦*)
それでは「2024 レイワ」について、初見で私が受けた「印象」をお伝えします。そうですねぇ。慎重に言葉を選ぶ必要があるかと思いますが… キレイとか美しいとか思う前に「何これ!! めっちゃ欲しい!!」と反射してしまったのですよ。恐らくこれが今回の全て。
要するに「宝石のように豪奢なニュアンスのダイヤルがキレイ!!」や「なまめかしく磨かれたケースの曲線がたまらん!!」と分析する前に、どストレートな「所有欲」に支配されちゃったのです。いやぁ… 30万円ちょっとですから安くないとは言え、まだ私でも出せる金額で良かったですよ。これが100万円超えだったとして、果たして諦めがついたかどうか… (;´Д`A
大地が生み出した奇跡の「ラピスグリーン」
ラピスラズリの沼とも呼ばれる「瑠璃沼」は1888年、磐梯山の噴火により近くの川がせき止められてできた湿地帯「五色沼」の一つです。青から緑、或いは乳白色に遷ろう独特の水色は、水中のカルシウムイオンや硫酸イオンの濃度に起因すると考えられています。ちなみに酸性度が高いため、生物はほとんど生息できないそうです。
浅岡氏はこの「瑠璃沼」の光景に感動し、自らが作る腕時計の文字盤上にその再現を試みることにしたそうです。その試行錯誤の集大成が「2024 レイワ」の「ラピスグリーン」。確かに、腕時計の素材として見たこともない発色の不思議なグリーンでした (*´ω`*)
トルコのパムッカレやアイスランドのブルーアイスケイブなど、世界には自然が生み出した素晴らしい「青や緑」が存在しますが、ラピスラズリを想起させる「瑠璃沼」のグリーンもそれらに匹敵するものです。日本に拘りの強い浅岡氏が「瑠璃沼」に着目したのも頷けます。セクター外周部を彩る「ラピスグリーン」。あぁ… やっぱり一秒でも早くこの手に!!
視覚要素を引き締める「ブラック」
外周部の「ラピスグリーン」がどれだけ美しかろうとも、それが中央部まで支配していたとしたら… 恐らく私の食指はそこまで伸びなかったと思います。鮮烈なグリーンであるからこそ「劇薬」同様、使いどころには慎重を期したはずです。
だからこそ「流石は浅岡氏」なのでしょう。鮮やかなグリーンの中心部に「漆黒」を配置することで、驚くほどダイヤルの各要素が浮かび上がって見えました。
私もデザイナーの端くれとして、ここは「ブラック」以外になかったと思います。コントラストの強いデザインにはごまかしの効かない難しさ(グラフィックとしても加工難易度的にも)がありますが、そこに敢えて斬り込んだことで得た充実感。ラピスグリーンとブラックが互いに牽制し引き立て合う絶妙なパワーバランスで、針やインデックスに特段のキャラクターを与えることに成功しています。もちろん、視認性も抜群です。
白黒ではありませんし、このダイヤルを以て「タキシード」とは呼べません。しかし「隠れタキシードダイヤル好き」の私は思うのです。このダイヤルのトレシックなセンスの良さは紛れもなくタキシードダイヤルのものだと。ぶっちゃけ構わないでしょう。グリーンとブラックのタキシードがあったって (*´∀`*)
クロノ トウキョウは「ケース」も「針」もスゴい!!
その通りなんですよ。これまで私が購入した3本の「クロノ トウキョウ」。そのいずれもで「ケース」「針」の素晴らしい出来映えに驚かされました。何だかもう、価格的に割に合わないレベルの仕事なのです。ケースで言えば繊細な磨き、角の立たせ方、ふくよかな曲線。針で言えば側面の磨き、先端の曲げ、上品な青焼き…
恐らくは国内最高レベルのサプライヤーにハッパをかけて作ってもらっているのだと思いますが、そうですねぇ… 例えば「34MM」の仕上げに関して私見を述べるなら、100万円は言い過ぎでも7、80万円の時計を凌駕するレベルの仕事だと思います。安っぽさは皆無!!
妥協を許さぬ浅岡氏の注文に応え続けるサプライヤーさんは大変だと思いますが、こうして手元で拝見する「クロノ トウキョウ」にそれは結実しています。関係者が苦労した分、購入した方の魂には確実に響いていると思います (*´ω`*)
浅岡氏と「MIYOTA」
「2024 レイワ」の心臓部は、28800振動の薄型ムーブメント「ミヨタ 90S5」。これまでのモデルにも使用され、かねてより浅岡氏が信頼を寄せるミヨタではありますが、正直、探せば信頼性の高いムーブメントは他にもあります。例えば厚みが3.6ミリのソプロード Cal.A10とかじゃアカンの?? と思ったりもしますが… どうなんでしょ?? トータルな性能や安定した品質をそれぞれの価格で天秤にかけると、ミヨタに軍配が上がるのかもしれません。日本のサプライヤーで固めたい気持ちもあったかもしれません(ソプロードと比べたら半額ですしね)
ミヨタにとって見れば、自らに厳しい仕事で知られる浅岡氏の作品に自社のムーブメントが使われる意味は小さくないでしょう。昨今、数多くのマイクロブランドがミヨタシンパに染まってきたとは言え、古い愛好家の脳裏に刻まれた「ミヨタ=安物」のイメージは根強いと思いますし、そう言ったマイナスイメージの払拭には「一流どころに認められ、使ってもらう」しかないのです。
浅岡氏が拘り抜いて設計し、選りすぐりのパーツで組み立てられた「クロノ トウキョウ」は芸術です。ですから、製品ではなく「作品」と呼びたくなるそれら時計の心臓部がミヨタだと知ったとき、私の中にもほんの僅かな戸惑いがありました。弊ブログで終始一貫「ミヨタで何が悪いんだ!?」と言い続けてきた私がです。
ですが今は違います。世界屈指の独立時計師である浅岡氏とミヨタの組み合わせは「思いの外刺激的」だと考えるようになったからです。ムーブメントの過剰な性能や仕上げを誇示する必要のない時計ならば、安価に導入できて十分な性能を持つミヨタを採用するメリットは小さくありません。浮いたコストをダイヤルや外装に向けることで、高級機に引けを取らないルックスの時計を低価格で提供できるようになるからです。
例えば「2024 レイワ」の場合、ムーブメントにコストを掛けてしまったら、30万円であの仕上げは難しかったでしょう。そう、全てはより高い目標のため。限られたコストの範囲内で最高の結果を導き出すための「賢い選択」として「ミヨタ 90S5」は選ばれたのだと思います。素人の想像に過ぎませんけどね。
ちなみに「ミヨタ 90S5」って「オープンハート仕様」なんですけど… 容赦ないなぁ (;´∀`)
最後に… 今はこの辺りで止めておきます(笑)
あんまり書いちゃうと納品後の楽しみがなくなっちゃうので、この辺にしておきます。ただ… やっぱり良いですねぇ。クリスマスまであと何日と指折り数える童のような気持ちです。いい歳のオッサンがこれほどまでにピュアな気持ちになれるなんてね (*´∀`*)
ただ、前述した通り「クロノ トウキョウ」は「アート」なのです。以前、検品も浅岡氏ご自身がされると伺いましたが、もしもその際に気に入らないところがあれば「作家さんの気が済むまで」とことん手を入れてもらいたいと思っています。約束の納期ですって?? そんなもんナンボでも待ちますって。「浅岡さんが拘っちゃってさぁ~ 待たされたぜぇ」とか、言ってみたいじゃないですか(笑)
そんなわけで「2024 ANNIVERSARY REIWA」が無事に納品されましたら、改めて至近距離でのインプレッションを書きたいと思います。皆さまお楽しみに (*´ω`*)
※そう言えば、これまでの3本についての個別記事もまだでしたので、なるだけ早い段階で書きたいと思います。レビュー記事って、勢いで書くみたいなところありますからねぇ…
ご意見・ご感想
コメント一覧 (2件)
砂布巾さん
こんばんわ、黒海月です。
東京の思ひ出に、クロノトウキョウは出来過ぎですね〜(^O^)でも、砂布巾さんならゲットされると思ってましたよ。
クロノトウキョウは、34mmから始めたい気持ちもあり、他にも気になるあれやこれやでスルーしちゃいましたが・・・。来年こそは34mmを我が手に!
それにしても、昨今のマイクロブランドは熱いですね。ノダス✖️レイブンとか、おそらく参戦されたと思われる6号のあのブランドとか、
秋には5号改が出るとの記事もあり、限られた資金をどうすべきか、悩ましい日々は続きます。
そんな時間が楽しい♪( ´▽`)
黒海月さま。
いつもコメントありがとうございます♪
えへへ… 読まれてましたか(笑)
復刻タカノは高価すぎて(ミヨタベースとしてはの意味も含め)私には到底無理なので、
レイワの最終モデルを押さえたのは我ながら英断でした。
あ、6号は見事に落選しました(笑)
縁が無いのかも…