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特別な時代の音楽、そして腕時計

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過去の名作(迷作?)腕時計たちの記憶から抜け出せない私。今と比べてあの頃は良かった…とまでは言いませんが、まだ若かった頃に憧れた腕時計に対する思い入れは、今も消えていません。

1990年以降の腕時計年鑑集めが高じて、いつでも「あの時の感動」にタイムスリップできてしまうのも問題です。どんなブランドのどんな新作でも、過去と比べる手段に事欠かないのですから(;´Д`)

先日ふと「歩きで中野ブロードウェイに行ってやろう!!」なんて思い立ち、すぐさま実行しました。中野坂上辺りから歩き始めて、目標はJR中野駅まで「30分で到達すること」。グーグルさんの経路探索で調べたら十分に可能な感じです。いざ、腕時計の魔窟へ!!

実はちょっとだけ後悔しました。意外とキツくて(汗)

それでも、スマホで好きな音楽を聴きながら黙々と歩くことに。BGMは「RHファクター」「トーマス・ドルビー」「Huba」「大野雄二」「電気グルーブ」「東京事変」「METAFIVE」…問題児が何人かいますな(汗)

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良い音楽と良い時計…とも心に刻まれるもの

私にとって、腕時計のはるか以前に「コレクション」の対象だったのが「レコード」そして「CD」。中学で「スティーリー・ダン」「ドゥービー・ブラザーズ」に心酔し、高校ではギターとベースをやりつつ、UKやアシッドジャズにハマりました。今でも全然好きなままです。

若い頃に好きだった音楽を聴くと、一瞬であの頃の時代に気持ちが戻りませんか?失恋の記憶なんかもついでに蘇って、今更なのに胸苦しくなって落ち込んだりもして…(;´Д`)

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歩いて来たので地味な南口から(笑)

さて!!かなり大股で、尚且高速で脚を動かして、何とか時間内で到達。運動不足が祟ってクタクタになってしまいました。休みたい…取り敢えず座りたい。

これまでは、中野に腕時計を見に来たら「ルノアール」に寄るのが定番でしたが、その日は目星を付けたお店が他にありまして。

喫煙カフェ「Pukari」

あれ?っと思われた方は、ウチのブログを継続して読んで下さっている方だと思います。そうなんですよ…ホント情けない話で恐縮なんですが、高らかに宣言したにもかかわらず「禁煙作戦」失敗してます。むしろ喫煙量が増えちゃったので…大失敗です。

半年くらいでしたかねぇ…ニコチンガムとおやつ昆布で我慢できたのは。そこから仕事がキツくなってストレスがたまり…まぁ、最初からお約束だったかのように失敗しました。文字通り元の木阿弥です(´;ω;`)

にしても、喫煙者にとっての東京生活は中々の「ハードモード」です。ホンマにない…マジで吸えるところがない…特に喫茶店!!

大阪でも受動喫煙防止のルールは適用されていましたが「タバコ民のための居場所」みたいなお店も生きていましたから、それほど窮屈を感じずに済んでいました。

ところが、さすがは本丸東京です。特に紙タバコを吸える場所に関しては「壊滅状態」に近いと言えます。

そんな中でも、探せば「レッドデータ」に載せても良いくらいの「貴重な喫茶店」がありまして、私みたいな「ニコチン中毒者」の駆け込み寺みたいになっているのです。

で、先の喫煙カフェ「Pukari」さんです。歩いて歩いて、疲れ切った私の肉体を休めるのにこれほど適した場所があろうか!!って思いまして。絶対に寄ってやろうと馳せ参じたのですが…あれ??開いていませんでした。なして??営業日&営業時間なのに…(;´∀`)

しょうがないので、先に「中野ブロードウェイ」に突貫することにしました。ここは何時来ても香ばしいなぁ…(*´∀`*)

今年は初頭から「見付けたら買う!!」と決めている「分不相応」な一本がありまして、血まなこでアチコチを探しまくっているのですが、この日もやはりというか…出会えませんでした。ちなみにロレックスさんじゃありませんよ??私のおサイフでは今の並行価格でロレックスさんは狙えませんから(;´∀`)

そんな私にとって、ブロードウェイ最大の危険地帯は「ジャックロード」さんの「アンティーク品コーナー」でして。そこはこれまでに、幾度となく危険な目に会ってきた場所なのです。解っていても吸い込まれてしまうとは(笑)

この日、ひと目見て視線が外せなくなってしまったのは、ジャガー・ルクルトの「メモボックス」とレマニア搭載のブライトリング「ナビタイマー」。あぁ、写真撮っておけば良かったなぁ…(;´∀`)

どちらもゴールドのケースでしたが、アンティークなので何の嫌味も無くて…ただひたすら素敵でした。40万円くらいのお品。う~ん…新品を買うのとは「判断の尺度」が全然違いますからねぇ。見付けて「気に入ったら買え!!」が鉄則なんでしょうが…私みたいな「素人に毛が3本」みたいなヤツが、アンティークに手を出して良いのか…悩んで悩んで、結局は私の中の「お気に入り」登録に止めた次第です。

その日も、お店の方と会話する機会が何度かありました。所謂、正規店とは違う種類の「通なお話」を聴くのに「中野ブロードウェイ」ほど適した場所はありません。

この時、やたらとウマが合うというか、価値観の似ているスタッフさんに出会いまして、貴重なお話を幾つか伺うことができました。高騰し過ぎたロレックスさんや雲上のお話もお聴きしましたが、並行品を扱うお店自体も、現状に対して大きな危惧を抱いているように聞こえました(;´Д`)

考えてみれば、販売価格が上がったところで、同時に買取価格も上がっているわけですから。利益自体はそれほど以前と変わらないのかもしれません。

それよりも、行き過ぎた高騰が起こすかもしれない「高級腕時計離れ」の方がヤバい可能性があります。貧しくなった日本で、この先も高級品が珍重されるとは限らないからです。

そんな悲しいお話に混じって、私にとっては楽しい会話もありました。「昔の方が良かったブランド」のお話です。

まず、雲上や主要ブランドの「高級化一辺倒」の姿勢に関して、その方と私の意見は完全に一致しました。現行品と比べると仕上げなど劣る部分は多いものの、高級化とは相容れない種類の「遊び」があって、それが魅力的だったと。

それは私が、昔の腕時計雑誌を見ながら「この頃の時計を新品で買いたい」と思う気持ちと同じでした。決して懐古主義で言ってるわけではないのです。私にしてもその方にしても、自分が使っていたモデルを軸にして現行モデルと比較を行い、その結果はじき出された答えが「これだったら昔のモデルの方が愛せる」だったわけです。

これは理屈ではないのかもしれません。自分と腕時計の間を結びつける歯車が「ピタッ」と噛み合う奇跡のような時代があって、その蜜月とも言える時代に登場した腕時計に対しては、何らかのケミストリーを感じてしまうのでしょう。若い頃に好きだった音楽を聴いて、好きだったあの子を思い出す…そんな感じです(;´∀`)

ちなみにその方と最近の「ゼニス」さんの話をさせてもらった際、ここでも昔のモデルの方が色気がありましたねぇ~という話になりまして。そこで互いに、ほぼ同時に例として口に出したのが「レインボー フライバック」でした。アレは格好良かったですからねぇ…「解る!!」「それ解ります!!」みたいな感じに盛り上がりました。多分、歳も近いんでしょうね(笑)

人間、歳をとるとどんどん臆病になって、新しいものに「思い切って行けない」気持ちが強くなってきます。音楽なんかは顕著な例ですが、映画でも小説でもファッションでも、流行りから間をおいて、ある程度巷の評価が固まってからでないと、手を出せなくなってしまうのです。

そこいくと、自分が若かった頃にもてはやされた時計たちは、例え入手に至らなかったとしても、どこか「オレたちの時計」みたいな特別な感傷を抱かせる存在なのは確かです。

溢れんばかりの感受性を湛えた「自分が最も美しかった時代」に出会った時計こそ、自分にとって「最も美しい時計」である…お若い方にはピンとこないかも知れませんが、これって極々自然なことだと思うんですよね(*´∀`*)

何千、何万回も聴いたはずの名曲、スティーリー・ダンの「Kid Charlemagne」を再生する度に、D.フェイゲンの偏執的な作り込みに感動し、毎回小声で「すげぇ」と唸ってしまう私ですが、自分にとって特別な時代を併走した「ちょい昔の腕時計」たちにも、同じような想い入れを持っています。

後の時代ごとに登場した「新作腕時計」を正当に評価する気持ちは当然持っていますが、新しい物が常に「最高」かと聞かれたら…気持ちや好みの面はもちろん、プロダクトとしての魅力の面に関しても「それはない」と思うんですが…どうでしょうか?

件の「レインボー フライバック」のように、忘れられない過去の案件を手中にする「夢」は、何度でも私の中に蘇ってくることでしょう。そして目出度くも夢が叶った時は、最新モデルを入手した達成感に劣らない「新鮮な感動」があるはずです。

英語の歌詞を暗唱できるほど繰り返し聴いた、あの頃の音楽に未だ感じる喜びのように。

※今日こそは短く書いてやろうと思ってたのに…フツーに3500字を超えてしまいました。いつになったら短くまとめるスキルが身に付くんだろう…(;´∀`)

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