何かの「フラグ」が立ちそうなタイトルを付けてしまいましたが、昨年の秋頃、私は某所で「重要な約束」をしました。「来年こそは『Sinn』を買うよ!!」という約束です。
実際は渋谷のSinn DEPOT(ジン・デポ)さんで交わした単なる「口約束」に過ぎませんでしたが、私にとっては2025年に達成すべき「最重要ミッション」になりました。そもそも口約束とは「自分自身の存在を証文」にして取り交わされるもの。それを軽んじることは、自分と相手の存在を「軽視する」ことに繋がるのです。
とまあ、実際はそんなに重々しい話ではありませんが、要するに、せめて自分の中だけでは「重要なこと」にしておきたかったのです。25年中に何が何でも「Sinnの時計を手に入れるために」… (;´Д`A
ならば「Sinn(ジン)」を買おうじゃないか!!
とにかく長かった24年から25年にかけての「冬期休暇」。長過ぎて唯々ダラダラして終わってしまうという、典型的な「寝正月」の中にあっても、私は考え続けていました。曰く「今、Sinnを買うとしたら、どのモデルにすべきだろうか」… と。
「903」のリミテッドモデルに心動かされたお話は以前にも書かせていただきましたが、やはり私の中で「903」と言えば「ナビタイマーのオリジナルカラー」でないとダメ。ウチには何年も前から「ETA搭載の903」があって、それこそ「ナビタイマーカラー」なわけですが、例え「モロ被り」が発生しようとも、私が購入するなら「黒銀」か「青銀」しかないのは自明でした。
ただ「新しい903」をお迎えした場合のコイツ…「古い903」の処遇に関しては依然白紙のまま。元々の出来の良さ故か、未だ表面的には何ら古さを感じさせない「旧903」。そんなETA「Cal. 7750」搭載の旧型を、ラ・ジュー・ペレ「Cal. L110」搭載の新型の隣に並べる光景を思い浮かべただけでそれはもう… 泣きそう (´;ω;`)
この時点で「新しいのを買ったから古いのを売る」というロジックは、私の中で完全に消滅しました。
Sinn(ジン)のラインナップは全てが「現役」だった
Sinnの公式ページを彷徨っても一向に埒があかない。ならば現物を見れば何らかのフックが見つかるはず… そんな期待を胸にいつものバスルート… ではなく、JRで普通に渋谷に赴き「ジン・デポ」さんに到着した私でしたが、結論から申しますと「余計に混乱」しました(汗)
「903」の買い替えがないとすれば、他のモデル… 他のクロノグラフにすべきなのかと思考を進めることにした私。ジンデポ渋谷さんで小一時間、悩みすぎて吐きそうになった時点で私は思い知りました。
「Sinn のラインナップって、全部が現役やんか!!」と。
どんな有名ブランドであっても、3つや4つの「枯れたモデル」があるものです。そういったモデルは「売り時を逸した」か「意図を持って残っている」場合がほとんど。ですからたまには売れるかもしれませんが、一日に何度も問い合わせがあるような時計ではありません。
ある意味それが「ブランドの度量」を現している場合もあります。商売から逸脱したモデルの存在が「ゆとりを持ったブランド」と見てもらえるキッカケになるからです。
「Sinn」現行ラインナップにも、リリースから年数を経過した「枯れたモデル」は存在します。ところがおかしなことに、そう言った古めのモデルからも目が離せないのです。「コレは古いから対象外」と言い切れない「謎の現役感」。明らかに旬を外したモデルがあれば、そこを「検討の対象外」とすることで、意中のモデルを選び出しやすいと考えたのですが…
この日はジンデポさんで偶然遭遇した顔見知りの方が、悩む私の様子を温かく見守って下さいました。その方が「お先に」とお店を後にしたときの心細さときたら… 実のところ、背中押される気満々だったのかもしれませんね (;´Д`)
そもそも「Sinn」にはコンティニュアス・インプルーブメント(継続的改善)された息の長い時計が多数居残っており「何を以て新しいとするか」の基準が複雑です。「103」なんて基本はずっと同じ顔ですしね。「903」だって可能な限りオリジナルに則した形で進化を続けていますから、リファインメントされるたびに「新型」と騒ぐのにも若干の違和感を感じます。今風に名乗るなら「2.0」みたいな感じがしっくり来るかもしれません。そうやってずっと「現役」でいるわけですから、古くなりようがないのです。
ってなわけで「Sinn」のラインナップの中には「コイツはスルーでいいや」と思える隙間モデルがありませんでした。全部が全部、油断できない時計。細かい善し悪しを判断するだけでもの凄く消耗します。
ついでに言うと、モデル名だけが異なる「ソックリ顔」が多過ぎるのも、選択を難しくしていると思います。冷静に俯瞰しているつもりでも、数十分も経過すると「アレ?? これってさっき見てたヤツと同じとちゃうん??」と混乱してしまうのです。この感じ… まるでトランプゲームの「神経衰弱」のようです。そう言えば苦手だったなぁ… (;´Д`)
「クロノグラフ」で選べないなら「3針」を買えば良いじゃない??
現物を何本もショーケースから出していただき、何度も腕に載せ何度も「う~ん」と唸ってはみたものの、より深いドツボにハマっていくだけのような気がしました。「103」「356」「900」… 要するに今の私の気分は「縦3つ目」なのですが、そこから先が決めきれないのです。
一向に埒が明かないので、またしても趣向を変えてみることにしました。「クロノグラフで選べないなら、3針で選べば良いんじゃない??」。
謹んで告白しますが、魂的に刺さりまくる「Sinnのクロノグラフ」に比べるとこれまで、シンプルな「3針モデル」に対してそれほどグッとくることはありませんでした。購入を目的に真剣に調べることも稀でしたし、私にとっては「Sinnの3針」はずっと「クロノグラフに次ぐ二番手」みたいな存在だったのです。そう、この瞬間までは…
「買わねばならない」という「無駄な使命感」に裏打ちされた行動力がそうさせたのかもしれませんが「すでにクロノグラフを持っているのだから、次は3針で」という極めてシンプルな思考になれたことで「Sinnの3針モデル」に対する「見えない壁」が取り払われたような感じがしました。各モデルの良いところが、スゴく素直に入ってくるじゃないですか!! これまでは何だったのと言うくらい、見え方が変わる、対し方も変わる…
2025年の今、一番刺さる「ジンの3針」はどれだ!?
パイロット クロノグラフ「103」の3針版である「104」。3針になったことで生まれたゆとりがそう思わせるのか、クロノグラフの徹底した「無骨」と比べるとソフィスティケイテッドされた印象が強い「104」です。うん!! これは間違いないヤツだ。個人的には特に「深緑ダイヤル」のモデルが好きです。
針の差し色が現代的な表情を作り出す「105」。強烈な耐磁性を誇る「ザ・野郎時計」である「836」も素晴らしいです。「856」や「857」のちょっと地味な姿にもグッときます。「男は黙って」ってみたいな感じですね。
左リューズの「EZM3.F」もこれまた捨て難い。着けると格好良いんだぁ… これ。
そして、中古市場で意外な人気を博しているという「ド定番」の「556」。余計な要素を捨て去ったシンプル過ぎるデザインが刺さるのでしょうか?? 3針モデルの中で年齢、ファッション、性別問わず楽しめる筆頭は、この「556」で間違いないと思います。
う~ん… これまた悩みすぎて胃がシクシク痛みだしたワタクシ。そうだなぁ… 手元の「903」と比較したときに、一番「振り幅」が大きな時計にしようかなぁ (;´∀`)
となると何だ?? あれか??「556」ってことになるのかな?? よし、一旦「556で決まり」を脳内で保留状態にしておいて、次は「どの556にするか??」の検討に入りたいと思います。「556」と言ってもかなりのバリエーションがありますからねぇ。
「556」にはカラーダイヤルもあるが…
そう言えば、こんな記事も書きましたっけ(笑)
オイパペに端を発した「カラーダイヤル ブーム」もさすがに「落ち着いたかなぁ」と思った矢先に「Sinnよお前もか!!」みたいなモデルが登場したので、いそいそと記事化したわけですが… その頃と比べても「Sinnというブランド」に対する私の想いはほとんど変化がありません。要するに「Sinnの兄貴」にはこの先もずっと「バンカラ」で「硬派」であって欲しいわけです。
ってなわけで、久しぶりにこの2人の会話をお聞き下さい(笑)
もう「可愛い色」は良いんですか?? ジンの兄貴
うむ!! オレには「渋い色」が似合うと自覚した!!
解ってくれてオレ… 嬉しいっす(泣)
今回のお薦めはこの辺りっす!!
黒ばっかりだな…
ちなみに訊くがコレ…
ブラック・マザー・オブ・パールなんてどうだ??
確かに色は渋いですが…
妙に「ラグジュアリー」っす!!
オレにラグジュアリーは似合わんか…
このバーインデックスの「556.I.RS」を見てほしいっす!!
写真では判りにくいですが… 艶ありダイヤルっす!!
なに!? ツヤツヤの黒ダイヤルだと!!
公式の写真ではただの艶消しに見えるっす!!
現物を見たものだけが「知る」というわけだな!!
オレにとって兄貴は「艶ありの黒」って感じっす!!
(どういう意味だろう…)
そんなこんなで「556.I.RS」に陥落!!
内なる魂の「ジンの兄貴」も納得したことですし、意外な「艶ありブラックダイヤル」にやられた「556.I.RS」を購入することにしました。我ながら中々にシブい落とし所だったと思います。後々まで「使い倒す」ことを念頭にすれば「556」の購入には絶対の説得力がありますし、公式サイトを散々見た割に全く気付けなかった「艶ありブラック」の存在が最後の決め手になりました。
それでは、購入した「556.I.RS」をじっくりコッテリ観察しつつ、その魅力を解き明かして参りたいと思います。
男心にグサグサ刺さる「556」の魅力を解剖
こりゃあアレですね。様々なカテゴリーの時計を味わってきたベテランほど、深く突き刺さるタイプの時計ではないかと思います。見た目は確かに「どシンプル」なんですよ?? それなのにあり得ないくらいの存在感があるのです。時計としての強さでいうと、クロノグラフである「903」を超えているかもしれません。
3針の時計のほとんどは多針の時計と比べて存在感で劣る場合が多いと思いますが、この「556」に関しては「ケース」「ブレス」「ダイヤル」など、全ての要素がぐぐっと噛み合って「一個のカタマリ」のような風情があります。だから強い。「幅38.5ミリのケース」であっても大きく見えるのです。
マッシブで印象の強い「ベゼル」
ケースで言えばまず目に入るのが「ベゼル」。マッシブです。太いわけでも大きいわけでもないベゼルですが、しっかりとした主張があります。着ける度に真っ先に目に入るため、結果的に強い印象が残るパーツです。視覚の起点とでも言えば良いのか… 仕上げもグッドです!!
強さと色気を併せ持つ「ラグ」
細過ぎず太過ぎず、総ヘアラインも相まって一見すると目立たない「ラグ」に見えないこともありません。ところがこれも「実は強い」。結構な迫力をもったブレスレットをしっかりとホールドする「頼り甲斐」と、ケースから違和感なく伸びる曲線の「色気」を併せ持った、シンプルながらもナイスなデザインです。
この「リューズガード」が無かったら…
しっかりと量感のある巻きやすいリューズを、たっぷりの包容力で受け止める「リューズガード」。デザインの重要な「ヘソ」になっていることも見逃せません。これが無く、リューズが剥き出しだったら… 随分と地味な印象になっていたでしょうね。
こう見えて「20気圧防水」ですからね!!
365日、天候なんてお構いなしで使える「20気圧の防水性能」があります。結局、時計の使用頻度を決めるのは防水性能だったりしますので、特に夏場!! 手に取る機会が増えそうです。
この「ダイヤル」が『艶あり』ではなかったら… 果たしてこれを選んでいただろうか??
表題の通りです。この「556.I.RS」を選択した最大の理由は「艶ありブラックのダイヤル」であったこと。この恐らくはラッカー仕上げであろうダイヤルの「上品な艶」を見ていなかったら、そもそも今回「556シリーズ」を選んだかどうかが怪しかった気もします。
赤い「秒針」
とにかくシンプルなダイヤルです。だからこそ唯一の色要素である「赤い秒針」が鮮烈。やっぱりね。男のお洒落は「ワンポイントカラー」ですよね!!
見た目からして強靭な「ブレスレット」
色んな意味で「Sinnだよなぁ」と思わずにはいられない「Sinnっぽいブレスレット」。気合の入ったケースと比べると、仕上げに関してはイマイチな気がしないでもありません(特にサイド) 総ヘアラインなので、ごまかしが効かないってのもあるでしょう。
ただ、剛性に関しては「さすがのSinn」です。コマを連結するネジもやたらとマッシブ。見るからに強そうな作りです。
泣かせる「バックル」
めちゃくちゃ気に入ったのが「バックル」。昨今の流行り「小さなバックル」に真っ向から反抗するかの如き「バンカラな作り」に惚れました。
エクステンションギア内蔵だったり、そういった期待を裏切らない性能もそうですが、私が「グッときた」のはその「形状」でした。なんせデカい。ゴツい作りなわけですが、ブレスレットを手首に装着したときにしっくりと馴染む「完璧なアール」が施してあるのです。まるでバックルなんて存在しないかのように、ブレスレットと一体になって円環を成すバックル。
初見の「ひゃ~!! バックルデカいっすね~」から、ブレスを調整してもらった後の「コイツ… 馴染むぞ!!」に至る印象の変化が凄まじかったですね。いやぁ~ホント、泣かせてくれます。
ムーブメントは「SW200-1」搭載
普通に使う上で不満などあろうはずもない、セリタ製「SW200-1」を搭載しています。26石の自動巻で28,800振動です。パワーリザーブは約38時間。耐磁性能は4,800A/m。要するに「充分スゴい」ってことですね。
高くなったとは言え、まだまだ買い得感がある「Sinn 556」
クロノグラフを購入するつもりでしたから、想定よりもかなり抑えめの出費となりました。大抵の場合「想定よりも高いもの」を買ってしまうケースが多い私ですから、何気に珍しいことだったと思います。
それでいて「意中の時計」が見付かったわけですから、かなり満足度の高いお買い物になりました。何年かで値上がったとは言え、現物を見ればまだまだ「お買い得のゾーン」にある時計ですからね!!
それにしても、ジンデポ渋谷のスタッフさん方が、地下の店舗から1階の出口まで見送ってくれたのには感動したなぁ。あの急な階段を皆んなで… うるうる…
ジンデポ渋谷の皆さんが1階の出口まで送ってくれたとき、オレ… 泣きそうっした!!
どうだ!?「Sinn」は熱いだろう
この感動をまた味わいたいっす!!
よーし!!
次は「クロノグラフ」いくぞ!!
最後に… ガシガシ使って傷だらけにする… それが「556への愛」
ジンの兄貴が勝手なことを言っていますが…(笑) あながち間違っていない気もします。実際、今回の「556購入」は「Sinnの深淵」への扉を大きく開け放ちました。そうして視野が広がってしまった私は思うわけです。近々、クロノグラフも欲しいと(汗)
「556」でも「903」でも同様に思うことですが、Sinnの時計は「遠慮なく使ってこそ真価を発揮する」タイプの時計です。ラグジュアリーとして温室生活を送る時計ではありませんから、傷を気にして過剰に過保護に扱うのは「556」の…「Sinnの理念」に反します。
最終的に「傷が似合う」時計になるかは解りません。ただ、気に入って使い倒した先で付いてしまった「傷」も込みで楽しむことが、この時計に対する愛情なのではないかと思う次第です。バンカラなSinnを「弊衣破帽」で使い倒す。ですよね?? 兄貴??
傷は男の勲章であーる!!
以上!!(笑)
Sinn 556.I.RS 諸元 | |
---|---|
ムーブメント | SW200-1(自動巻/26石/28,800振動) パワーリザーブ:約38時間 耐磁性能:4,800A/m(DIN8309準拠) |
ケース・ブレスレット | ステンレススチール |
風防 | 両面無反射サファイアクリスタル |
裏蓋(トランスペアレント) | サファイアクリスタル |
防水性能 | 20気圧防水 減圧耐性 |
ケースサイズ・重量 | 直径38.5mm×厚さ11mm 65g(ベルトを除く) |
ベルト幅 | 20mm |
保証期間 | 2年 |
余談:
今回から新しいカメラ「Sony α6700」を使用しています。最近だとOM、ニコンと使ってきましたが、今のところ、ポストプロダクションを目的としたソフトウエアの出来ならSonyかもしれません。あとα6700… フォーカスがムチャクチャ速えぇ!! (*´∀`*)
ご意見・ご感想
コメント一覧 (2件)
Sinnいいですね〜!!
シンプルイズベストとはまさにって感じの時計で
かっこいいです!
冗談抜きで365日毎日使えそうですなぁ(´∀`=)
カメラはSONYにしたんですね!
静止画も映像も綺麗だからいいですよね!
(何より色々と使いやすい!笑)
新しいレンズもほしくなってるんじゃないですか〜笑
Y太さま。コメントありがとうございます♫
556はマジで格好良いです。
意見を挟む余地がありません(笑)
SONYが私のスタイルに合うかはまだ解りませんが、
最低限のシステムを構築した上で色々やってみようと思います。
レンズ、、、欲しいっす!!(笑)