「1万円で買えるか買えないか辺りのカシオの腕時計」に対して、ファンが愛と親しみを込めて贈った愛称が「チープカシオ」。今をときめく「G-SHOCK」「オシアナス」といったブランドが生まれる遥か以前からカシオの時計事業をしぶとく支え続けているのが〝カシオの安価な腕時計〟… 要するに「チープカシオ」の時計たちです。
ってなわけで、「チープカシオ」には高級腕時計に勝るとも劣らない歴史とドラマがあります。実際、安価で信用できる腕時計は今も多くありませんが、所謂「チープカシオ」の時計たちは、何十年も前にその称号を手にしていました。
チープカシオへの「信頼」という話で個人的に思い出すのは美術大学の受験。それも実技試験用に買ったデジタルのアラームウォッチのこと。制限時間の15分前にアラームを仕掛けておき、ラストスパートのタイミングを知る手段として使ったわけですが、学生にとって人生の一大事を任せるに足る「絶対の信頼」がチープカシオ、ひいては「カシオ」というメーカーにはあったのです。
受験が終わって予備校の連中にそのことを話したら、皆が似たような理由で「受験のオトモ」にカシオを着けて行ったそうです。それもあって今でも、チープカシオには「受験のお守り」みたいなイメージがあったりします (*´∀`*)
学生時代を思い出させるステキな復刻を発見
「チープカシオ」の現行ラインナップには、今でも懐かしいデザインの時計が幾つも残っています。復刻として新しく解釈されたデザインで蘇った時計もチラホラ。その中の「新作枠」に私は見付けてしまったのです。先述の「美大受験で着けたチープカシオの復刻らしきモデル」を (*´ω`*)
LCアナログが懐かしい『A130WE-1AJF』
素晴らしい!! そして懐かしい!! そうです。こんなヤツでした!!
アナログ表示を液晶で再現した「LCアナログ」がキュートなデザイン。好きでしたねぇ。今なら「レトロフューチャー」という言葉で表現できるデザインですが、私が受験生の頃にそんなものはありません。ですから取り敢えず「古いのか新しいのかよく解らん」「それでもなんか格好良い」みたいに解釈していました (*´∀`*)
安価で気兼ねなく使える取り回しの良さもあって、30歳の手前まで「仕事中のオトモ」を任せましたっけ。デスククロックみたいな使い方も何気に便利でしたね。
そもそも「チープカシオ」は簡単に壊れません。壊れないから意外なほど長く使うことになる。電池寿命もスペックシートの3倍は長かった… なんてこともチープカシオならザラにありますしね。その辺り、復刻モデルの「A130WE-1AJF」はどうなんでしょうかね??
あらゆる要素がカッコよくなった気がする!!
オリジナルモデルもダイヤルはこんな感じだったと記憶していますが、ケースデザインを覚えていないんですよね。こんなに複雑な形状だったっけ?? 安っぽいプラメッキだったのは覚えていますが、こんな風に小洒落た「ステップベゼル」だったかしら?? (;´∀`)
記憶の彼方も良いところですが、オリジナルのブレスレットがシャラッシャラだったことは手首が覚えていました(笑)「A130WE-1AJF」も巻き板のようですが… どうなんでしょ?? 写真を見る限りでは巻き板は巻き板でも、成形精度はかなり良くなっている気がします。
液晶も随分と見やすくなったもんだ
オリジナルモデルはこんなにもコントラストっていうか、表示のキレはありませんでしたよ(笑) 今となっては古くなってからのボヤケた液晶の印象しか残っていないのでアレですが、少なくともこんなにパッキリと判読性に優れた代物ではありませんでした。グラフィックとして「数段洗練された」ように見えますね (*´ω`*)
「お洒落アイテム」として定着を果たした『チープカシオ』
私が学生の頃の「チープカシオ(その時代のカシオはほぼ全てがチープでしたが)」は、あまりお洒落に縁のない男女が「必要に迫られて取り敢えず使う時計」の代表格でした。私も同類でしたから、お洒落に目覚めて色気付くまでは「時間が解れば良いのよ」的な理由でチープカシオを着けていました。まさか後年、安いカシオたちが「お洒落アイテム」として持て囃される時代が来るとは…
LCアナログが特徴的な「A130WE-1AJF」も、幅広い服装に合いそうな気がします。幅33.9ミリと小径なこともあって、むしろクラシカルでシブい装いにマッチしそうです。上の写真のようにジレで合わせるのもオツ。あの金欠学生の味方だった「チープカシオ」がお洒落の一部として語られる日が来るなんて… 何だか胸に迫る感慨があります(しみじみ…)
年輩の方には懐かしく、若い方には新鮮なデザインのデジタルウォッチ「A130WE-1AJF」。何だか久しぶりに「購入すべきチープカシオ」に出会った気がします。私の場合はもちろん「懐かしいアイテム」として… ですが (;´∀`)
抑制の効いたシルバーダイヤルが美しい『A130WE-7AJF』
ブラックダイヤルの「A130WE-1AJF」が基本形なのは間違いないところですが、シルバーダイヤルが一層ドレッシーなコチラの「A130WE-7AJF」であれば、女性の装いの「外しアイテム」としても大活躍しそうです。
ケースのシルバー、液晶の青みがかったグレー、それらを繋ぐダイヤルの抑えたシルバーカラー。それら見た目の「ツライチ感」があるため、色要素を散らしたブラックダイヤルよりも袖口を上品に飾ってくれそうな気がします。シックな装いがお好きな方であれば、男女問わずこちらの「A130WE-7AJF」がマストかもしれませんね (*´∀`*)
嫌らしくないゴールドカラーをお探しの方に『A130WEG-9AJF』
本物よりもメッキや蒸着の方が上品であることが多い「腕時計のゴールド」。あくまで私の主観に過ぎませんが、実際「少々チープな方が品がある」ように見えることは多々あります。
例えば、こちらの総ゴールドカラー「A130WEG-9AJF」にしても、これが全部本物のイエローゴールドだったら相当に下品です(汗)
ケースはプラスチック、ブレスレットはゴールドIPのステンレス。この絶妙なチープ感がそのまま「謙虚さ」にも繋がって、何とも罪のない時計に仕上がっています。これならファッションのアクセントに取り入れても嫌らしくなることはないでしょう。 お洒落は「共感されてナンボ」ですからね!!
メカメカしさを前面に出したギミック感が魅力『A130WEGG-1AJF』
ケース、ブレスレットともにダークに仕上げられた「A130WEGG-1AJF」。本シリーズのギミック感を前面に出して使いたい方であれば、こちらのモデルが良いかもしれません。
ケースとブレスレットをバイカラーにしたことで、デザインのコンセプトがより明確なものになっています。ぱっと見のインパクトも「A130WEGG-1AJF」が4種類中で最強です。
ドイツ「ブラウンのプロダクト」を連想させる佇まいも魅力。今の私が買うとしたらコレかなぁ?? (*´∀`*)
チープカシオは独立した「沼」である
チープカシオに関しては、以前こちらの記事でもコッテリと書かせていただきました。お陰さまで多くの方にご愛読していただき、お陰さまで弊サイトの数少ない「ヒット コンテンツ」になりました。
もちろん「チープカシオ」と自虐的にカテゴライズされた時計群が、カシオのラインナップに存在するわけではありません。私たちカシオファンの内から自然発生的に生まれた呼称が「チープカシオ(チプカシ)」であり、その対象は「カシオ クラシック」や「カシオ コレクション」の低価格品… 私自身はそのように解釈しています。
「チープカシオ」は蔑称ではありません。「チープ」はストレートに「安価であること」を表わしており、同時に「ライト感覚」で使える気安さの象徴でもあります。
ダイバーシティーで価値観の両極が広がった現在、同じ腕時計好きであっても「ロレックス」に私財を投じる人がいれば「チープカシオ」のコレクションに意義を見出す人もいる… そしてそれらを両天秤に腕時計を楽しむことが当たり前になってきたと思います。そうして腕時計趣味とコストパフォーマンスを両立させたいと考えたとき、その最右翼にあるのはいつだって「チープカシオ」なのです。
ただ、安いからと言って気楽に手を出すのは考え物。チープカシオも数百万円の高級腕時計と同様にコレクションケースのスロットを消費するのです。現在は2本のチープカシオを所有する私ですが、今よりほんの少しでも「チープカシオへの抑制」を緩めたとしたら、その数が20、30と増えるのに時間はかからないと思います。実際「よほど吟味した上でないと買わない」と肝に銘じているから「たったの2本」で済んでいるのです。
ってなわけで、チープカシオこそが最も深く脱出も困難な「一番厄介な沼」であることを、再度明記しておきたいと思います。「安い=ダメージが軽い」ではないのですよ (;´∀`)
「それでも一向に構わん!!」と仰る方を私は止めません。「チプカシで100万円溶かした」なんて、腕時計趣味で最高の「粋」かもしれませんし(笑)
最後に…「コスパキング」に君臨し続ける『チープカシオ』
今やトレンドに敏感な人たちを先導役に、押しも押されぬ「ファッションアイテム」へとのし上がった「チープカシオ」。ここに来て元々の優秀なデザインやチープな味わいが正当な評価を受けられるようになったのが大きな要因でしょう。そう言う意味では「消費者の成長」と「チープカシオに対する評価」は完全にリンクしています。
何百万円もする高級時計と「チープカシオ」が同じ土俵で語られることは今後もないでしょう。しかし、文化の重要性という価値を計る天秤に乗せたらどうでしょうか?? チープカシオが下支えしてきた時計文化の重要性が、高級時計文化のそれに負けるとは思えませんが… 如何でしょうか??
お洒落に敏感な人たちが着ける「チープカシオ」は、実際、途轍もなく「素敵な逸品」に見えます。そういう意味では「着けるだけで誰にでもクラス感が出る」高級腕時計とは真逆の価値観、「逸品に見えるか、安物に見えるかはアナタ次第」という「装着者のセンスを問い続ける厳しさ」がチープカシオにはあるのかもしれません。知恵を絞って着けこなせば、確実に「良い仕事」をしてくれるのですから、その辺りのチャレンジする気持ちも込みで、楽しんでみて下さい。
隣人からの「え!? それって8000円なの!?」みたいな反応を楽しめるのが「チープカシオ」の良いところ。日々の生活にちょっとした遊びとイタズラ心をプラスできて、尚且つ「滅多に壊れない」わけですから、2020年代の中盤以降も「腕時計コスパキングの座」は「チープカシオ」のもので間違いなさそうです (*´∀`*)
ご意見・ご感想
コメント一覧 (6件)
最近若い人も着用してますよね!
ストリートスナップなんかにも頻繁に写っていますし、
職場の若い人が着けているのをみるとなんか嬉しい気持ちに
なります。
ビンテージチープカシオの世界もあるそうで、いかに
長持ちで耐久力があるかがよくわかります!
チープというには優秀すぎます。笑
Y太さま、コメントありがとうございます♬
そうなんですよ!! チープなのにゴージャスな体験をさせてくれるんです。チプカシって。
初出のイメージを崩さず、オールドファンの「懐かしい」も大切にしてくれるところも素晴らしいです。
問題は買い始めるとあっと言う間に増えるところ(汗)
高級腕時計以上に慎重になる自分がいます(笑)
いつもお返事ありがとうございます!
記事の趣旨と違って恐縮なのですが、
松下庵のGMTウォッチ、スナフキンさんは
ご覧になりましたか?
実機はどんな感じなのかなーと思いまして、、
もし見てたら感想教えてもらえたら幸いです、、
(購入検討中でして、、笑)
Y太さま、松下庵GMTの質問にお答えさせていただきます。
だいぶ前の話ですが「こんなの考えてます!!」というタイミングで実機を見せていただきました。
腕時計のオマージュスタイルをどう受け取って解釈するかによりますが、
不思議なもので、隠しきれない松下庵の熱量みたいなものが感じられて、そこが面白かったですね。
ダイヤル内部の見返しに関しては太いなぁ~と思いましたが、10万円以下で、ベンズの背当て付きストラップが付いているわけです。
ストラップの分を差し引いた時計本体のお値段で考えると、お買い得かもしれません。
ちなみにこのモデルに関して言えば、私は断然「黒ダイヤル派」です(笑)
ご回答ありがとうございます!
実は2月18日に注文してしまいました。。笑
夏のボーナスの前借り。。。ということにしておきます!!
ちょうど10万円以下の仕事で使える時計がほしいな〜と思ってまして
ティソやハミルトン、それこそプレジダスなど色々検討してました!
そのタイミングで公式YouTubeで松下庵GMTの紹介がされて、、
自分はオンラインで腕時計を買うことはほぼなくて、10万円を切るとはいえ、
自分にとっては高価な買い物の部類に入るので悩みましたが、購入に踏み切りました!
スナフキンさんのブログでの紹介やXのお写真の後押しもあったと思います!
松下庵の魅力がビシビシ伝わってきてますので!笑
注文時にメールでお店と何回かやり取りしてまして、丁寧な対応にもう注文して
よかった!という気持ちになっています!
ちなみに白ダイヤルにしました。(笑)
(黒ダイヤルかっこいいんですけど、、白ダイヤルのダイバーズ未所持でしたので!)
Y太さま、白ダイヤルおめでとうございます♪
いいなぁ~ いいなぁ~(*´д`*)
ベンズも本当に着けやすくてキレイで最高ですしね!!
松下さんには「GMTはワシが買わせた」とドヤッておきます!!
なんて悪いオトナ(笑)