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あと5センチ背が高ければ欲しい腕時計

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ケースサイズが腕時計購入の選択に及ぼす影響は、予想以上に大きいものです。「あと2ミリ小さければ最強なのに!」と歯痒い想いを抱きつつ、惚れたデザインの時計ゆえにグッと堪えて使っている方も少なからずいらっしゃるでしょう。私にも思い当たるフシがあります。本来なら小さめがジャストバランスなのに、どういう訳だか蛇足的に大きめのケースで組まれた時計を見ると特にそう感じますね。

最近の新作腕時計の傾向を見ると、その標準サイズが全体的に1~2ミリは小さくシフトしてきたように思います。幾つかの例はありますが、チューダーの「ブラックベイ」「フィフティエイト」で2ミリ小さくなったのは象徴的でした。「これからはこの辺りが標準サイズになるんやなぁ」と。

幅41ミリサイズだったそれまでの「ブラックベイ」から、デザイン的にはほとんど変えず、サイズだけシュリンクした「フィフティエイト」を見れば、チューダーに注目している多くの方が「これがチューダーの答えか!」と感じたのではないでしょうか。

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ツルツルベゼルのブラックベイの41ミリ

実際に私もチューダーのブティックで「フィフティエイト」の実物を拝見しましたが、そのほんの僅かなシュリンクが獲得した「上品さ」にやられました。と同時に、今後のチューダーの「標準」を担っていくサイズはこれだと思ったのです。

そもそも、所謂バリエーションとしてサイズを増やすだけなら、37ミリ辺りを作ることでキレイな「棲み分け」になったと思います。何なら「プリンス オイスターデイト サブマリーナ」で実績十分のサイズ…もう3ミリ小さくして36ミリを狙っても良かったはず。実際、ツルツルベゼルのブラックベイには「36」が存在するわけですし「41ミリには41ミリの良さがある」とその存在を立てるなら、そのくらいハッキリした「差別化」が必要だったのではないでしょうか?

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36ミリのチューサブ

41ミリが主軸だったところに現れた39ミリは、一見すると「半端な展開」です。ですが「フィフティエイト」の39ミリに関して私見を述べれば、それは単なるサイズバリエーションの拡張などではなく、チューダー内部に起きた「標準サイズの世代交代」にも見えます。

常識的に考えて、一つのシリーズに複数のサイズ展開を行うというのは、腕時計メーカーにとって経営上の相当な負荷になるはずです。万が一、最初から片一方のサイズに人気が集中した場合、中長期的に「不人気サイズ品」の余剰在庫を抱えることになってしまうからです。とはいえ、一旦アナウンスしてしまった以上は、企業として軽々と方針を変えるわけにはいかないでしょう。「戦略どないなっとんねん!」と言われかねませんし、ブランドの沽券にもかかわりますしね。

ましてや「標準サイズ」の模索ともなれば、一朝一夕に答えは見つかりません。チューダーほどの人気ブランドであっても、まるで「悩んでいる」ように私の目には映りました。いずれは兄貴分のロレックスのように絞った布陣で展開するのでしょうが、まだまだ10年くらいは「あーでもない、こーでもない」「ブラックベイ P01」のように試験的な作品を作りながら、自らの「王道」を探すのでしょう。まぁ、今現在のチューダーの魅力って、まさにそういうところだったりしますけどねぇ(*´∀`*)

「標準サイズ」の話になりましたので「標準」を決定するファクターについても書きたいと思います。これには「メーカー側」「ユーザー側」の事情があって、そこに「流行」というモメンタムが少なからず影響します。

まずは「メーカー側」の事情です。

得意とするジャンルにもよりますが、代表的なところでは「ドレス」「ビジネス」「ダイバーズ(スポーツ全般)」などそれぞれに、標準となるケースサイズが設定されていると思います。一流のブランドほどシンプルになる傾向があるように見受けられますが、その理由の一つは「自社製のムーブメントを使っているから」に他ならないでしょう。

自社製の場合、オリジナルに改良を重ねて進化している場合が多く、その途上でムーブメントが何リーニュも一気にデカくなった…なんてことは稀です。ゆえに一度決めたケースサイズで長く時計を作ることになるのですが、エボーシュ使いだとこうはなりません(;´∀`)

また、特徴的な意匠を表現するために、最低限必要なサイズというものもあるでしょう。クロノグラフが得意なメーカーなら、小さすぎると視認性を犠牲にすることにもなりかねません。搭載する機能が要求する最適なサイズというものもあるはずです。

またメーカやブランドが考える「主要購入層」も、少なからずサイズ展開に影響するでしょう。一般常識的には「若い人は大きめの目立つ時計を好む」「年配の人は小さめのシックな時計を好む」と考えられています。どちらに向けた腕時計を作っているかで、その辺りの事情も変わってきます。

私個人的には、こういった事情によって導き出された「必然の大きさ」にこそ、重要な意味があると考えています。つまり、ご都合主義で自由に作れないのが腕時計の「サイズ」であり、その辺りを見ることでそのブランドの「性質」すら見て取れるのです。

で、お次は「ユーザー側」の事情です。ユーザーにとっての「標準サイズ」は当然ながら「自分にとっての最適なサイズ」と同義です。少々乱暴な言い方をすれば、個々人が「丁度良い大きさと思っていれば」それがその人にとって最適な「標準サイズ」ということになるでしょう。

はい、おしまい!…では芸がありませんので、もう少し書かせていただきます。

腕時計のサイズには時節に沿った流行りの波があって「フィフティエイト」の人気も「ちょっと小振りな方がお洒落」という意識が醸成してきた証です。腕時計雑誌が先導して消費者を煽る場合もありますが、そんなことは関係なく、デパートのショーケースを観察するだけでも、ケースサイズを含む「今の時計」の情報が簡単に得られるでしょう。

そこに居並ぶ腕時計たちから気に入った一本を選べば、恐らくそれが「今風の基準をまとった腕時計」になるはずです。

ですので「流行のケースサイズ」関しては、多くの腕時計好きの方が自然と意識されているのではないでしょうか?問題は「それが自分にとって最適なサイズか?」の方です。

当初私は、腕時計のケースサイズに複数の選択肢があった場合「自分の手首の太さ」と相談して決めていました。単純に言えば「手首からはみ出るような時計はみっともない」という考え方です。

今思えばこれには矛盾がありました。「手首の幅」で考えるなら、それは腕時計の縦幅「ラグからラグ」を意識するべきだったからです。ところが私は、腕時計のケース横幅のみを意識して「この時計なら39ミリがベストだな!」などと、根拠のない答えを出していました。勘違いもいいところです(;´∀`)

さらに言えば「手首の太さを指標にする」というのも間違っています。全く関係ないとは言いませんが、体型との関連で言えばもっと大切な条件があるからです。

それが「体格」です。

先に結論を述べてしまうと、腕時計に限らず衣類や宝飾、バッグや靴…それら人間が身に着ける全てのモノに関しての「似合う似合わない」で言えば、圧倒的に「高身長が有利」です。スラッとした高身長なら言うまでもありませんが、多少お肉が付いていても高身長の有利性はあると思います。モデルさんの身長が高くなければいけない理由はこれです。

下世話な週刊誌を読むと芸能人のプライベート時のコーディネートを評して「服に着られている」「帽子が歩いている」などと散々にこき下ろす記事が載ってたりします。そもそもプライベートの写真を無断で撮るなんて「盗撮やんか!」と思いますし、それを褒めそやすならまだしも悪口として書くなんて(;´Д`)

しかも、私が思うにそのほとんどは「身長」に誘因するものだったりするのです。だけどそれって本人にはどうしようもないことじゃないですか?ロングコートが似合わないとしても、好きで着ているのだからメディアがあーだこーだ口を挟む問題じゃありません。余計なお世話ってヤツです。

ただ、第三者が見たときの「似合う似合わない」は残念ながら存在します。例えば普段からよく見知った人を偶然遠くから見かけた際、いつもと印象が違って見えることってありませんか?あれは普段一つの視野に収めることのないパーツの情報が、全身イメージという「設計図」を得て脳内で繋がったがゆえに起こる反応だと思います。実際のところそれが正確な「その人の姿」なんですよね。

私が腕時計を品定めする際に必ず鏡を出してもらって自分の姿を写すのは、腕時計を含めた全身は見れないにしても、上半身くらいは見ておこうというせめてもの抵抗なのです。これをさせてもらえない腕時計屋さんではまず購入しません。お客さんファーストの意識が薄いお店の証明ですから。

全身を意識して腕時計を選ぶと言っても、実際には難しいところもあります。しかし、手首に巻いて「うわ!大きい!」と感じた時計でも、身長などのファクターを考慮すれば、案外「ジャストフィット」だったりすることを忘れないで下さい。

流行りのサイズ感も所詮はただの目安。雑誌やSNSで「他人の意見を知る」ことも重要ですが、それよりも「己を知る」方が何倍も大切です。そうすれば、高価なお買い物で失敗してしまう確率も大幅に下がることでしょう。

私自身、絶対に無理だと解っていても「もう少し背が高ければなぁ」と思うことがあります。玉川カルテット風に言えば「金も要らなきゃ~女も要らぬ。私ゃも少し~背が欲しい♫」の心境です。

腕時計に限っても、やはり高身長の方が「似合う腕時計が多い」のです。大きい時計を無理なく着けこなせるでしょうし、小さい時計を本来の意味で「小さい時計として」キレイに使っている人もいらっしゃいます。適応の幅が広いんですね。羨ましい…

スイスの高級時計を例にすれば、そのサイズ感は欧州人の体格からはじき出された大きさでしょう。例えばスイス人男性の平均身長は「182.9センチ」です(でけぇ!!)日本人の平均より丁度10センチ高いことになります。その辺の体格の人に合わせて最適に設計されたプロダクトが、小柄な日本人にそのまま当てはまるはずがないのです。つまり、我々日本人の…スイス製高級時計がお好きな方の多くは「ちょっとだけ無理をして大きめの腕時計を使っている」ことになるでしょうか。もちろん「解って」使っている人も沢山いらっしゃるでしょう。「好きなんやからほっとけや!」まさにその通りです。私だって他人さまから面と向かって「その体格でその時計はないやろ!」とか言われたら、そんな意見は断固無視します(;´Д`)

ただ、似合う似合わないに関しては「他者の目線」こそが答えなのは確かです。私の身長は175センチですので、余りに大きな時計は「似合っていない」という自覚があります。お店で店員さんに指摘されたり、友人に諭されたり…「ハッ!」と思わされる瞬間も多々ありました。それは少なからずヘコむ瞬間です。安くはないお買い物ですから、できればそういう失敗とは無縁でいたいですよね。

ジャック・ハンマー(漫画「刃牙シリーズ」に登場)みたいに骨延長手術でもしない限り、私の身長はスイス人平均に遠く及びません。ですが、オーバーサイズのガツンとくる腕時計を見て「あと5センチ背が高ければ絶対買うのに!」と思うことは幾度もありました。小さい時計も好きですが、大きい時計も好きなのです。

そこで!!…まぁ絶対にあり得ないのですが…もしも「あと5センチ身長が伸びたら私にも似合うはず」のデカい腕時計を数本、上げていきたいと思います。デザイン的にはミドルエイジ以上の人の「冒険心を満たす」感じのものをチョイス。180センチ以上の体格を誇る方には余裕で似合う腕時計たちです。私の無念を晴らすためにも…お願いします!!(何を?)

IWC『ビッグ・パイロット・ウォッチ ラスベガス』(IW501014)

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出典:https://www.iwc.com/jp/ja/

幅46.2ミリ、厚さ15.6ミリの威容。軟鉄製のインナーケースで高い耐磁性を持ち、キャリバー52110はパワーリザーブが7日間。ベゼルが細いため余計に大きく見えるダイアルが最強の視認性です。どデカいリューズは間違いなく巻きやすいでしょうし、これらの特徴から、むしろ「じーさんになってから使うべきパイロットウォッチ」かもしれないなぁ~と考えています。これ以上老眼が進むと、腕時計の方をデカくするしかないですもん(;´∀`)

このモデルではありませんが、デパートで試着済みです。確かに…確かに大きい。だけど仕上げも美しく、所有欲は最高に満たしてくれそうでした。どことなく「アメリカン・ロック」なテイストを感じて、バイク乗りとかにも似合いそう。ジャック・ハンマーなら間違いなく似合います。

Bell&Ross『BR 01-92 HERITAGE』

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出典:https://www.bellross.com/ja/

「BR03」が主力になってしまったベル&ロス。現在の公式を見ると「BR01」はほとんど死滅状態です。確かに…角型のケース「カレ」でありながら幅が46ミリもありますからね。ラウンドと比べたら余計にデカさを感じて使えるシーンも限定されるでしょう。実際、私が「BR03 ダイバー」を買う前に試着した「01」はとんでもないデカさでした。手首の上に「かまぼこ板」…まさにこれです(;´∀`)

ですが、ベル&ロスを一流に押し上げたきっかけは「BR01」なのです。戦闘機のコクピットから引っ剥がしてきたような「計器」。それが二人のフランス人創設者のエスプリでソフィスケートされ「見たこともないような腕時計」となって、世界中の人を魅了したのです。そんな名機も、もしかしたらこのまま消滅するかもしれないのです。買っておかないと後悔しそうな気もします。

PANERAI『ラジオミール』(PAM00932)

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出典:https://www.panerai.com/jp/ja/

今使っている「ブラックシール」が幅45ミリ。そこからさらに2ミリ大きい47ミリのラジオミールです。ブラックシールでも充分デカいですから間違いなくデカいでしょう。しかし何というか…格好いい。そしてこの色気(*´∀`*)

ラジオミールのポリッシュされたケースにラバーベルトは珍しくて新鮮です。果たして2ミリの差がどれくらい大きく感じさせるか…そこで思い出すのは以前所有していた「サブマーシブル」の47ミリ。強烈にデカい印象が強くて手放してしまったのですが、あれにしたところで、もう少し私自身が大きければ、何の違和感もなく着けこなせていたはずです。この「PAM00932」だってきっと。

GRAHAM『クロノファイター GRAND VINTAGE』(2CVDS.B29A)

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出典:https://graham-watches.jp/

使ってみないと解らないことですが、クロノファイターは異形ながらもしっかりとした作られた腕時計です。リューズガードを兼ねたトリガーシステムが特徴的ですが、これがねぇ…ギミック感満点で良いんですよ。ロボットアニメが好きな男の子なら絶対に好きなはず(*´∀`*)

その巨大なトリガーを備え、さらに47ミリのケース幅。こりゃあ「着ける」っていうよりも「装備する」ですね。きっと。

スチームパンクなセンスがどこかむず痒いグラハムの時計ですが、前述した通り作りはホントに真面目。実物を見れば「あぁ、こりゃあ高級時計だわ!」と納得すること請け合いです。いやもう、休日専用に買っちゃうか!?

ということで、46ミリ以上のケース幅を持つ腕時計で、今現在も公式にラインアップされている物を集めてみました。全て私が所有して使っているブランドからです。

すでにお解りでしょうが、デカいということはとにかく「視認性が良い」のです。老眼世代に入ると小さい時計は読むのに時間がかかるようになります。文字盤や針に目のピントが合わなくてねぇ…(ヨボヨボ)

しかし、これだけデカい時計だとその心配はないでしょう。特に私は視力が弱いのでこれは重要なポイントです。若い時とは違う意味合いで、デカい時計にはこの先も需要があるのです(;´∀`)

今回は私の体格的には間違いなく「不釣り合いな時計」たちですが「デカいのがカッコいい」を体現したモデルを集めたつもりです。

デカい時計は今のところ流行っているとは言えませんから、購入を躊躇する方も多いでしょう。しかし、流行よりも「自分に似合うこと」或いは「自分を格好良く見せてくれること」を条件に目線を変えれば、デカい時計も自然と視野に入ってくるかもしれません。その際に「体格」というファクターを考慮してもらえたら、かなり正解に近い一本を手にすることができると思います(*´∇`*)

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