腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

「アイコン オートマティック 39mm(AI6007-SS002-430-1)」への関心の高さよ

「モーリス・ラクロア アイコン オートマティック 39ミリ(AI6007-SS002-430-1)を手に入れて10日が過ぎました。その間に2度ほど装着。買ったばかりで嬉しいというのもあり、私としては高い頻度での使用です。


 

 その時々でインスタグラムにリストショットをポストしていますが、モーリス・ラクロアの、特にアイコン愛好家の方からの接触が何度もありました。日本人だけでなく海外の方からのコメントも頂戴しています。たった2度のポストでこの反応。アイコンへの関心の高さの現れではないでしょうか?

 

 

やはり「価格を超えた満足」を提供してくれるモノに対する渇望は、どのようなアイテムであっても強いのだと感じます。過剰に大げさな広告で「その部分」をアピールしてくる商材は多くあります。しかしながら、誰もが納得する形で「価格を超えた満足」を与えてくれるようなことは、現実としては稀有なことです。

 

その世知辛い「現実」の中で、この「モーリス・ラクロア アイコン オートマティック」は異端です。一個人としては多めの個体を所有して、それなりの「センサー」を育ててきたつもりの私でも、この「アイコン」にかかると…どうもおかしい。視覚にしろ触覚にしろ、とても20万円の時計には思えないのです。

 

私の中では「100万円以上からが高級」という腕時計の価格帯分けがあります。ちょうど切りの良い価格でそんなことを言うものだからテキトーな意見に思えるかも知れません。しかしこれは、アチコチのブランド、アチコチのブティックで買えもしない100万円オーバーの時計を左手首に乗せ続けた際の(迷惑な)体験主義的な結論です。曰く「100万超えると、何か(大事な部分が)が一段上がる」

 

アイコンを手に入れて使ってみて、近くから見たり遠くに見たり、アイコンの数倍の定価の時計たちと並べてみたりしながら感じたことは、圧倒的な「クラス感」でした。頭ではちゃんと理解していても、身体がアイコンという時計を「高級時計」として認識しているのです。100万超えの高級時計を触った際の高揚感を身体が覚えていて、その幸福をアイコンが再現しているとしか思えません。

 

エライもん作りましたね。モーリス・ラクロア( ゚д゚)

 

思考と触覚にズレを生じさせる恐ろしい時計です。あえて言えばブレスレットが秀逸ですが、ケースも宝飾品なみですし、ML115ムーブメントも元が何かと悪名高いSellita SW200系とは思えない精度で動いています。姿勢差もかなり小さめです。しかし、そんな部分的なことではなく、このアイコンに関して言えば、存在としての完成度が異様に高いのです。

 

しかし、しかしです。幅42mmのままだったら、ここまでは思ってはいなかったかも知れません。「3mm」その「たった3mm」でアイコン オートマティックは一つの完成を見たのだと思います。これは非常にまれな現象だと思っています。というのはプロダクトデザイナーという人種は最初から「完成」を目指して意匠を考えるわけです。マーケットからのフィードバックで何らかの要素が追加、或いは削除された場合、その結果はどちらに転んでも「枝葉」です。過去には多くのブランドから数多の名作が生まれましたが、更新された製品が「オリジナル以上のオリジナリティーを発揮して、オリジナルを超えた例を私は知りません。

 

僅かなサイズダウンと言えど、そのことは同じだと思っていました。私が所有するIWCパイロットウォッチは「マーク18」を元にしたサイズダウン製品です。私としては甚く気に入っているものの、本家のマーク18を食う存在かと言われれば「違う」と思います。言い方は悪いのですが「所詮は亜流」です。

 

ところが「アイコン39mm」の印象は、「ようやく完成したか!」みたいな感じなのです。特にベゼルとダイアルのバランスが最適化されて、アイコン42mmに僅かに存在した野暮ったさが消し飛んでいます。サイズダウンでここまで印象が変わった時計も本当に珍しいのではないでしょうか。あえて例えるなら…2クラスほど上の時計に見える感じです。

 

先日、インスタを通じて海外の方から質問がありました。「あなたはアイコン39mmを使っているけど、リストのサイズはどのくらいなの?」

 

とりあえずインチでお答えしましたが、そこからさらに直接のメッセージを頂きました。そこで感じたのは「本気度」。サイズで絶対に失敗したくないという強い意志を感じました。なので私も、可能な限り個人的な感想も交えてお話させていただくことに。

 

実は私、腕時計のケースサイズ選択に、手首のサイズはあまり関係がないと思っています。これも体験主義的に得た感覚でしかありませんが、自分に合う時計のケースサイズ(幅[リューズは除く])を知る一番重要なファクターは「身長」だと思っています。これには絶対の自信があります。

 

その海外の方(お国は存じませんが)は私よりも10センチ高い185センチという高身長でした。手首のサイズは18センチ。その方、「自分には42mmの方が合うのは解っている。でも大きな時計はもう飽きちゃったんだ」と仰っていました。その方のポストしてきた時計を見ると、確かに42~44mmといった少し大きめの時計を多くお持ちでした。

 

いろいろ考えて、私は答えました。「身体に合わせるなら42mm」「でも時計としての完成度なら39mm」と。

 

「小さい時計に憧れがあるから、ボクは39mmを選ぶことにするよ」と彼は言いました。彼が自分の考えをまとめるのに、私の意見が参考になったかは定かではありません。しかし、最後に彼は言いました。

 

「他人の時計の写真を見て、こんなに欲しいと思ったことはなかったよ」

 

まれに見る「人たらしな時計」アイコンさんです。

 

 クロノグラフはこれくらい迫力があったほうがいいかもしれませんね(〃∇〃)