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腕時計業界の中核をなす「12ブランド」(後編)

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「12色の色鉛筆セット」に準えて、腕時計業界の「特別な12ブランド」の話を書きました。今回はその「後編」でございます。

そう言えば、この話を書くにあたっていろんなメーカーの色鉛筆を調べました。どこのメーカーさんも大体似たりよったりのセレクションでしたが、「白色」が入っているかどうかで差別化できるようです。上手に使えばプロっぽい表現にも使える「白色」ですが、ほとんどの子どもは使わないんじゃないでしょうか?

まず、塗っても塗ってもツルツル滑って色がのらない。使って一番最初に「なんじゃこりゃ!?使えねぇ!!」って放り出す色だと思います(汗)

そもそも、たった12色しかないうちの1色ですから、かなり貴重なポジションだと思うのですが…こういう事情って、メーカーの中の人に聞いたら面白い話になりそうな気がしますね。

さて、本日は「業界最重要の12ブランド」のうち、「7から12」までの6ブランドを決めていきます。前回からの繋がりで言えば、ロレックスの次…ということになります。ここいらからが独断と偏見てんこ盛りのリストになりそうな予感がするなぁ~(;´∀`)

⑦SEIKO

 その昔、クオーツショック(セイコーショックとも)で欧州の時計産業を叩きのめした「セイコー」。ぶっちゃけ1から6のブランドと比べれば高級腕時計ブランドとしての価値は見劣りしますが、すべてのラインアップから伺える「広さと深さ」「実質世界一の腕時計メゾン」と呼んで差し支えないと思います。まるで世界中のあらゆる立場の人に向けて、正確な時計を提供する神命を帯びているかのようです。

セイコーさんの凄さは、一番下の低価格ラインから一番上の高級ラインまで、ソツのないピースが揃っているところにあると思います。安いからって手を抜かない。高いからって一部の人のための戯れのような時計は作らない。実のところこの守備範囲の広さがブランド価値の熟成を妨げているような気がしますが…セイコーさんくらいじゃないでしょうか、一つのブランドで腕時計の魅力のすべてを味わい尽くせるブランドは。

ただ、安い時計に妥協のない品質を与えちゃうと高級路線の立場がなくなっちゃいますよ~と、セイコーの中の人に伝えたいですね(汗)心配なのはそれくらいです。

SEIKO セイコー PRESAGE プレザージュSARD007 6R24 【正規販売店】

⑧OMEGA

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 オメガも随分と高価なラインアップになってしまいましたねぇ(;´∀`)今は亡きうちの父はオメガの大ファンでしたから、実家のマントルピース(風)のサイドボードの上には、オメガのコレクションがメガネや万年筆と一緒に無造作に置いてありました。ってなわけで、私にとっては幼少時から記憶に刻み込まれた、馴染みのブランドなのです。

オメガに対して「やっぱり大したもんだ」と感じるのは、ひと目でオメガと分かる「ギリギリの個性」を大切に守っているところでしょうか。決して強烈な個性で売るブランドではありませんし、油断すると埋没しそうになる微妙な味わいを守るのは難しいことだと思います。特に売れない時期にはその時々の売れ筋に舵を切りたくなるのが人情ってものですが、オメガさんはその葛藤をグッと堪えてきました。自分たちの価値ってものを良く解っている成熟したブランドです。

ただ、悪く言えば「地味」に属する時計が多いのも事実。最近はライバル(?)のロレックスに価格で追いついてしまいそうな分、買わせる「魔性的な魅力」を問われているような気がします。1990年代辺りのモデルに充満していた「色気」が今風になって戻ってくれば、一山も二山もイケると思うんですけどねぇ。

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⑨JaegerLeCoultre

 この辺りからですね。私の趣味がジワリと出てくるのは(笑)ってなワケで9番目には「ジャガー・ルクルト」を持ってきました。私自身はレベルソのグランスポールを所持していたことがあります。レベルソとしては珍しい自動巻き搭載。そしてステンレスブレス仕様。邪道ですね、レベルソ的には(汗)

今の心境としては「マスター・コントロール」が欲しいところです。なんの変哲もない…見ようによってはオリエントのバンビーノと余り変わらないルックスですが、生涯手元に置いておくことを考えれば、後悔しない選択の一つだと思います。

ルクルトブランドの印象はとにかく「楚々として上品」。スポーツモデルの「ポラリス」でさえ、謙虚さを忘れていません。私も試したことがありますが、繊細でしなやかなデザインは「紳士のスポーツモデル」と呼ぶに相応しいものでした。現役を退いて競争しなくてもよい身分に落ち着いたら、一本は欲しいブランドです。

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⑩PANERAI

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 ご存知デカアツブームの仕掛け人「パネライ」。ブームの絶頂期にはロレックス以上に持て囃されていましたっけ。何だか遠い昔のように懐かしさすら感じます(汗)

しかし、東西の腕時計業界を見渡して解るのは、現在でもパネライのオリジナリティーには何ら変わるところがないという事実です。その様子には私も一腕時計愛好家として少なからず安堵しています。例えば「パネライのくせに薄っ!」と感じた「ルミノール ドゥエ」にしたところで、大きいものは幅45ミリもあるワケです。それなのに「小さいなぁ…(頼りないなぁ)」とか「時節に日和りやがって!」とか思っちゃうのですから「デカアツ宗家」の毒気たるや(汗)

一度でも世界的なブームを牽引したブランドの底力と申しますか、基本的にはたった二種類「ルミノール」「ラジオミール」しか存在しないラインアップで、あれほどの分厚い布陣を作れるのは大したものです。パネライというブランドが根強いファンに支えられているのには、その辺りの迷いを振り切った潔さが共感を得ているからかもしれません。惑わずの姿勢は「これぞ漢!」って感じでしょうかね。

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⑪CARTIER

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 ジュエラーブランドの時計ってヤツに抵抗を感じる腕時計愛好家は少なくありません。私も未だに多少の抵抗はあったりします。しかし、「カルティエ」など、フランスのブランドにはそもそもジュエリーと時計との垣根がなかったりします。フランスのジュエラーからすると、腕時計もジュエリーのジャンルの一つに過ぎないのでしょう。職人さんからすれば、ジュエリーに彫金の腕を振るうのも、時計のために精巧な歯車を削り出すのも、仕事としては大差ないのかも知れません。

カルティエさんも「腕時計だから!」と肩肘を張ることなく、ジュエリーの軽やかな感覚そのままに素敵な腕時計を発表し続けています。近年は特に男性用に力を入れてますね。こりゃあお洒落男子が増えるわけだ(〃ω〃)

特に完全自社製ムーブメント「カリブルドゥカルティエ」を載せるようになってからは、筋金入りの腕時計好きからも無視できないメゾンになりつつあります。元々の洗練されたブランドイメージに高い技術が存在するとなれば鬼に金棒ですな。ここ数年のラインアップの充実ぶりからは目が離せません。

そういえば先日、映画「アンタッチャブル(The Untouchables)を見ました。ケビン・コスナー扮するエリオット・ネス捜査官がとっても小ぶりのレクタン型腕時計を身に着けていました。それがあなた!格好良いのなんの!私が「タンク・ソロ」みたいな時計が一本欲しいなぁ~と思っても仕方ないことですよね?

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⑫Girard Perregaux

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 最後の12番目ですが「ジラール・ペルゴ」を選んでみました。以前、大阪ミナミのとある高級腕時計専門店のオーナーさんと長話をした際に、如何にジラール・ペルゴの時計が素晴らしいか…という熱のこもったご高説を賜りました。

世界で4番目に古い歴史を持ち、自社製キャリバーを他社に供給できる技術力を持つ素晴らしいメゾンです。しかし、日本での知名度はなぜかイマイチ。いやまぁ実際のところ、日本人の好きそうなデザインの時計だって結構あるんですよ、コレが。レディース時計もメッチャ素敵ですから、本来なら「奥さんや彼女の支持」というカタチでブワッと火がついてもおかしくないブランドなのです。一番最初に日本に輸入されたスイスの時計というプレミアムな歴史も持ってますし、もっとメディアから推されて良いブランドだと思うんですけどねぇ…

個人的には所見で「Perregaux」という綴が「ペルゴ」と読めないってのが、日本人的には痛かった…と思っています。代理店が最初に「ジラルド・ペルレガウックス」って読ませてたらどうなってたか(笑)

古いスイスブランドの例にもれず、ジラール・ペルゴもクオーツショックで叩きのめされましたが、フェラーリを始めとした各種ブランドライセンスで箔をつけ直して復活しました。その頃に作られたフェラーリウォッチには未だに色褪せない色気があります。世界のフェラーリすら負けないブランドの底力がジラール・ペルゴにはあるのです。あ、そうだ!ロレアート欲しいです。未だに引きずってます(笑)

ジラール・ペルゴ GIRARD PERREGAUX ロレアート クロノグラフ 38mm 81040-11-431-11A 新品 時計 メンズ

以上、前後編合わせて「12のブランド」を自説他説ないまぜで選んでみました。こうして見たときに、この錚々たるブランドの並びに入った「セイコー」に誇りを感じませんか?もちろん、私が日本人だからといった身贔屓ゆえではありません。腕時計好きとしてここにセイコーが入らないなんてことは、どう考えても「不自然」なのです。

この前後編企画で取り上げたブランドの中で「7から12」に関しては業界に与えた歴史的インパクトに重点を置いて選びました。何に衝撃を受けたか自体、情報を受け取る個人の感覚に左右されがちですが、セイコーなら「クオーツから始まる精度向上の急加速化」、パネライなら「腕時計のサイズに関する常識の更新」といった爪痕は、今後も色褪せることのない偉業だと思います。

私は歴史に「おんぶにだっこ」なブランドの作る時計には興味がありません。それなら野心的なマイクロブランドの作る「これからな時計」の方がよほどの興味を掻き立てられます。

数年後、私がここで挙げた「12ブランド」の中にも、そういった「超新興ブランド」が加わる可能性もゼロではないでしょう。それこそが腕時計業界のダイナミズムでしょうし、危機感に煽られた中核のブランドの踏ん張りも見ものです。何れにせよ、腕時計業界が「緩やかな死」を享受するつもりがないのであれば、この「玉座」は流動的であってほしいと思います。そんなことを言う私もせいぜい頭を柔らかくして、変化を受け入れる準備をしませんと(;´∀`)

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