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愛と悲しみの「トリプルカレンダー」再び

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 今回は私が以前に使っていたオメガのスピードマスター「トリプルカレンダー」の話をしましょう。腕時計好きとしては誠にお粗末、トホホな話で恐縮なのですが…

 

さてここに、

一本のSSブレスがございます。

 

  これはオメガの「スピードマスター トリプルカレンダー(Ref.3523.30)」に付いていたブレスでございます。

 ちなみに今はブレスだけが手元にあります。時計本体はどこにも存在しないのです。売り捌いたり人手に渡したりしたわけではありません。

 まぁそもそも、腕時計を売るなら普通はブレスも込みですよね?

 

どうしてこんなことになっちゃったのか…

その顛末はこんな感じです。

 

 私が「スピードマスター トリプルカレンダー」を買ったのは2002年辺りでしたか…冠婚葬祭に使える地味な時計(といいつつポインターデイトのクロノというややこしい時計ですが…)として白羽の矢を立てました。ハンドやインダイアルの縁取りなど、細かい部分までシルバーでキチッと統一されたダイアルは、複雑な意匠の割に思いの外落ち着いた印象でした。

 この頃は今ほど「腕時計愛」も高くなく、折角のスピマスも随分ぞんざいな使われ方をしていたと思います。そもそも「モノを大切にする」という意識が低過ぎた…ぶつけようが擦ろうがお構いなし。掃除なんて一度もしてやらなかったっけ(´;ω;`)

 当然、腕時計の美しい姿を写真に残しておこう…なんていう殊勝な気持ちも持ち合わせていない頃の話です。

 

 愛情に飢えたトリプルカレンダーは、尋常じゃないレベルで汚れていきました。白いシャツの袖口を黒々と汚すほどです(あまりにシャツが汚れるので、自分の分泌異常を疑いました)

 今は手持ちの腕時計たちを「お宝」として大切に大切に扱う私ですが、その当時は外した腕時計を「ペン立てに縦に突っ込む」みたいなありえない保管(?)の仕方でした。トリプルカレンダー以外にも…モナコもそんな扱いでしたっけ(~_~;)

 

今の私が見たら、

反省するまで卍固めです。

 

 私の腕時計への興味は大きく分けて3つの時代に区別されるのですが、この「トリプルカレンダー」はその中の「第2期」にあたる時期に買ったということになります。程なくして私の中の腕時計への興味は一旦萎み、数年の「無欲の時代」を経て現在の「人生で一番腕時計が好き」な時代へと至ります。そうなんですよ。決して継続して「腕時計を買いまくっていた」ワケではないのです(;´∀`)

 

 

 

 それはそれは酷い扱いを受けていた「トリプルカレンダー」。積年の汚れは拭き掃除くらいでどうにかなるレベルではなくなっていました。現在ほどメンテナンスに関する知識もテクニックも持ち合わせていなかった私は、観念してオーバーホールに出すことに。もちろん完璧にクリーニングされたそれは見違えるように美しくなりましたが、ぞんざいな扱いで付いてしまった傷や打痕が消えるわけではありません。

  それから数年、再び燃え上がってきた腕時計への興味とともに「トリプルカレンダー」のことを思い出した私は、折角なのでキチンと管理してコレクションに加えようと考えました。腐っても「世界のオメガ」ですからね!

 

 ところが久しぶりに箱から取り出して(一応箱に収納する知恵が付きました)よくよくその状態を見てみるとこれが酷い。クロノグラフとはいえ、元々のコンセプトがかなり「ドレスチック」な時計でしたから、ワイルドに付きすぎた「傷」「傷」「傷」は見るに耐えなかったのです。

 この時ふと「ブレスを外してカジュアルなベルトに換えたら案外気にならなくなるんじゃね?」と思ったのが運の尽き。何でもかんでもNATO化してしまうのは私の悪い癖(?)ですが、この時はこの浅はかな行為が文字通り「命取り」になったのです。

 

 ちなみにこの時の「ブレスを外す行為」以降の記憶がハッキリしません。この時漠然と思ったのは「折角だしラグの汚れも掃除しよう!」だったと思います。

 掃除をしたのかしなかったのかも曖昧なのですが…その後です。ブレスを外して本体だけになった「トリプルカレンダー」を何処にやったのかがどうしても思い出せない。

 

 何となくですが…一応の気を遣って「柔らかい入れ物」に一時的に保管しようと考えたような気がします。ワックスを染み込ませたステンレス専用のクロスを使って、可能な限り小傷を消そうとか…そんな風に計画していたようなおぼろげな記憶もあります。

 で、どこに「一時保管したか」なのですが…これがさっぱり思い出せない(;´Д`)

 ジャケットのポケットに入れたような気もするし、フェイスタオルに包んでどこかに投げ入れたような気もする。その当時大切にしていた「クロムハーツ」の指輪やブレスと一緒の場所にあるのでは?と考えて一心不乱に探すも…影すら見えず(´;ω;`)

 もう「魔空空間」に引きずり込まれたと諦めるしかないのでしょう。あ、「魔空空間」をご存じない方は「宇宙刑事ギャバン」でググってみてください。「そりゃあ諦めなしゃーないわ~」と思っていただけるかと。

 

 

 

 これはあくまで推測の域を出ませんが、同じタイミングで私は「財布を新調」しました。ボロボロだった二つ折りのカーフ財布をカーボン調のラウンドジップ長財布に変えたのです。当然、古い方の二つ折りはゴミ袋に「ポイッ」です。

 もしかしたら…捨てる予定の古い革の財布に「これなら傷も付かないし、時計の保管にピッタリ!」と考えて「トリプルカレンダー」を仕舞い込んだんじゃなかろうか?そして、そのこと自体を忘れて燃えないゴミの日にでも「ポイッ」しちゃったんじゃなかろうか?

 

 ゴミ収集車の圧縮板にプレスされて粉々に粉砕されたかもしれない「トリプルカレンダー」のことを思うと心が痛みます。運良く作業員さんにでも見つかって愛用されてれば救いもありますが…お釈迦なんだろうなぁ( ;∀;)

 

 現在、腕時計をこよなく愛する男を標榜する私としては、自分史上、最も冷酷に接した腕時計として「オメガ スピードマスター トリプルカレンダー」のことを忘れることはできませんでした。Rest in Peace…

 

 しかし…そういう「一念」は通じるものなんでしょうか?

 本日、私の手元に「別のトリプルカレンダー」がやってきたのです。

 

 数日前、私としては珍しい早朝勤務で出社したときのことです。この日は正午までが比較的ヒマでして、何もしない時間が苦手な私は所在もなく、ただボケ~っとスマートフォンを眺めていました。やがて時刻が午前11時に迫る頃、とある通知がスマホにポップアップされました。

 それは私が某腕時計オークションサイトで「お気に入り」として登録していた時計の入札締め切りが迫ってますよ?というお知らせでした。

 最近、同サイトでは「負け続け」の私の勝率的にはあまり期待できない案件でしたが、その時はちょっとした遊び心で入札してみました。例え競っても上乗せする気はなかったですし「負けて上等!」ってな心境でした。

 

 まぁしかし、そういう「無欲の時」はすんなり勝てちゃう(;´∀`)

 そうして落札できたのが、懐かしの…

「スピードマスターマーク40コスモス」

 

スピードマスターマーク40コスモス

 いやぁ~本当にお懐かしい!何だか「青春のクロノグラフ」って感じです。しかし、どうしても「今」欲しかったのかと聞かれれば…

 

「う~ん…どうだろ?」(;´∀`)

 

 そして私は、落札してから時計の詳細を調べる中で気が付いたのです。「あ!これトリプルカレンダーやないか!」と。つまり、「トリプルカレンダー」を求めて落札したわけではなかったのです。

 ほぼ無意識に落札したトリプルカレンダーの「スピードマスターマーク40コスモス」ですが、手元でまじまじと見るにつけ、以前の記憶が蘇ってくるのを感じます。そうそうこのカレンダー、合わせるのがメチャクチャ面倒だったんだ!(笑)

 

 

 

スピードマスターマーク40コスモス

 あっ…クロノ針のゼロポジがズレてる…

 クロノグラフの剣ズレって、普段動かさない分、余計に気になりますよね(汗)美観にもモロに影響するし…剣ズレはちゃんと告知して欲しかったなぁ~(´;ω;`)

 まぁ、ハンドやインデックスはミント並にキレイなので今回は我慢することにします。こういうハズレ(ダメなところ)も許せる(ムダに)広い心がないと、オークションは楽しめません。失敗も含めての「お遊び」ですので。

 

スピードマスターマーク40コスモス

 このラグとエンドピースの位置関係(笑)

 そうかぁ~こんなんだったなぁ~と懐かしく思えるデザインバランス。ラグが内側に強引なアールを描いて、エンドピースに流れるように収ま…収まってない!(笑)

 なんだかサードパーティーの製品を強引にカマせたみたいな見た目ですが、じ~っと見てると「これはこれで…」とか思えてくるから怖いですね(;´∀`)

 

スピードマスターマーク40コスモス

 思い出した!素の「トリプルカレンダー」のサイドビューもこんな感じだった!

 クラシカルで普遍性を感じるデザインだと思います。それほど古いわけではない2000年辺りの時計ですが、アンティークと呼んでも差し支えない雰囲気。風防が僅かにドーム型なのもポイントが高いです!

 アンティークのクロノだと考えると許せる範囲がガバっと広くなります。特に傷に関しては「むしろ勲章!」とさえ(〃∇〃)

 39ミリ幅のケースは大きすぎず小さすぎずといった感じで、全体的に隙きのないオールラウンダーな時計だと思います。現行品だと「レーシング」のアウトラインが一番近いかもしれませんね。

 

 

スピードマスターマーク40コスモス

 手首に乗っけてみました。何だろう…10年ぶりに会った親戚のオジサンから「子供の頃のあだ名で呼ばれる」みたいなくすぐったさは(笑)

 とは言え、身に着けるとさすがの格好良さ。ホント絶妙なサイズ感ですね。外観のコンディションはお世辞にも良好とはいえませんが、ダイアル周りの状態がかなり良いので、自分で外装仕上げを施せば、もう一旗上げられるかもしれません。

 特に今後に期待したいのは「ベゼルの退色」。私が所有するチュードルのサブのようにベゼルが青っぽく退色してくれれば、より一層渋くなりそうな気がします。

 

 

 ゆる~い感じで落札したとは言えそこそこのお金を払いました。折角ですので普段遣いのローテに入れてガシガシ使おうと思います。とりあえずは近々「お約束」のNATO化を施すことになるでしょう(笑)

 デ・ヴィルにすらNATOを着せた私からすれば、最早これは「運命(さだめ)。現行のスピマスには出せないこの枯れた感じ…間違いなくNATOが似合うはずです。ふふふ~楽しみだなぁ~(*´∀`*)

 

 でもそうすると…同じブレスが2本余るのか。何かアホみたいだけど…どうしよ?(汗)

 

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