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ストラップ(ベルト)の『オーダーメイド』で「腕時計ライフ」をさらに充実させよう!!

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 惚れて惚れて、惚れ抜いて購入した腕時計であっても、長く付き合いを続けていれば何らかの「飽き」は生じます。元々の愛が深ければ深いほど、変化のない日常に物足りなさを感じ始めるのです。これは腕時計だけに限った話ではありません。人間同士にだってありますよね??

 付き合っている相手に「飽きられないよう」努める。可能なら絶対にそうすべきです。自分の存在に絶対の自信を持っている方なら「この私に飽きるなんて、愛が足りない!!」と一刀両断できるかもしれませんが、愛される側の「努力不足」である場合も(相当に)あります。髪型を変えたり服装を変えたり「ドキッ!!」とさせる瞬間をセルフプロデュースするくらいはやってもバチはあたりません。ちょっとした「愛される工夫」が大切なのです。ここはある意味、自戒を込めて言い切ることができちゃう私です (;´Д`)

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その腕時計に愛は足りていますか??

 そんなとき、当の腕時計だって思っているはずです。「ワタシかてほんの少しアレをこうしたら、まだまだ捨てたもんやないで!!」と。とは言え、腕時計が自分自身を変えることはできません。ならばここは「オーナーの責任」でしょう。

 腕時計は「手に入れて終わり」ではありません。オーナーには物言わぬ腕時計の気持ちを察して、彼女(或いは彼)の秘めた思いを掘り起こしてやる義務があります。彼女たちが気持ちよく時計生を送り、それを使う自分自身も満たされたオーナー人生を送るためには、正しい方向性の「パーソナライズ」を進め、所有物たる「腕時計」への愛着を深める努力が必要なのです。人はそれを「腕時計愛」と呼ぶんだぜ!! (*´∀`*)

オーダーストラップ(ベルト)で「愛を取り戻せ!!」

 腕時計の「正しいパーソナライズ」… もうそれは「ストラップ」しかないでしょう。裏蓋やベゼルにエングレービングするサービスもあるようですが、親からもらった身体(?)に傷を付けるような行為を私は好みません。

 人さまの時計でそのような装飾を拝見すると素直に「格好良いなぁ」と思う私ですが、プロダクトデザイナーの気持ちが解ってしまう立場上、個人的には「綺麗なままでいてくれよ」… と思ってしまいます。

 その点、ストラップなら劇的な変化を腕時計にもたらす割に、腕時計の本質を一切傷付けません。いつでも「原状回復可能なカスタマイズ」の真打ちが「ストラップの交換」なのです (*´ω`*)

 中でも、些か高価なお品にはなりますが、ストラップの「オーダーメイド」は腕時計にとって最高のカスタマイズです。オーダーストラップを誂えるたびに「腕時計購入と同じ感動」を体験することができますからね。上質な既製品のストラップでも相当な高揚感を得ることができますが、感動の「大きさ」「質」「持続時間」で言えば「オーダーストラップ」が圧倒的。要するに「より深く腕時計を愛せるようになる」のです。ここから先はその辺のお話を中心に進めていきたいと思います。

もっと誇れる腕時計に!! ストラップ(ベルト)のオーダーメイド

 大袈裟な話に聞こえるかもしれませんが、とんでもない!! 結構マジです。「フルオーダーのストラップ」自体は5本ほどの経験しかない私ですが、それでも毎度毎度、同じように沸き上がる「超ポジティブな感情」がありました。「自分の時計に誇りが生まれる」とでも申しましょうか。

 さて、この度ワタクシ、ストラップ関係で長年の懸案だった一本にカタを付けることができました。恐らくは製作難易度「S級」の案件。ご愛読いただいている方ならすでにピンときたかもしれませんが、ジャガー・ルクルト「レベルソ スクアドラ ホームタイム(Q7008420)」のストラップを作ってもらったのです。こんな無茶なお願いを聞いて下さる工房は、業界広しと言えども「松下庵」さんくらいしかありません。

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念願のスクアドラ ホームタイム用「フルオーダー ストラップ」

 と言うわけで今回は、完成したばかりで嬉しさ爆発中の「スクアドラ」を通じて、腕時計ストラップ「フルオーダーの魅力」と、その「楽しさ」について、皆さまに伝わるよう書いていきたいと思います (*´∀`*)

そもそも「オーダーメイド」にどんな意味があるのか??

 よくぞ聞いてくれました!!(笑) ぶっちゃけた話「フルオーダー」ともなるとちょっとした時計が買えちゃうお値段になってしまうわけです。ですから、ご自分にとって「意味があるのか??」については十分に脳内会議で協議していただいた方が良いでしょう。

 大阪時代のワタクシの話をさせていただきますが、その頃の私は「腕時計のストラップなんてどうでも良い」とさえ考えていました。ストラップに興味がなかったわけではありません。それ以上に「ブレスレット・ラブ」だったのです。

 かつての私の考えはこうでした。「ブレスレットモデルを買えばそれが『完成品』なのだから、後付けのストラップで弄るなんて邪道だ」と。要するに過剰な「純正主義」に囚われていたわけです。イレギュラーなお楽しみとしてストラップに換装することもありましたが、その際の選択肢は「NATOベルト」一択。

 つまり、私がストラップに求めたものはあくまで「着崩し」であって、高級ストラップのオーダーなどはいずれお爺ちゃんになった頃に、カラトラバでも手に入れてその時に手を出せば良い… そんな風に考えていたのです。

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ルクルトの中の人に自慢したくなる完成度

 それが今や… ブレスレットモデルを買ってもあっと言う間にストラップに換装してニヤニヤする始末です。こんな私に誰がした?? と責任転嫁を計りたいところですが… 今や浅草の新名所と言っても過言ではない「松下庵」さんがほぼ全ての元凶であることは間違いないでしょう。あと「ストラップ沼」の沼長であるあの方の影響も無視できません (;´∀`)

素材とデザインで表現する「圧倒的な個性」

 初めてのフルオーダーで「革」「裏材」「側面の処理方法」「ステッチ」「仕上げ(パティーヌの有無)」などを選ばせていただいた際は、心底感動したことを思い出します。一介の腕時計好きが心に描く「だったらいいな」を完璧な形で具現化してもらえましたからね (*´∀`*)

 革を選択した時点から始まる「個性の探求」。自らと対話し、或いは周囲のお客さんからヒントを得て幾重にも乗算されるインスピレーション。素材や仕上げの選択は新たな課題を表面化させるものですが、それらを一つ一つ相談してクリアしていく過程こそが「フルオーダーの醍醐味」です。

拘りの衝突が生み出す「意外性」も楽しい!!

 依頼主の拘りと職人の拘りが衝突して、そこから生まれる「意外性」も無視できません。「自分が作ってもらうなら、こんなストラップ」という明確で絶対的なイメージがあったとしても、相談を進める中でそれが「つまらなく思える」ほど、新たな発見があるはずです。それらを柔軟に貪欲に取り込んだ先で、貴方も気付かなかった「貴方の個性」「圧倒的な説得力」を以て形になるのです。

オーダーを通じて自分の腕時計と向き合う

 自分だけの可愛い子ちゃんに「素敵な服」を着せてあげたい… まずはその純な気持ちから始めましょう。

 この時計にどんな服(ストラップ)が似合うか… 深く考えれば考えるほど、普段は見えていなかった様々な事柄に気付くでしょう。それはつまり、ストラップを見繕うという行動を通じて、腕時計を見る新たな視点が生まれたと言うことです。

 自らの「好き」を説明する手段を持っている人は多くありません。手垢の付いた単語の組み合わせでそれっぽい賛辞を組み立てて、どうにか他者に自分の嗜好を伝えている… 往々にしてそんな感じではないでしょうか(私もそのひとりですが…)

 ストラップをフルオーダーすると、そんな状況が一変します。恐いくらいに自分の腕時計への理解が進むのです。私も長く腕時計と関わっていますが、この瞬間ほど自分の腕時計と「深く向き合っている」と感じられる時間もありません (*´ω`*)

既製品では不可能なイメージを形にできる

 オリジナリティー溢れるオーダーストラップに交換すると、いつもと同じ時計であっても「新しいアイテム」を手に入れたような気分になります。時計に対する新鮮な気持ちが蘇り、気分もリフレッシュ。新しいストラップで生まれ変わった腕時計を身に着けることで気分が高揚し、腕時計を使う際のモチベーションも大いに高まるでしょう。

 この感情の正体は「この世に一本だけ」という絶対的な「唯一無二」を手に入れたことによる「充足感」に他なりません。しかも、フルオーダーでお願いしたとしても大抵の場合、既製品とそれほど大きな価格差にはなりません。既製品では不可能なイメージの具現化は、案外と手の届くところにあるのです。オーダー主の負担は幾ばくかの「追加料金」と、完成まで待ち続ける「忍耐力」だけです。

ストラップ オーダーの注意点と可能性について

 既製品に対するオーダーメイドのストロングポイントは、依頼主の「意見が通る」に尽きます。ただ、何でもかんでも無理を聞いてもらえるわけではありません。その辺りで過剰な期待を持ってしまうと「思ってたのと違う」とガッカリすることにもなりかねませんので注意が必要です。

 あらかじめ、出来ることと出来ないことの「境界線の見極め」は依頼主のエチケットです。それには「ストラップオーダーとはこう言うものである」という事前の認識が欠かせません。その辺りで、腕時計のストラップオーダーは「一見さんにはハードルが高い」と思われがちです。ですがワタクシ個人的には、工房の得意不得意や扱っている革の種類などを把握した上で、その真逆の希望を出したりしない限りは、綿密な話し合いでベストな着地まで持って行けると考えています (*´∀`*)

お店の「得意」と「不得意」を見極めるポイントは??

 今どきでしたら、どんなストラップ屋さんでも「公式WEBページ」くらいは作っているはずです。そこに現状のラインナップや作製履歴が残っていれば、そこからお店の「得意不得意」が解るでしょう。どんな職人さんでも作ったことのない物は難儀します。作ってもらいたいストラップの明確なイメージがあるのであれば、それに類するストラップを得意としているお店に作製を依頼するのがベストです。

 ドレスウォッチ用のスマートでクラシカルなストラップを得意としているか、スポーティーでヘビーデューティーなストラップが得意なのか… その辺に配慮してお店を選ぶだけで、オーダーの成功率は大幅に上昇します。

聞いてもらえない要求もある

 凄腕の職人さんであっても、不可能な物は不可能です。不得意であるからなどとは無関係に、時計の作りがストラップ向きではない場合があるからです。

 例えばブレスレットがケースと一体化したデザインの時計である「ラグスポ」の多くが「複雑でオリジナリティーの高いエンドピース」でケースと融合しています。それらは技術的に「絶対無理」とは言えないまでも、職人さん泣かせであることは否めないでしょう。

 かつてはケースに突き刺さるように設置されていたブレスレットなども存在したわけで、それらと比較すれば、ラグスポのエンドピース構造の方が遙かにストラップ作製の可能性を秘めています。ただ、職人さんが「申し訳ありませんが…」と言うならそれに従いましょう。

 そもそも彼らはプロです。例え技術的に可能であっても、通常ストラップ作製の10倍の時間を要すると判断したなら、軽々しく受けるわけにはいかないでしょう。他の予約を停滞させることにもなりかねませんし、難しい注文とは言え、ストラップ一本に「通常の10倍の金額」を要求するわけにもいかないでしょう。

 私が松下庵さんにお願いした「スクアドラ ホームタイム」も、多くのラグスポと同様に「厄介なラグ」を持つ時計でした。それでも何とかしてストラップを作りたい私は、ある意味「究極の禁呪法」に手を出すことになるのです (;´∀`)

難しい条件でも「不可能が可能に」なる場合がある

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世界広しと言えど、こんなにイカしたスクアドラは存在しないでしょう

 「スクアドラ ホームタイム」でストラップを作ってもらうに際して、何が困難だったかをご説明せねばなりません。

 まず、このスクアドラってヤツは「ラグスポに近い存在」なのです。故に、例え後付けのストラップであっても、ケースデザインとして計算された曲線、或いは直線に背いた作りでは意味をなさない。考えもなしに下手なものを付けると「全てを台無し」にしかねません。

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迫力と繊細さを感じさせるラグ周りが完成
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淀みなく続くスロープの美しさよ…

 ですからまず、絶対に達成して欲しい目標として、ラグのスロープとストラップの「ツライチ」がありました。ステンレスと本革。工業素材と自然素材を合わせる難しさは重々承知の上で、これだけは譲れないお願いでした。

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急カーブで太さが変化する側面も完璧な造型
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裏のツライチも完璧。バネ棒外しを通す隙間も完全再現

 同時にラグの高さを活かし、スムースに伸びる側面(革の厚み)でなければなりません。このお願いを口に出したのは1年以上も前のことですが、その時点ですでに「これはストラップと言うよりも、革のブレスレットを作ってくれって話だよなぁ」という苦い認識がありました (;´Д`)

禁断の秘技「オリジナル パーツ移植」

 このとき、松下庵代表からは1つの提案がありました。「完璧を目指すなら『ドナーが必要』である」。確かに、オリジナルのストラップには専用のパーツが挟み込んであり、それが機能しているからこそストラップとケースのスロープに一体感が生まれているのは明白でした。

 ただこのときは、手持ちの純正をドナーに差し出す勇気が沸いてこなかった私。そして時は行き過ぎ、ようやくです!! 純正ストラップの内蔵エンドピースを埋め込んだ「完璧なスクアドラ用ストラップ」が完成しました (*´∀`*)

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ドナーとして最期の役目を果たした純正ストラップ。君のお陰だ!!

 恐らく、この注文は百戦錬磨の松下代表にとっても、かなりイレギュラーな難業だったと思います。我ながら無茶なお願いをしたものだと(汗)

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ジャガー・ルクルト純正フォールディングバックルも移植。この部分の仕上げを見て下さい。あぁ… 美し過ぎます
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JLの刻印も心なしか誇らしげに

 ただ、とことん話し合う姿勢と、作業に見合った対価を支払う覚悟さえあれば、職人さんを「口説き落とせる」場合もあります。90年代の時計には特に多かった「突飛なラグ形状」であっても、端から諦める必要はありません。松下庵さんに限った話ではありませんが、まずは相談で、貴方の熱い思いを伝えてみて下さい。

来店予約を入れて貴方の要求を伝えよう!!

 ここまで来れば「それなら自分もオーダーしてやろうじゃないか!!」と中腰になった方もおられるでしょう。しかし、少しだけお時間を下さい。貴方のオーダーを完全勝利に導くための「勝利の方程式」をお伝えします。

 条件的に難しい方もおられるでしょうが、可能であれば… いや!! 多少の無理をしてでも「実店舗」で相談して下さい。無理ならばSNSなどから生の声を集め、電話であってもご自分の意図を汲んでくれそうな「勘の良いお店」を見つけて下さい。ほぼ100%、そこで勝負が決まってしまいます。

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オーダーストラップへの熱い想いがあれば…

 それでもやはり、予約を入れて実店舗に赴き、職人(製作者)さんにストラップと腕時計に対する想いの丈をぶつける以上のやりとりはありません。

 結局、依頼主である我々素人の膨らませたイメージなんて所詮は拙いものですから、それをそのまま形にしたところで大したものは生まれません。専門家と意見の交換を繰り返し、朧げなイメージに確固たる輪郭を与える作業こそが需要。そうして生まれ落ちるストラップこそ、オーダー主と職人の魂が融合した、貴方だけの「スペシャルな一本」なのです (*´ω`*)

※ストラップオーダーの際に付き添いが必要でしたら「松下庵」「ジャン・ルソー」「EARNEST GALLERY」であれば、ワタクシ砂布巾も(東京にいる間は)ご案内可能です。お気軽にお声がけ下さい

一言アドバイスの素晴らしさ

 さらに重要なことをお伝えします。職人さんのアドバイスは聞き漏らさないようにして下さい。とても重要なヒントである場合が多いですからね。実際、私も松下庵さんで「スクアドラ ホームタイム」のストラップを相談した際、会話の中から様々なヒントを得ました。そして思ったのです。「松下代表には完成が見えているんだ」と。

 最初、私は「2種類のブルー」をテーマにしてストラップを作ろうと思っていたのです。もちろんその意図を伝えました。可能な限り説得力のあるワードを選んで懇切丁寧に。

 私の要望に対する松下代表の最初の反応は「無」でした(笑) しばらく後、何かが閃いたように「いや、違いますね!!」と代表。そこから「私ならこうする」「いや、それならこっち」の応酬が続き…

 今にして思えば、私のイメージは「スクアドラのイメージを一変させたい」というもので、松下代表のイメージは「今のスクアドラをより魅力的に引き立てるストラップ」だったと思います。要するに「真逆」だったのです。

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12時側素材:ヒマラヤクロコ
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6時側素材:ナイルクロコグレージュ

 こちらの写真を見ていただければ一目瞭然ですが、白ダイヤルの微妙なニュアンスを邪魔しない革のチョイスに惚れ惚れします。松下代表曰く「地から山頂へ、登山をイメージして製作しました」とのこと。

 すでにお気付きかと思いますが、12時(親)側と6時(剣先)側で「敢えて異なる革素材を使っている」のですよ。「ヒマラヤクロコ」「グレージュのナイルクロコ」どちらも松下庵自慢の高級皮革です。

 発想自体はお遊びも良いところですが、不思議ですねぇ… 最終的な仕上げに上品な手法を選んでもらったことで、スクアドラが元来持っている「ドレス」な部分がちゃんと守られているのです。むしろよりゴージャスに!! (*´∀`*)

 これはもう、名前を付けるしかありませんね。う~ん… ヒマラヤで雪の白と山肌の土の色かぁ… よし!!「North Col」にします。名前を付けた第一号ストラップになりました(笑)

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土の表面が見える緩やかな斜面を上りきれば…
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雪に覆われた切り立つ斜面が眼前に!!

 というわけで私は「松下代表の案を採用」したわけです。松下代表のアイデアの方が「格好良い」と思っちゃったからなので仕方がありませんよね。断じて負けたわけではないですからね(笑)

 さらに言えば、そういう展開が面白くて仕方がなかったというのもあります。視点を変えれば、そんな唯一無二のアイデアを引き出した私の「作戦勝ち」。そう言うことにしておいて下さい(笑)

自分の意志より尊重すべきものがある

 私は自分自身がアートで飯を食ってきた人間ですし、ある意味、日常的に思っていることなのですが… 相手をプロと認めたなら、信じて全てを任せるべきです。

 オーダーストラップは「一点物のアート」です。ならば、それを作ってくれる職人さんは「アーティスト」。依頼主が一々細かい指示を出してそれを反映してもらうよりも、ザックリとしたイメージを伝えたあとはアーティストのインスピレーションを信じて、可能な限り自由に作ってもらった方が良い結果を招来するのは自明です。

 そもそも、オーダーしようとお店を探し当てた時点で、そのお店の、或いはそこの職人さんの「作家性に期待」しているわけですよね?? ならば彼らの才能を信じて、彼らにとって最高の結果が出せるように条件を整えるのが依頼主のやるべきことだと思います。

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刻印とともに記されるは作家の魂か(裏材はデギャーマン社製ツェルマット)

 「依頼主の思い通り」で良いのであれば、どの職人さんもそのように作ってくれるはずです。しかし、意を決して大枚をはたくわけですよ。そんな当たり前では面白味が薄い。依頼主である我々の予想を遙かに超える「最高の逸品」と対面を果たすためにも、職人さんの「世界観を壊さないように」しましょう。

 あと、これもエチケットの一種だと思いますが、納品までの日取りでうるさく言うのは止めましょう。むしろ「いつまでも待っていますので」くらいの余裕が欲しいところ。実際、急かしても良いことは一つも起きません (;´∀`)

職人自らが敢えて茨の道を選んだら依頼主の勝ち(笑)

 ここまでご説明申し上げたメソッドを守っていただけましたら、いずれ、面白いことが起きると思います。職人さんが自ら進んで「茨の道」を進もうとするのです(笑)

 今回の「スクアドラ ホームタイム」でもそれは起きました。松下庵さんに足繁く通うようになってストラップ作りの「何が大変か」を学んできた私ですから、スクアドラ用ストラップがかなりの負担を強いるであろうことは重々承知していました。ですから当初は、美観の底上げには繋がるものの、不用意に難易度が上がるような仕上げについては「無理をさせない」方針でイメージを伝えました。特にサイド部分の「へり返し」に関しては、そもそもの形状が難しいストラップでもありますし、特段お願いするつもりもなかったわけですが…

 「へり返ししかないですね!!」と松下代表(笑)

 ああ、火が付いちゃったんだな… と思いました。手間を度外視して、最終的な完成度を頂上に持って行くことに集中し始めたのが解りました。そのためには、革を限界まで薄くすいて断面を包む手法「へり返し」こそが相応しいと思ってくれたのでしょう。

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華麗なるへり返し

 ですので、完成品を見る前にはすでに「このオーダーは大成功」だと確信しましたし、依頼主としては「大勝利」だと思ったわけです。

 職人さんを前のめりにできたら、その依頼は必ず上手くいきます。オーダーの際は、依頼主と職人、両者の頭の中で完全なイメージを共有できるまで、とことん話し合って下さい。両者の理解が100%になれば、全てが納得できるオーダー体験になること請け合いです (*´∀`*)

ストラップオーダーを成功に導く3つのポイント

 今回は私が注文した「レベルソ スクアドラ ホームタイム」のストラップをフックに「オーダーストラップの素晴らしさ」をお伝えして参りました。物は試しです。初めてで尻込みしている方がいらっしゃるなら、まずはシンプルな「カーフ」のストラップから注文してみては如何でしょうか?? クロコダイルに比べたらだいぶコストを抑えることができます。

 すでに「それならこの時計でオーダーしたい」と脳裏に浮かんだ時計があるかもしれませんね。ただ、実際のところ腕時計のモデルが違えば「しっくりくるストラップ」は異なります。頭の中では最高の組み合わせだと思っていたストラップが、実店舗で合わせてみるとイマイチだったなんてことはザラに起きます。

 と言うわけで、未だ不安が拭えない貴方のために、ここだけ気を付ければ「絶対に外さない」メソッドを伝授致します。いやまあ、そんなに大層なものではありませんので楽な気持ちで…(汗)

その1 革の種類は「時計の格」で決める

 ストラップの面白いところですが、例えば「クロコ」が全く似合わない時計があったりします。前にどこぞの記事で書いた記憶がありますが「トレンチコートを着た私」並みにヘンテコになっちゃうのです。

 トレンチの場合は情けない私の体型が相応しくなかったからですが、時計の場合はそのモデルが持っている「クラス感」によるものだと思います。

 安っぽい見た目の時計に高級クロコダイル革を合わせても、お互いがお互いを拒絶し合うのが関の山です。例外的に「高見え」する時計なら、高級ストラップを華麗に着こなしてくれる場合もあります。

 ただ、基本的には腕時計本体の「格」とストラップの「格」は合わせるべきだと思います。腕時計単体「パッケージとしての格好良さ」を追求するなら、その腕時計が持つ「ワールド」の中で、ストラップ素材の検討をお薦めします。

その2 革色の選択は時計の「ダイヤル」を基準に決める

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ダイヤルの「ホワイト」とレイルウェイトラックの「シルバー」、2つのモノトーンと相性の良い革色をチョイスしたスクアドラ用ストラップ

 とは言っても、難しいんですよ。例えば「赤いサンレイダイヤル」の時計があったとします。革の色も「赤」にしますか?? いや~ それだと下手すると玩具みたいになっちゃうんです。

 まず、その赤が「何系の赤」なのかを把握しましょう。一言で「赤色」といっても、発色は千差万別。そこに黒っぽい成分を見付けたなら「黒い革」も似合います。発色した際に「反対色」っぽい成分を感じたなら「青系や緑系」に振っても似合うと言うことになります。

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今回は親側と剣先側で革を変えましたので、定革遊革が面白いことになっています(笑)

 それが難しいのであれば「暖色系」「寒色系」かで選択するという手段もあります。ここで注意すべきは「グレーのダイヤル」。ドンピシャで革の色と合えばこれほど美しい物はないというくらいに決まりますが、外すとヤバいくらいにモヤモヤする何かが出来上がります(汗)

 色の上級者の方には「色相ずらし」もお薦めです。「赤ダイヤル」で言いますと、オレンジやえび茶も「赤の眷属」として考えることで、お互いの色味を尊重し合うコーディネートが完成します。余り外さない手法なので参考にしていただけたらと思います (*´ω`*)

その3 ステッチやコバの色は「差し色」から拝借

 ストラップの形状を印象的に強調し、視覚的なワンポイントとして軽視できないのが「ステッチ」「コバインク」の色です。そして、オーダーの落とし穴…「やらかし」が多いのもこの二つだと思います。

 お洒落ポイントとして派手な色にしてみたものの、完成品ではどこか落ち着かない… お洒落なはずが、単に「派手好きな人」に見えてしまう場合もあるでしょう。実はとても難しい判断なのです。最も安パイなのは革の色と同系のステッチ色を選択すること。これならまず外しません。

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グレージュの革色を邪魔しないステッチ色

 「革の色との相性次第」ですが、ステッチなどの色で悩んだときは、腕時計本体の差し色を探してそれを拝借しましょう。例えば秒針が「赤」であれば、ド派手な「赤いステッチ」にする意義も出てきます。要はその選択に「説得力があるか」なのです。

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こちらも白い革色に馴染むステッチ色です

 時計にとって縁もゆかりもない色を使ったストラップを、しっくりと落ち着かせるのは難しいものです。ファッションの一部としては取り入れるにしても、まずは時計とのコンビネーションで「最初の完成」に辿り着ける色選択を目指しましょう (*´∀`*)

最後に… ストラップのオーダー体験が貴方の「腕時計ライフ」を底上げするかもしれません

 改めて、厄介なスクアドラにこれ以上ないストラップを誂えて下さった松下庵ご一同さまに感謝申し上げます。

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(暫定)世界一のスクアドラと言っても過言ではないでしょう

 実際、世界中を探しても「一番クールなスクアドラ」なのではないかと思います。

 そもそも「スクアドラ」というコレクションはジャガー・ルクルトの中でもかなりの異端的存在で、腕時計コミュニティーの中でも滅多に見ることがありません。って言うか、見たことがない!!(笑)

 このストラップを纏った姿がきっかけとなって「スクアドラが欲しい!!」と思う人が一人でも出て来たら… そして「このスクアドラにコレと同じストラップを!!」なんて、松下庵でスマホを差し出す人が一人でも現れたらと考えるとたまりません。何とも言えずエモいオーダーになったと思います。

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同じストラップを依頼した方はご一報下さい(笑)

 それにしても…「ストラップのオーダーメイド」とは何と豊かな気持ちになれる体験なのかと改めて思いました。使い古しの腕時計であっても「馬子にも衣装」とはよく言ったもの。オーナーがこれまで見たこともないような「ファッショナブルな姿」を見せてくれるのですから。

 これは腕時計メーカーが事前に企図した「美しさ」ではないかもしれません。ただ、我々ユーザー目線でしか気付けない「隠れた魅力の原石」があるとすれば「オーダーストラップ」の存在は、それらを掘り起こし磨き上げるための最初で最後、そして「最高の手段」かもしれないのです。

 オーダーストラップで再確認する「腕時計愛」… それはこれからも連綿と続くであろう「腕時計趣味」を、幾つもの発見で底上げしてくれるでしょう。そのたびに驚き、喜び、考えることで、馴染み深いコレクションとの付き合いがいつまでも新鮮であり続けるのです。

 「大好きだったけど、この時計も最近は…」そんな風に思い始めたら、乾坤一擲、腕時計ストラップの「オーダーメイド」を検討してみて下さい。腕時計倦怠期ですって?? そんなもの一瞬で吹っ飛びますから (*´∀`*)

※参考「松下庵」ストラップオーダーの流れ

オーダーから完成までの期間

オーダーストラップの製作期間はおよそ3ヶ月。混雑により多少前後する場合がある。

オーダーする場合の料金

以下の表をご参考下さい。

素材基本オーダー料金(税込み)
牛革¥29,700~
フレンチレザー¥38,500~
コードバン¥38,500~
パイソン¥44,000~
クロコダイル¥52,800~
黒桟革【極】¥70,400~
ガルーシャ¥68,200~
ガルーシャ スターマーク有り¥79,200~
着物¥52,800~
2024年11月現在
素材台座作製の追加料金(税込み)
牛革+¥19,800~
フレンチレザー+¥27,500~
コードバン+¥27,500~
クロコダイル+¥35,200~
その他素材要相談
2024年11月現在
使用する素材の確認は可能??

来店の場合、在庫がある場合は実際に使用する素材を見ながらオーダーが可能。ネットオーダーの場合は、要望により参考写真の送信が可能。

ネットオーダーの場合、時計を送る必要があるか??

ネットオーダーの場合、ブランド名やモデル名を伝えれば対応可能。但し、ブランドやモデルによっては詳細な時計の画像、ベルト取付部分やベルト形状等の画像が必要になる。作製の正確を期すために、サイズ計測を求められる場合もある。

※松下庵の最新情報は「松下庵公式」でチェック!!

※最近の写真のほとんどを、新たに手に入れたNikonのフルサイズ「Z6Ⅱ」「FTZⅡ」でマウントした旧型のマクロレンズ「Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」を組み合わせて撮影しています。

 ブログ用に圧縮しているので解りにくいかもしれませんが、OM-5(m4/3)との違いは如何でしょうか?? 良ければ皆さまのご意見をお聞かせ下さい。それにしても… PCレンズが欲しい!!(笑)

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ご意見・ご感想

コメント一覧 (2件)

  • 世界一のスクアドラ、いい響きですね!

    12時位置と6時位置で別の革を使うこだわり具合…お見事です!

    ストラップだと購入の時の罪悪感みたいなものがあまりないから時計沼ならぬストラップの沼にはまならい注意が必要ですね。笑

    お写真ですが、ボケ感も綺麗で色味もスッキリしていい感じだと思います!

    • Y太さま、コメントありがとうございます♬
      勝手に世界一を名乗らせていただきました(笑)
      暫定チャンピオンですので、挑戦者求むです!!

      ストラップ沼は時計沼ほどの金銭的負担にはなりませんが、油断すると抜け出せなくなる恐ろしい世界です(汗)
      でも、後悔はしていません。こんなにカッチョいいスクアドラができましたからね!!

      写真への感想もありがとうございます。
      ボケ味はさすがフルサイズだと思います。
      まだ腕の方が追いついていませんので、精進しますね (*´∀`*)

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