腕時計喫茶

「微妙」な時計を愛してる

強烈な個性のいぶし銀「SEIKO Mechanical Alpinist (SARB017)」

今更ながら先日、長年の想い人「SEIKO Mechanical Alpinist (SARB017)」を手に入れました。セイコーが誇る機械式の名機であり、私なんかが改めて解説する必要はないと思いますが、使ってみて初めて解った「クセ」について、正直に書きたいと思います。

 

世界中にファンのいる時計だと思います。一種独特の雰囲気をまとった時計ですから「好きな人はたまらなく好き」といった印象です。購入者のレビューは購入した時点で「好き」な人たちの評価ですから、総じて満点に近い高い評価を受けています。ただ、これも満場一致に近い評価として、「レザーのストラップがダメ」と言われています。私もそう思いました。決して最低のストラップが標準装備されているわけではないのですが、時計本体に匂うような色気があるので、比較してガッカリするのは確かです。

まあ、最高のストラップでないことは確かです。わたしも速攻で交換させてもらいました。

 

まずはお決まりのNATO化。無地のアースカラーが似合うだろうとは思っていましたが、これが標準でもよかろうってなくらいにどハマリのコンビネーションです。

 

ミラネーゼも試してみました。多少違和感はありますが、悪くない感じです。これならビジカジいけますね(〃∇〃)

 

いろいろ試してみて解ったのですが、ベルト交換による「お着替え」は苦手な時計だと思いました。NATOは明らかに合わないモノのほうが多かったと思います。こういうのはなかなか珍しい。合わない組み合わせをトコトン拒絶するタイプの時計です。そして、それは服装にも言えることでして、あまり「カチッとした」服には合いませんでした。革靴なんか履いちゃうと途端にアルピさんが浮いてしまうのです。存在感ゆえだとは思いますが、かなりの「じゃじゃ馬」です。

 

機能面ですが「cal.6R15」はさすがに良いです。きちんと測ったわけではありませんが、姿勢差も僅かですしとても優秀です。リューズから感じる挙動もスムーズで、丁寧に作られた時計であることがわかります。機械式時計としては間違いなく買って損はない時計です。

 

私が一番にこだわるのは「デザイン」、見た目の良し悪しですが、次に大事にしてるのは「視認性」です。ですが残念ながらこのアルピさん、視認性は5段階評価の「2」くらいです。

 

まず、ゴールドのアワーマーカーが見づらいことこの上ないのです。デザイン的にはとても雰囲気があって良いのですが、ダイアルのグリーンとの対比で十分なコントラストを得られていないように感じます。またダイアルとアワーマーカーが共にキラキラ光ってしまうのも困りもの。針には夜光が塗ってはありますが、暗がりでの視認性は期待しないほうが良いでしょう。

 

内転式の方位計はデザイン的には最高にグッとくるモチーフではあるものの、あまりに軽く簡単に回ってしまうのが残念ポイント。数時間着けて行動すれば、必ず最初とはズレた位置に頂点の赤三角を見ることになるでしょう。神経質な人は注意して下さい。

 

「ベルトがしょぼい」「視認性が悪い」「方位計が簡単に回りすぎる」など、弱点ばかりを挙げ連ねてしまいましたが、しかし!しかしですよ!この時計の魅力はそんなこととは無関係なところにあるのです。それは、唯一無二の「存在感」です。

 

ド定番のJBのNATOですら拒絶する個性。ダイアルのグリーンは昔おじいちゃん家にあったベロアのソファーのような色合いで、これまたコーディネートを難しくさせます。しかし、それが良いのです。その扱いづらい特別な存在感こそがこの時計の全てなのです。

 

機能的にも間違いなく満足させてくれるでしょう。そこはかとない品格と高級感もあります。でもそんなことで満足しないで欲しい。このじゃじゃ馬を乗りこなして、長年の相棒に育て上げる楽しみこそ、この時計が与えてくれる最大の価値だと思うからです。この名機もついに製造を終了したと聞きました。手に入れる最後の機会を逸しないようにご注意下さい。